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まぬけなんだなあ


まぬけだなあと思い、まぬけだねと言われる。

嫌だなとは思わなくて、恥ずかしいとはちょっと思う。

ぴかぴかに磨かれたガラスドアが見えなくて激突し、自分の足がどれくらい高く上がるのか知りたくなって思い切り足を上げた勢いで滑って転んだ。
自転車に乗ってぼーっとしていたら縁石にぶつかって転び、駅の階段をふみはずしておでこを血だらけにした。

留学の申し込み直前でひとつ資料が欠けていることに気が付いて慌て、奨学金のための資料を前もって用意していたら有効期限が前日に切れた。


まぬけだなあと言われ、本当にまぬけだなあと思う。

直したいとは思うけれど、ガラスドアにぶつかったり階段をふみはずすとかはどうしようもなかったりする。

でも自分がまぬけであると自覚することで、この人がたくさんいる道を通ったら絶対にラーメンのスープこぼしちゃうなとか、締め切りはまだ先だけれど今のうちに資料は用意しておこうとか、前もって行動ができる。

私がまぬけだというのをわかってくれる人が近くにいると、助けてもらえる。


まぬけだなあと思い、まぬけだねと言われるけれど、まぬけで人生失敗しているかと言われたらそうでもなかったりする。

この人とっても優しいなと思えたり、自分のどうしようもない失敗ですごく笑えたり、「まぬけ」と書きすぎてゲシュタルト崩壊が起きたりもする。

自分の失敗をあははと笑って、時にはマジで笑えないときもあるんだけど、楽しく生きていると思う。

まぬけで良かったかと聞かれたらそうでもないんだけど、まぬけでも良かったかと聞かれたら、まぬけでも良かったなと思う。


ちょろい女子大生の川添理来です。