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【感想】★「ケモノの城」誉田哲也

評価 ★

内容紹介

■ある街で起きた監禁事件。保護された少女の証言に翻弄される警察。そんな中、少女が監禁されていたマンションの浴室から何人もの血痕が見つかった―。あまりにも深い闇に、果たして出口はあるのか?小説でしか描けない“現実”がここにある―。圧倒的な描写力で迫る衝撃のミステリー。

感想

北九州監禁殺人事件をほぼトレースした作品。
少女・摩耶が警察に駆け込んだ事により、事件が発覚する。捜査員2名と事件とは全くの第3者である辰吾の3名が交互に語っていく事により物語が進む。
あまりにも残虐な描写に反吐が出そうになるが、辰吾と同棲している聖子とその実父である三郎が事件にどのように関わっているのかが気になり、惹きつけられる部分もある。読者をミスリードしながら、最後の最後まで引っ張りどんでん返しが‥‥。
しかし、最後の最後に聖子が疾走する理由の弱さや真犯人の行方の曖昧さ、辰吾が廃人同様になっている結末が作品を小さくしてしまっている。端的に言うと、誰でも思い描ける内容。
三つの視点で進行していくのは、飽きさせず素晴らしいとは思う。摩耶も『ケモノ』化しているかもと思わせのも良い。ただ、聖子と事件の結び付きの弱さと三郎の正義感のあまりにも強すぎる不自然さがあり、本来見せるべき愛のカタチを表現しきれていない。また、ストーリーの収束も弱い。
個人的には、三郎が辰吾に聖子と別れろと忠告していたが聞き入れられず、聖子から誘導され三郎を殺してしまう。そして、聖子の育ての親がケモノ(真犯人)だったみたいな展開で二人が消えていなくなる方が良かったと思う。
いずれにしろ、胸糞悪くなる駄作だと思うし、読む価値は少しも無かった。


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