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私の友達

近寄りがたかった。初めて会ったときは黒マスクに黒いキャップ、黒いアウターだった。

お互い違う友達といたけれど、同じクラスになって近くの席に座って、連絡先を交換して、気が付けば彼女は私の隣を歩いていた。

理来!と名前を呼んで、私が追いつくのを待ってくれている。

早く会いたいよ、と言ってくれる。

気取らず、気さくで、私を大切に思ってくれているのだと感じるから、私も彼女を大切にしたいと思うし、彼女が私を頼ってくれるから私はその期待に応えたくて、私も彼女を頼って良いのだと思える。

彼女と話していて共通点があることに気が付いたけれど、きっと共通点なんてあってもなくても私たちはこういう関係になれたと思う。

私より一つ上だから彼女はもうすぐ卒業してしまう。

今までは学校ですれ違ったり、授業の休み時間にちょっとだけ会ったり、朝ごはんにパンケーキを食べに行ったりした。

起き抜けの彼女と電話したり、お互いのスケジュール帳をにらめっこして、この日の夜なら会える!と喜んだりした。

卒業してしまったらなかなか会えなくなるんじゃないかと寂しくなる。

海外に行っちゃうかもしれなくて、そしたらちょっと泣いちゃうと思う。

でも私は彼女のことがとても好きだから、そうやって「実はこうしたい」と悩みながら、私にはできないかっこいいことを成し遂げながら、遠くまで行っても私はずっと友達だから。

ちょろい女子大生の川添理来です。