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デビュー組が物語る、関西Jr.としての経験が持つ意味


 どれだけの人が、ジャニーズ事務所におけるデビューへの経緯を知っているだろうか。何百人ものジャニーズjr.の中から、華々しくデビューを掴み取ることができるのはほんの一部だ。近年はjr.の人気も高く、テレビやラジオなどで活躍している姿も少なくない。

 それでもジャニーズjr.である限り、"CDデビュー"という一つの目標に向かい、自分が必要とされる場所で個性を光らせ、着実に経験を積んでいく。デビューできるかどうかわからない中で、技を磨き続けるのがジャニーズjr.だ。

 近年デビューを果たしたグループを見て思うことがある。それは、関西ジャニーズjr.という看板を背負って活動してきた人たちの並々ならぬ実力についてだ。ここでいう実力というのは、ダンススキルとか歌の上手さとか、演技力とか、そういう類のものではない。居場所に応じた立ち居振る舞い、発言の仕方、肝の座り方、闘争心。努力だけではどうにもならない内側の部分に関するレベルがとてつもなく高いと感じている。

(関東のJr.との比較して、ということではないです。あくまで関西Jr.の活動という点に着目した話です。)

 King&Princeの平野くんと永瀬くん。今となっては誰もが知るアイドルだが、彼らもかつては関西ジャニーズjr.として活動していた。今でいうジャニーズWESTのメンバー達が関西ジャニーズjr.を率いていた頃、KinKan・なにわ皇子というグループで弟組という立ち位置だった。しかし、その頃から『まいど!ジャーニ~』というレギュラー番組を持ち、あらゆるゲストとのトークやロケを重ねた。なにきんは絶大な人気を誇り、「まいジャニコンサート」で単独ライブまで果たした。今思うと、いつお兄ちゃん達(現ジャニーズWESTのメンバー)が巣立ってもいいように、実力を付けるためのチャレンジだったのかもしれない。

 そしてSnowManの向井康二くん。彼もまた、長年関西ジャニーズjr.で下積みを重ねてきた。今でこそ、無事デビューを果たし大活躍しているので、長い下積みというと聞こえはいいかもしれないが、彼にとってはそんなにいいものではなかったと思う。同期や後輩が次々とデビューを果たし、最終的にはずっとメインで引っ張ってきたにも関わらずなにわ男子の中にいない。事務所としての構想が、なにわ男子結成とSnowManへの加入、時系列としてどちらが先なのか分からないが、あの時の絶望はファンにとっても耐え難いものだった。

 それでも今、彼があらゆる媒体で活躍し、テレビには引っ張りだこ、誰からも愛される存在となったのは、どんな状況でも腐らず活動をつづけた努力の賜物だ。向井くんに関しては、幼いころからの場数がすさまじい。どちらかというと、ずっと関西ジャニーズjr.のメインポジションに立ってきた人だ。

 可愛がられる弟キャラを脱し、関ジュにとって暗黒時代ともいえる2015年からの数年を支えた。まいジャニでは率先してゲストと交流した。ロケでは誰よりも大きなリアクションを取った。松竹座では「あの康二が!?」と言われた『少年たち』での看守長を見事にやってのけた。メインに立ちながら、他のメンバーを引き立て、且つ自分の存在感を残す。このスタイルが今の向井くんのポジションを作り上げた最大の武器なのではないだろうか。

 今をときめくなにわ男子も同じだ。なにわ男子に関しては、メンバーによってjr.歴も違えば立場も違っていた。背負っていたものも、良くも悪くも大小があったと思う。しかし、それが逆に功を奏している気がする。藤原くん、大橋くんに関しては少しの時間で爪痕を残す術がものすごい。バラエティやインタビューなどにおけるたった一言の発言が必ずインパクトに残る。これはバック経験が豊富な2人だからこそできることである。MCに呼ばれた一瞬、ゲームコーナーで用具を運んできた一瞬、年に1度の少年倶楽部in大阪でカメラに抜かれる一瞬。どんな時でもたった一瞬にすべてを掛け、見る人の記憶に残してきた経験が活きている。

