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【ニュース】新型コロナウイルス 海外での影響(1)~タイの観光産業の現状と今後の予測~

新型コロナウイルスにまつわる状況は日々刻刻と変化していますが、世界各国の経済状況に大きな影響を与えているのは言うまでもありません。

今回の記事では、タイの観光産業に対するインパクトについて取り上げます。

中国からの旅行者は海外からタイを訪れる人々の約半数を占めており、タイの観光産業も新型コロナウイルス感染拡大による大きな影響を受けています。

中国からの旅行者の状況を時系列で見てみると、1月22日の段階で、中国・武漢の空港と駅から市外への移動が規制され、1月26日には、中国旅行社協会が海外旅行を含むすべてのツアーの中止を発表しています。こうした状況を受け、2月には中国からタイへの旅行者の到着者数がゼロになっています[1]。

世界各国からタイを訪れる旅行者の数[2]を2020年1月1日から2月20日の期間で見てみると、中国からの旅行者が226,904人と前年同時期の52.16%減となっており、韓国(45.65%減)、ロシア(32.79%減)、インド(25.65%減)と続いています。また、日本からのタイへの旅行者数の減少は、この期間ではこれらの国と比べると緩やかで15.25%減となっています。

過去の感染症拡大の事例と比較してみると、2003年にSARS(重症急性呼吸器症候群)の感染が拡大した際には、年間旅行者総数1,000万人に対し7.4%の減少、2013年MERS(中東呼吸器症候群)の感染拡大の際には、2,650万人に対し6.5%の減少[3]となっています。

一方で、SARSの事例を見てみると、下の図表の通り、旅行者数の減少は様々なニュースとリンクして加速したものの6~7カ月で回復傾向に転じたことも分かります[3]。

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タイの観光産業は急速に発展しており、2019年の旅行者総数は4.2%増となり、今や年間4,000万人に届く勢いです。今後も状況を注視する必要がありますが、中国政府の対応により新型コロナウイルスの観光産業への影響は短期間で収束するのではないかとの見解もあり、タイを訪れる旅行者数の減少は6~7%(270万人減)程度に留まるだろうとの予測も立てられています。

参考
[1] Association of Thai Travel Agents (ATTA)
[2] Association of Thai Travel Agents (ATTA), Tourism Statistics for Top 7 Nationalities that Use ATTA Members’ Services At Suvarnabhumi Airport and Don Muang Airport, 1 January – 20 February 2020
[3] Bank of Thailand
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