映像シナリオ「私が知りたい本当の事」

概要:シナリオ学校の課題にて執筆。条件は短編もの。尺は約7分。2015/11/08作。

〇登場人物
三宅加奈子(36)専業主婦
三宅友広(36)加奈子の夫
篠原拓郎(46)三宅家の隣家の主
篠原安江(41)拓郎の妻
篠原梓(17)拓郎の娘
すみれ(24)友広の浮気相手
田中(28)復讐サイトの管理人

                                他


〇 三宅家・玄関外(朝)
   回覧板片手に立ち話をしている三宅加奈子(36)と篠原安江(41)。
安江「そんなの旦那がお風呂にでも入ってる間に見ちゃえばいいのに」
加奈子「でも、知りたいような知りたくないような……」
安江「もう白か黒かはっきりさせちゃいなさい。黒だったらバッサリ切
 る!」
加奈子「う~ん……」
安江「奥さんの事、すみれって他の女の名前で呼んじゃってる時点で、ほぼ
 黒だけどさ(笑う)」
   隣の篠原家からスーツ姿の篠原拓郎(46)が出てくる。
安江「(拓郎に気づき)あら、あなたもう出るの?」
   安江、拓郎に近づきネクタイを直したり仲良さそうな雰囲気。
   篠原家から制服姿の篠原梓(17)が出てきて、安江と拓郎を冷めた目
   で見て去る。
   そんな篠原一家を見つめる加奈子、家に戻る。

〇 同・玄関内(朝)
   入ってくる加奈子、玄関の扉を閉めるとため息。
   加奈子と三宅友広(36)の写真が飾られている。
   加奈子、写真を見つめる。

〇 同・居間(夜)
   夕食の後片付けをする加奈子に、スマホをいじりながら話す友広。
友広「明日、出かけるから」
加奈子「えっ?」
友広「ちょっと仕事」
加奈子「休みなのに?」
   スマホをいじりながら居間を出る友広。
   友広の後ろ姿を呆然と見つめる加奈子、決心した表情。

〇 同・玄関(朝)
   靴を履く友広。
友広「じゃあ、行ってきます」
加奈子「いってらっしゃい」
   加奈子、出ていく友広を見送ると、急いで出かける準備をして後を追
   う。

〇 道
   電話をしながら歩く友広を尾行する加奈子。
   急に立ち止まり振り返る友広に、慌てて物陰に隠れる加奈子。
   加奈子、ふと見た先に若い女といちゃつく拓郎を見つける。
   興味深々で拓郎と若い女を見る加奈子、友広が喫茶店に入ろうとして
   いるのに気づき、慌てて後を追う。

〇 喫茶店
   友広、ウェイトレスのすみれ(24)に注文してる様子。
   友広の様子を離れた席で監視する加奈子。
安江「例の話ですけど……」
   加奈子、安江の声のする方を見ると、安江が田中(28)と深刻な表情
   で密談中。
安江「本当に、あの……殺ってくれるんですか?」
田中「安心してください。証拠を残さず消してみせます」
安江「でも、うちの人に気づかれず……」
   安江たちの会話が気になる加奈子。
   友広に見つかる加奈子。
友広「か、加奈子?! 何やって」
加奈子「しーっ!」
   加奈子、友広を引っ張り安江たちの方を指差し耳打ち。
   口パクで「マジで?」と聞きながら席に座る友広。
   安江たちの様子を伺う加奈子と友広。
友広「まさか、隣の篠原さんがね~」
加奈子「そうよ、人は見かけによらないというか」
   すみれがサンドウィッチを運んでくる。
すみれ「お待たせいたしました」
加奈子「ちょ、こんな時に何頼んでんの?」
友広「いや、さっき頼んでたやつだから」
   去り際、友広に微笑みかけるすみれ、微笑み返す友広。
   加奈子、友広とすみれの様子に気づかず、安江たちの方に集中。
安江「じゃあ、これは約束のお金。残りは」
田中「ご主人を殺ってからですね」
   加奈子、店を出て行く安江を見ながらひそひそ話す。
加奈子「これってやっぱり旦那さんの殺害計画?」
   ちらっとすみれの方を見る友広、動揺を隠すようにサンドウィッチを
   食べる。
友広「ま、まさか浮気くらいで」
   田中、電話をかける。
田中「仕事だ。いつものとこで」
   電話を切り、店を出る田中。
   慌てて田中を追う加奈子と友広。

〇 道
   田中を尾行する加奈子と友広。

〇 駐車場
   人気のない駐車場。
   誰かを待っている様子の田中を物陰から窺う加奈子と友広。
   待っていた相手が来た様子で手を上げる田中。
   加奈子と友広、田中が見る方へ注目していると梓が来る。
   梓、手慣れた様子で田中から写真と封筒を受け取り中身の現金を確認
   する。
田中「殺れるか?」
梓「ちょうどうっとうしくなってたころよ」
   田中と密談する梓に驚く加奈子と友広。
友広「マジで?! あれ、篠原さん家の梓ちゃんだよね?! スゲー!」
   ひとり興奮する友広。
   加奈子、何か忘れているようなと考え込み、ハッとする。
   見つからないようにはしゃぐ友広の横顔を睨む加奈子。
加奈子「(ボソッと)私も頼もうかしら」
友広「ん? 何か言った?」
   加奈子、笑顔で首を横に振る。

                              (了)

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