 西畑くん、大西くんはなにきん時代から露出も多く前に立ってきた。大西くんに関しては入所直後になにわ皇子に抜擢されている。そしてこの2人は向井くんと同じく関西ジャニーズjr.の苦しい時期をメインメンバーとして引っ張った。どうすれば自分たちの名が世に広まるのかを考えた。西畑くんは俳優としての活動をするたびに「関西ジャニーズjr.知ってもらうため」と言った。松竹座ではコント・演技・ライブを創りあげる力を培った。大切な仲間との別れも経験した。だからこそ、今あるグループを守るという意思が誰よりも感じられる。

 道枝くん、高橋くん、長尾くん、この3人はどちらかというとエリート街道を通ってきたように思う。気付いたころには何かと前にいる3人だった。だからこそなのか、人一倍肝が据わっているように感じる。どんなことでも物怖じせずやってみることができるのは彼らの強みだ。

 長くなったが、『関西ジャニーズjr.』という、ある意味巨大なグループの中で経験するすべてが、間違いなく大きな意味を持つことがデビュー組の活躍を通して証明されている。

 グループでの単独ライブをすることもあれば、全員でのアリーナ公演もする。時には先輩のツアーバックを務める。芸人さんとの交流も多いので、笑いやトークのスキルが磨かれる。

 また個人的には、松竹座での1か月公演を経験できることが、関西Jr.であることの大きな特権なのではと感じている。近年は年によって変動しているが、松竹座と言えば、夏は〈舞台〉、冬は〈コンサート〉、春は〈コント〉というのが1年間のテーマだった。松竹座で公演を行う時は、基本的に1か月で約40公演ほど、ほぼ毎日が本番だ。この公演数の多さこそが彼らのスキルアップに直結しているのではないだろうか。初めて見る人もいれば、何度目かの人もいる。そんな中で、どうすれば楽しんでもらえるのかを考える力。毎日続く公演を走り抜けるための体力を蓄え、健康を維持する力。生身の舞台を乗り切るための精神力。思わぬ事態への対応力。松竹座での長い公演を通して得られる力は数えきれない。この経験は間違いなく関西ジャニーズjr.の強みになっている。

 更にもう一つ挙げるとするならば、縦の繋がりの強さだ。関西ジャニーズjr.は特殊な団体。それぞれのグループとして個が存在しながらも、関西ジャニーズjr.という集団の中でどうあるべきか、どう生き残っていくか、考えなければならない。そして全員で関西ジャニーズJr.そのものの質を高めていく。

 それと同時に後輩育成をやっていくのも特徴だ。自分が所属するグループの飛躍だけではなく、日の目が当たらない子たちをどう活かしてあげるかも考え実践する。グループの垣根を超え、ダンスや演技はもちろん、礼儀やメンタル面も含めて先輩が後輩に直接指導する姿は、関西ジャニーズjr.ならではの光景なのではないだろうか。それぞれが得た経験や知識を共有し、切磋琢磨する。そしてまた、全体の士気を高めレベルアップに繋げる。直接吸収できる情報量が多いことも、ひとつの強みになっているだろう。

 次どのグループがデビューしてもおかしくない、ジャニーズjr.戦国時代と言われる今。関西ジャニーズjr.は全員で狼煙をあげた。共に長い年月を過ごしたなにわ男子は、目まぐるしい勢いで世に放たれ、各方面で活躍の場を広げている。その姿は、これまでやってきたことに何一つ間違いはなかったと証明してくれているようだ。

 何が起こるか分からない時代。これから先、厳しい未来が待っている可能性だってある。それでも、関西ジャニーズjr.としての誇りを持ち、目の前の仕事に全うし、一つ一つ経験を積み重ねていってほしい。どんな未来がこようとも、ここで過ごした経験が、必ず彼らの追い風となると信じている。


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