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「結婚式ゾンビ。」/毎週ショートショートnote

「やっぱり。心配していた通りです。」
「仕方ない。」
「もちろん。わかってはいますが。あっ。」
大きな音ともに、テーブルに倒れこんだ招待客。
「大丈夫。想定内だ。過去にもいたじゃないか。酔っぱらったご親戚の方や粗相してしまったお子様が。」

式場のスタッフは、披露宴をはらはらしながら見守っている。
もちろん、私だって同じだ。
いつだって。
二人の門出を祝う披露宴が何事もなく終わること望んでいる。

「くっ。うちで一番高いプランのお食事に誰も手をつけないなんて。」
そう嘆いたのは心配のあまり、厨房から様子を見に来た料理長だ。

まあ。料理だけじゃない。過去最高のテーブルコーディネートだって新婦側の家族や招待客にめちゃくちゃにされている。
しかし、悪意はないのだ。

新郎側の方だって誰も咎めたりしていない。
それよりも新婦側のゾンビ達から襲われないようにするのが精一杯。

たとえ、新郎が人間で新婦がゾンビでも心に残る最上の披露宴にするのが私の仕事だ。


たはらかにさんの企画に久々に参加しました。
いつもありがとうございます。



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