新しいもの
これでいいかな、と鏡の前で左、右と体を揺らす。
いとこに「今日の私、どうよ」と聞くけどゲームに集中していて返事は返ってこない。
あと30分で家を出なくてはいけない、急いで洗面台に行って化粧品を手に取る。おでこにニキビ予備軍ができているのでクリームで鎮静化を祈る。
欲しかったプリーツスカート。
最近流行りのトップスの前だけインをしてみるとスッキリ見えるので嬉しい。
新しい服を買っただけでとても楽しくなる。
友達に見てほしくなって、「これ、新しい服なんだけどどうかな」と感想を求めてしまう。
小学生のころは新しい鉛筆キャップが嬉しかった。
好きな色のキャップだったり、小さいストラップが付いてたり。見つめてニコニコになって、時間が経つと他の人のキャップが羨ましくなった。
新しいものは、自分は新しくもなんともなってないのに新しくなった気にさせてくれる。
たまに新しい化粧品を買ったり、新しい服を買ったり、アップデートしていくと自分を高めに保てるように思える。何の高め低めかはわからないけれど、そんな感じ。
友達が誕生日にくれた口紅は私に合っていてよく馴染む。
フェイスパウダーが無くなってきた。今使っているやつはどこで買ったのか覚えていないし、すぐ肌が乾燥してしまって本当に良くない。新しいのを買わなくちゃ。
アイラインを描いて、顔が完成した。
もう一度姿見の前に立ってコートを羽織っておじさんに「今日の私、かわいい?」と聞くと「理来はポテンシャル高いから可愛いよ」と言ってくれる。
靴を履こうとして、もうこの靴も4年目になることに気が付いた。ぺたんこの靴だし、ヒールを買っても良いかもと思う。
バスが来てしまうので急いで家を飛び出す。
ちょろい女子大生の川添理来です。