#旅する日本語
津軽海峡フェリーの思い出
まだ世の中を何も知らない15歳だった私は、家族旅行で青森県から北海道函館市を結ぶ津軽海峡ロードをフェリーに乗って気分も浮かれていた。
デッキの所でカモメを観察していた私に、すぐ近くで同じように海を眺めていたおそらく米国人であろう若い男性が声を掛けてきた。
「函館まで何時間かかるの?」
片言ではあるけれど日本語の上手な彼は私に
「3時間半くらいです」
と返されると、
「Oh!3時間半も!
「大内宿」あの別世界にもう一度触れたい
それはとても暑い夏の日。
一本道の両脇にずらりと並ぶ茅葺屋根の民家を前にして、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような感覚に陥った。
葺き替えをしながら大事に残されてきた貴重な民家だ。
福島県会津地方の郷土玩具である赤べこの置物や絵ろうそくなどを民家では売っていて、お土産に購入した。
民家の前にある水路には、夏野菜やラムネなどが冷やされていて見るだけで涼味を呼ぶ。
そこは時間を忘れて