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ニコスケッチ#8 文脈

★ 文脈にそって描く
★ ? 絵にも文脈があるの?

  • じつは、えにもぶみんゃくがあり、それにそってかけば、さくしゃのいとが、つわたりすやく、なるでのす。

  • 上の文を「実は絵にも文脈があり、それにそって描けば作者の意図が伝わりやすくなるのです」と読めましたか?

イギリスにある大学での研究

「じつは、えにもぶみんゃくがあり、それにそってかけば、さくしゃのいとが、つたわりすやく、なるでのす」
この文章をよく見ると間違っています。でもなんとなく…
「実は絵にも文脈があり、それにそって描けば作者の意図が伝わりやすくなるのです」…と読めちゃいますよね。これは不正確な言葉の並びでも意味が読み取れちゃう…とというイギリスのある大学での研究です。

抜けた言葉は?

さっきまで青空だったのに、急に(    )が降ってきた。傘もなくびしょ濡れだ…

カッコにどんな言葉が入りますか? を思い浮かべる人が多いでしょうね。この文章では、空、降ってきた、傘、びしょ濡れ…などの言葉が雨を連想させます。文脈が整っていれば、抜けている言葉を推測できるのです。
そして絵にも文脈があるのです。

何に見えますか

ただの楕円ですが、これを…

…のように描くと、楕円がに見えはじめます。そしてこう描くと…

になりました。どちら同じ楕円です。それが周りとの関係や描き方で雲に見えたり池にみえたりと違ったモノに見えるのです。これが絵の文脈です。そして絵に文脈が生まれると細かな描写を省略することもできます。

胡麻の風景

京都 南丹市 胡麻の風景

南丹市、胡麻の風景、道の奥、左手の家屋が印象的です。

主人公の家屋、赤マル部分を拡大すると…

細かいディテールを描いてません。描くときに気を配っているのは、軒下の暗さ、屋根の明るさなどの明暗、屋根の傾きや組み合わせなどの構造、家屋の足元や屋根と背景など境目などです。

奥の建物…黄丸部分を拡大すると…ただ白い四角形、平行四辺形が並んでいるだけです。

この白いかたまりが遠景の家屋を感じるのは文脈ができているからです。

  • 空気遠近法や後方へ視線を導く道などで距離感を演出しています。

  • 奥へと続く電柱が、その先にも集落があることを予感させます

そこで近景に描かれている家屋を見た人が、遠くにも同じように家屋があると想像するのです。見る人が想像する…これけっこう大事なポイントです。

文脈は絵の構造、描かれてモノの関係性です。それができていると、細かく全てを描かなくても、見る人に作者が表現しようとしていることが伝わるのです。

ちゃぶ台返しと暗黙知

…とここまで書いてちゃぶ台返しですみません。この絵は文脈を考えながら描いたかというと、Noです、考えてません。この絵の文脈については後付けです。実際には直感で描いてます。

  • ワタシの場合、絵は直感で描くことが多いのです。ただスケッチを始めたころからカンで描いてたわけではありません。初めたころはどう描けばいいのか、色、形、筆遣いなど、考えて考えて描いてました。それらを積み重ね続け、いつの間にか考えなくてもカンで描けるようになったのです。これを仲間内では自動化と呼んでいます。言葉を変えれば描くことは暗黙知とも言えます。

カッコよく言えば、カンで描いてたら文脈ができちゃった…ってことです。

暗黙知…ってなに? 気になる方はググってください。

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