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プカプカ

スポーツは泳ぐのが好きだ。とはいえ、最近は泳いでいない。

小学校の時に夏の水泳教室に参加させられた。おそらく親が泳げなかったからだ。2週間ほど、毎日スイミングスクールに通って平泳ぎやクロールの泳ぎ方を習った。

参加させられた感のあるやる気のない小学生に先生は一生懸命教えてくれて、形は泳いでいるその形になった。でも、楽しくない。

「息ができないから苦しいやん」

水泳の楽しさがわからないまま小学生、中学生とすごした。

・・・・

高校の頃の担任の先生が体育の教師だった。一度社会人になってから先生になった熱い先生で、いろいろと話のネタになる思い出を沢山残してくれた。当時は引き気味の私であったが、今となっては「あー面白かったな」と思っている。

最近見たニュースに、溺れている人を助けに入って、助けに入った本人も溺れたというのがあった。それで思い出したのだ。面白かった高校生の時の担任の水泳の授業を。状況的に今するとNGなのでは?とも思うけど・・。

いつものようにシャワーをあびてプールサイドにいくと暑い太陽が照り付けて水面がキラキラしていた。ロープが渡された。「えっ!?」手と足をロープで結べと。記憶が定かではないが、Tシャツも着ていたような気がする。その恰好でプールに落された。

「うわ、やばいなこの先生」みんな、慌ててた。だって手足をもがれたら泳げないんだもの。そうこうするうちに先生の声が聞こえた。

「慌てないで浮かべ。身体の力を抜いて浮かべ。」

言われた通り、空を見て身体の力を抜くとフッと浮かんだ。ほぉ~面白い。

「溺れずに助かる方法はただ一つ。助けがくるまで浮いている。」

そう言われた。

当時も同じようなニュースがあった直後だった。

人間は身体の力を抜くと浮かぶんだという事を体験した授業。これを知っていると知っていないのではイザというときに違うのだと思う。脳が「慌てないで。力を抜いたら浮かぶよ」って知っているから力を抜けるんだと思う。

知らないと、慌てて水を飲んで体力を消耗して溺れちゃう。

何かの大会でいい成績をとりましたとか、人と競ってタイムをだすとかではないけれど、私はスポーツを通して実生活に役に立つものを受け取ったと思っている。

副産物として、それ以来、なぜだか泳ぐのがとても好きになった。スピードはもちろんないけれど、力を抜いて魚の気分になる感覚がいたく気に入ってしまったのだ。

忘れていた記憶がよみがえり、また久しぶりに泳ぎたくなった。


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