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くだらないこと多めの人生を生きたい

くだらないことばかりを話した。

10分に1回はあははと笑って、笑いすぎてお腹が痛くなる。

あと20分で寮に戻らなきゃと思って、明日はここに行こうねと話して、12時間も経たないうちに会えるのに帰るのが惜しくなって、またくだらない話が時間を伸ばしていく。

2人で星野源のファーストアルバムを聞く。

外は異国の世界で、屋根には昨日降った雪がまだ残っている。

東京の夏は夜でもとても暑いから、窓を開けて3人でジンジャーエールを飲みながらぐだぐだして、外からはご機嫌に歌いながら自転車をこぐ人の音が聞こえたのを意味もないのに覚えている。

ナツメと栗を食べる。友達は栗の皮を真っ二つに剝く技術を持っていたから教えてもらったけれど、私は力の入れすぎで実も真っ二つにしてしまった。

お昼ご飯を食べた空港のカフェはソファがあまりに柔らかくて私は吸い込まれて低くなったけれど、友達の座った椅子は高めでアンバランスだった。

じゃあ2カ月後に、と別れて国際線のゲートを通った先でこっちを振り返って私のことを探しているのが見えたから私は一生懸命手を振った。

寮に帰るとルームメートがドラえもんを見ていて、「理来が帰ってきた~」と私の顔を両手で挟んだ。日本からのお土産のたこせんべいは残り一枚になっている。

景山公園で友達が私を可愛く撮ってくれた。盛れた写真を渡すと必ずコメントをしてくれる先輩がいるので「今回は自信あります」と添えて写真を送り付ける。

くだらないことばかり覚えている。

そういうことしか話しているのではない、ちょっとは真面目なことも話題になる。

でも結局はおかしすぎて笑ったことが多くて、くだらない話しかしなかったなあと思う。

頑張らないわけでもなくて、大事なことから目を逸らすわけでもなく。

それぞれやらなきゃいけないことがあって、好きだけれど好きだけじゃ乗り越えられないことや、憂鬱になることがある。
そういうのをなんとかしてどうにかするから、せめて大事な人の前ではそれさえも笑って蹴飛ばして、もっとお腹抱えて笑うくらい、でも全く役に立たないくだらないことで時間が流れれば良い。

なんとかしてもどうにか出来なかったときは、美味しいご飯かお菓子を間に挟んでぽつぽつ話すのを聞いてくれたら良い。

くだらないことばかり覚えていて、ぽろっとこぼした悩みもくだらないことで包まれて、餃子みたいな……。へへ。

美味しいもんな。

くだらないことばかりだから、楽しいもんな。

友達と聞いた星野源の曲は、「くだらないの中に」だった。

ちょろい女子大生の川添理来です。