娘に「大嫌い」と言われたら「大好き」と返すわたし
「子は親の鏡」とはよく言ったものだ。
11歳になる長女は、最近どうやら反抗期のようだ。一言目には「だって」「でも」と、すぐに言い訳を並べてくる。これまでは少し注意をしたら素直に「分かった!」と全力で答えてくれていたのに、今では「はいはい」と適当に顔も見ずに返事をしてくる。いや、返事をしない時だってある。
ああ、素直で可愛かった君はどこへ行ってしまったのだろう。
何でかよく分からないけれど、親に対して反抗したくなる長女の気持ちも分かる。私にだってそういう時期もあったのだから。そっけない態度をついとってしまったり、少々乱暴な言葉遣いになってしまったりするのも、ある程度は仕方のないことだ。これも成長の過程であるということは分かっている。でも、つい頭にきて叱ってしまうことが多々あるのだ。
小さい頃は叱ることなんてほとんどなかった。あっても優しく注意をする程度。あれ、いつからこんなに毎日口酸っぱく怒るようになったのだろうか。
理屈を並べて正しいことを伝えようとすれば、長女は理屈を並べて反抗してくる。感情のままに伝えようとすれば、長女も感情のままに反抗してくる。怒らないように、穏やかに伝えようとすれば、長女はまるで聞いていないかのように、穏やかに話をすり替えてくる。
そう、長女は私の鏡のように私そっくりな口調となり、私そっくりな怒り方をし、私そっくりな理屈を並べてくる。その態度になんだか腹が立つ。あれ、ということは、私は人に不快感を与えるような言い方をするのかな?
もうどうやって長女と話せばいいのか分からなくなってくる。ああ、私は母親としてダメダメで、全然良い母親ではないな、と、ここ最近は毎日子育てに自信を無くしてしまうのだ。
「もうママ大嫌い!」と捨て台詞を吐き、部屋にこもることもよくある。そんな長女だが、「私はママが大好き!」と11歳を迎える今でも、よく言葉にして愛情を伝えてくれる。だから、どんなに私が怒って、どんなに長女が反抗してきても、お互いに一時的な感情であるということを自覚している。「大嫌い」と言う時も、「”今は”ママのこと嫌い」と言ってくれるので、30分もすれば元通りの関係に戻るだけなのだ。
出掛ける時に横に並んで歩けば、今でも手を繋いでくる。時々甘えたくなれば、私にピッタリとくっついてきて、ギューッと抱きしめてくる。長女曰く、私が抱きしめてあげると安心するのだとか。ふふ、まだまだ可愛い子だなと思いながら、もみくちゃに抱きしめてあげるのだ。
小さい頃から毎日のように「大好きだよ」と伝え、「可愛い!」と言いながら抱きしめ、不安にならにように手を繋いで寝ていたように、長女は私が心のままに示してきた愛情を、まるで鏡のようにそっくりそのまま返してくれる。そして、毎日けんかをする次女にも、長女は同じように「大好き」を伝えるのだ。
「子は親の鏡」
悪いこともそっくり真似してくるけれど、私が一番伝えたかった「あなたのことが大好き」という愛情がちゃんと伝わっている。それを他の誰かにも伝える事ができる。そう知っただけで、母親としての自信が少しだけ戻ってくるのだ。
誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ
愛してあげれば、子どもは、人を愛することを学ぶ
認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる
見つめてあげれば、子どもは、頑張り屋になる
分かち合うことを教えれば、子どもは、思いやりを学ぶ
親が正直であれば、子どもは、正直であることの大切さを知る
子どもに公平であれば、子どもは、正義感のある子に育つ
やさしく、思いやりをもって育てれば、子どもは、やさしい子に育つ
守ってあげれば、子どもは、強い子に育つ
和気あいあいとした家庭で育てば、子どもは、この世の中はいいところだと思えるようになる
「子どもが育つ魔法の言葉」より
© ドロシー・ロー・ノルト レイチャル・ハリス 石井 千春
今はちょっと反抗期の長女だけど大丈夫。「大好き」を知っている子は、きっと強く生きていけると思うから。だから「ママ大嫌い!」と言われても、私はいつも「大好き!」と返す。どんなに怒っていても必ず「大好き」と返す。
だって、あなたの事を嫌いなんて思ったことはないから。どんなに大変だなと思っても、絶対にあなたのことが大好きだから。
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