「可愛い」と言われたい

可愛くなりたい。

私は高校まで必死に校則を守り続け、メイクもしないし髪も染めないし、オシャレもしなかった。北海道の田舎でダサい☆オブ☆ダサいを極めてから東京に出ていった。もう、何を着ていたのかなんて記憶から消え去っているので、それくらいやばかったのだろうね……。

都会の子、可愛すぎて泣きたい

大学入学後は「ダサい☆オブ☆ダサい」を悲しいかな継続していたけど、やっぱり都会の子は本当に可愛くて、私なんか壁以下みたいな感じで、泣きたかった。人生負けている感じがした。私も都会に生まれていれば可愛い女の子になれていたのだろうか……。せっかく校則を誰よりも真面目に守ってきたのによ~~~!くっそ~~~!!恥ずかしいじゃね~か~~!!


ずっと欲しかった言葉

まず、思い切って前髪を作ってみた。クラスメートが、「前髪あるの、可愛いね」とほめてくれた。

成人式もあるのでショートだった髪の毛を伸ばし始めた。肩の下に来るくらいになったとき、友人が「その長さ、可愛いね」と言ってくれた。

成人式も終わったけれど、ショートに戻すのはもったいなくて伸ばし続けた。メイクも軽くするようになって、ネイルもキラキラが楽しいと思い始めた。久しぶりに会った親戚のおばさんが「理来、可愛くなったじゃん!」と言ってくれた。

サークルの先輩に盛れたと思う写真を送ると、「もっと可愛いくなれるポテンシャルあるよ」と言われた。

「可愛い」はずっとずっと欲しかった言葉だった。


可愛くなるとは

こうして今の私である。
髪を伸ばして、スカートを穿いて、軽くメイクをして、日焼けに気を使って、休みの日はキラキラネイルをする。300円で可愛いイヤリングを買って、ご飯を食べた後はリップを塗りなおす。枝毛が気になって、脱毛してーなーとか思って、あと5キロ痩せたら最高だなと考える。

出かける予定があるとそのために本気で服を選んで、どっちのバッグが合うか、どのサンダルにしようか、ヘアゴムとイヤリングはどうしようか考えまくる。直前まで「ダサい☆オブ☆ダサい」だった自分はとりあえずベットに捨てる。
服を着て髪形やメイク、一つずつ足していくと自分が強くなっている感じがする。アイドルの動画を凝視するときの猫背ではお気に入りの服やイヤリングが死ぬので、背筋を伸ばす。何か食べるととお腹がぽっこりしてしまうので、とりあえず水を飲む。

可愛くなるとは、武装することと似ている。


自分の好きな服を着て、妹が「楽だけど可愛い」と教えてくれた髪形をして、お気に入りのメイクをすると、おっしゃ~~可愛いぞ~~今名前を呼ばれてもベストオブ私で振り向けるぞ~~強いぞ~~!って気持ちになる。食事の後にリップを塗りなおすのは、いったん脱いだ鎧を付けなおすようなものなのだ。


可愛いって楽しいんですな

高校までメイクとかオシャレとか縁がなかった。私はそういうのはしないと思っていた。今は人に可愛いとほめられることがすごく嬉しくなったし、何より自分を自分で可愛いと思えるようになった。

可愛くなるってちょー楽しいことだと気が付けて良かった。
可愛いって、マジで楽しいな~~~!!

今の目標は、痩せることです。

ちょろい女子大生の川添理来です。