映像シナリオ「皆同じ」
概要:シナリオ学校の課題にて執筆。条件は短編もの。尺は約7分。2009/07/19作。
〇登場人物
宮本(25)サラリーマン
藤田(25)宮本の同僚
大島(56)宮本の上司
他
〇 宮本家・部屋(朝)
シンプルなワンルームの部屋。
朝日がカーテンの隙間から射している。
ベッドの横に置かれている目覚まし時計の針が七時をさすと、アラー
ムが鳴り始める。
ベッドで布団を頭まで被り眠っている宮本(25)、なかなか動こうと
しない。
しつこく鳴り響く目覚まし時計のアラーム。
宮本、眠そうに布団から手だけを出して目覚まし時計のアラームを止
める。
再び眠る宮本。
× × ×
目覚まし時計は九時十分をさしている。
眠そうに目覚まし時計を見る宮本、しばらくぼーっとした表情で目覚
まし時計を見つめる。
驚いた様子で起き上がる宮本、壁のカレンダーを見る。
カレンダーには“会議十時から”の文字。
慌ててベッドから降りる宮本、ベッドの下に積まれていた雑誌につま
づいてこける。
宮本、痛そうに起き上がりながら急いで洗面所に向かう。
〇 同・洗面所
急いで歯を磨き、顔を洗う宮本。
〇 同・部屋
顔を拭きながらクローゼットに向かう宮本。
脱いだパジャマを放り投げながら、急いでスーツに着替え鞄を持ち、
部屋を出て行く。
〇 同・外観
五階建てのアパート。
入り口から走って出てくる宮本。
〇 道
全力疾走の宮本。
通行人にぶつかりそうになりながら駅へと向かう。
犬の散歩をしている老人、何事かと振り返る。
〇 駅・改札
急いで改札機に定期券を入れる宮本。
しかし、警告音が鳴り改札機のゲートが閉まり通れない。
宮本、定期券の期限を見ると昨日の日付になっている。
イライラした様子で券売機へ向かう宮本。
〇 会社・外観
ビジネス街にある大きなビル。
ビルを出入りしている他の社員たちの間を走る宮本。
〇 同・エレベーター
閉まりかけのエレベーターに慌てて乗る宮本。
エレベーターには同僚の藤田(25)が乗っている。
お互い手を上げ挨拶する宮本と藤田。
息を整え平静を装う宮本、腕時計を確認する。
腕時計は九時五十分をさしている。
ほっとした様子の宮本。
〇 同・廊下
会議室前の廊下。
ぞくぞくと会議室に入っていく社員たち。
宮本と藤田、その社員たちの後に続いて会議室に入っていく。
〇 同・会議室
十人程座れる会議室。
大きなテーブルを囲みそれぞれ席につく社員たち。
宮本、席につき会議の準備をしていると、自分のシャツのボタンを掛
け違えていることに気づく。
恥ずかしそうにする宮本、手が滑り、持っていたボールペンをテーブ
ルの下に落としてしまう。
テーブルの下にもぐりボールペンを拾おうとする宮本、ふと向かいの
人物の足下を見ると、スーツの裾から水色のストライプのパジャマが
見えているのに気づく。
宮本、起き上がり向かいの人物が誰かを確認する。
藤田が座っている。
呆然とする宮本。
そこへ会議の資料を配っている女子社社員の一人が、藤田に資料をわ
たす。
その女子社員の顔を見ると、アイシャドウが片方にしかされていな
い。
驚く宮本、周りの社員たちを見回してみる。
寝癖がついたままの後輩社員。
カーラーをつけたままの女子社員。
ネクタイが曲がっている上司。
宮本、あっけにとられた様子。
そこへ部長の大島(56)が汗を拭きながら入ってくる。
席につく大島、カツラが少しずれているが、誰もそのとこに触れな
い。
宮本も気にせず配られた資料に目を通すが、俯いたまま視線を周りに
向けると、少し笑いを堪えた表情になる。
全員が席につき、何事もなかったかのように会議が静かに始まる。
(了)
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