崖の上のポニョにみる「小さな恋のメロディ」オマージュ
#おすすめ名作映画 ならば早速ポニョについて語らねば!
しかし今回おすすめする作品は「小さな恋のメロディ」(1971 英)です。
主題歌ビージーズのメロディ・フェアは、聞けば誰しもああこれかと思う超有名曲。
映画は公開時、本国イギリスやアメリカではヒットしなかったそうですが(wikipediaより)、なぜ?どうして?
50年経った今みても、多くの日本人の心にはバシッと刺さるでしょう。
ヒロインが麗しい。男の子も可愛いし、友だちの男の子の友情と嫉妬に揺れる微妙な気持ちも好きな人はすごく好きなはず。
内容は、思春期の入り口にいる少年少女のみずみずしい恋物語で、ジブリ作品でいえば「耳をすませば」のような良さがあります。
私は「崖の上のポニョ」に関係ありそうだからと去年はじめて観たんですけど、なんていうか、う、うわ~~~、やべ~~~、みたいな気持ちになりました。カメラで撮ってるこっち側の人たちの目線は18禁状態じゃろ、って思いました。(ごめんなさい。映像はまぶしいほどピュアピュアです)
「小さな恋のメロディ」の中でとくに「崖の上のポニョ」に影響を与えているのでは、と思われる点が4つありますので紹介します。
トンネルを歩く場面の絵的な類似
墓地を歩く若い恋人たち
母の運転する自動車に乗る少年、というモチーフ
ビンの中の赤い金魚が暗示するもの
1. トンネルを歩く場面の絵的な類似
これは、見たまま。似てますね。
2. 墓地を歩く若い恋人たち
非常に美しいシーンです。はじまったばかりの恋と足元の下の死。
未来と過去、生と死を上下に描き、生命のすばらしさ!輪廻!みたいなかんじです。語彙力すみません。伝われ!
ポニョでは、老人施設と保育園を隣に描いています。
3. 母の運転する自動車に乗る少年
登場人物と乗り物との関係は自立度を表現していることが多いです。
ママの愛車に乗せられている男の子、というモチーフ。
いいですね。好きです。
11歳のダニエルも5歳の宗介くんも女親の庇護下にあり、まだ自分で人生のコントロールができません。当たり前だし仕方がないんだけれども、人は突然「おとな」になるわけじゃないから、自分でハンドルを握って生きていくぞという自信を少しずつ育てていかないといけないんですね。でも自身の目指す大人像と「ママの愛する坊や」像のあいだの乖離が大きいと、自立に向かう苦しみが大きくなりがちです。そのへんが子どもの成長物語のテーマになることも多いです。
「千と千尋の神隠し」も両親の車に乗って不本意な引っ越しをする少女が主人公でした。
千尋は自分の意思で電車に乗り、ダニエルはトロッコを漕ぎ、宗介くんはポンポン船で未来に出発します。
4. ビンの中の赤い金魚が暗示するもの
赤い二階建てバスの走る1970年ごろのロンドンの風景の中を、メロディが金魚の入ったビンをもって歩いていきます。
金魚はあざやかで元気に泳いでいます。
印象的なうつくしいシーンです。
都会の生活の中で親や学校が厳しくても、子どもたちには生き生きとうごく金魚がいた。
2000年代、日本。 金魚はビンの中でグッタリしており、冒頭からピンチです。
50年前の外国の子どもたちに懐古してる場合ではないのかも?!
2つの作品を比較してみることで理解が深まり面白さが倍増する、オマージュの理想的な形。両作品とも、おすすめです。
(宮崎駿監督が「小さな恋のメロディ」をご覧になったことがあるのかどうかも存じ上げず、好き勝手に言ってます。すみません)
「小さな恋のメロディ」 U-NEXTで視聴できるようです。
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