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【感想】★★★★「イニシエーションラブ」 乾くるみ

評価 ★★★★

内容紹介

■2014年3月3日、日本テレビ『しゃべくり007』で、紹介された作品です。「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。僕がマユに出会ったのは、人数が足りないからと呼びだされた合コンの席。理系学生の僕と、歯科衛生士の彼女。夏の海へのドライブ。ややオクテで真面目な僕らは、やがて恋に落ちて……。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説──と思いきや、最後から二つめのセリフ(絶対に先に読まないで!)で、本書はまったく違った物語に変貌してしまう。
(eブックジャパンより)

感想(ネタバレ含む)

第1章は、恋愛に奥手の大学4年鈴木が代打で参加した合コンで歯科衛生士の繭子と恋に落ちる。
鈴木は繭子へ優しさ溢れる付き合い方で、ゆっくりと愛を育んでいく。
恋愛の甘酸っぱさが感じられる内容であるが、盛り上がりには欠ける。
第2章では、鈴木は就職し、東京へと出向となりながらも繭子への愛情は熱く、毎週末には
静岡へ会いに通っていた。
所々で、第1章と第2章の鈴木の言動が印象が異なり、時の経過により人が変わってしまったのか、著者の稚拙さなのかと違和感があった。
鈴木は繭子を妊娠させるが、最終的には繭子を捨て、別の女性と付き合うことに。
が、最後の最後でまさかの展開が起き、ここまで驚いたドンデン返しは経験なく、本当にやられた。
1章は繭子とクリスマスを共に過ごし、幸せの絶頂に達した鈴木で幕を閉じる。
2章は、鈴木がその繭子を捨て、東京美人と過ごすが、その際の回想シーンでは1章でのエピソードとは異なる内容であり、正しく意表を突かれた。
あんなにピュアで優しかった1章での鈴木が荒んでしまったという残念であり、モヤモヤした気持ちで2章を読んでいたが、最後の最後で思いっきりいい意味で裏切られ、驚きと安堵感でかなりのインパクトを残した。
ただ、第1章は少し単調過ぎており、鈴木が恋を実らせていく過程と繭子の気持ちが変わっていく様を丁寧に描写して、もっと鈴木の恋を応援したくなるような構成にして欲しかった。そうすれば、感情移入ができ、最後のインパクトも更に引き立ったように思える。
いずれにしても、かなり面白い作品であり、他人にもオススメ出来る作品だった。

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