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「残された者」

北極で墜落事故に遭い、1人でサバイバルする超辛い話。

無人島でサバイバルみたいな話は結構あるような気もするし、無人島で何か1つだけ持っていけるとしたら何ですか?なんて設問はごくごく当たり前のように使われるし、なんならそんな状況も結構楽しそうです。
しかし、そこで想定するのは南の島です。海があって気候も快適なら、なんとなく何とかなりそうな気がしないでもない。しかし、それがクソ寒い北極だとしたら、これはもう考えたくもない地獄です。

墜落した小型飛行機の中で過ごし、食べるものは釣った魚を生で。「北極で釣れた新鮮な魚を生で食べるなんて、こんな贅沢な事はない!」なんてアラン・デュカスさんなら言いそうですが、流石にキツい。サビも醤油もありません。

そして、さらなる絶望が起こります。とうとう待ち望んでいた救助のヘリコプターがやってきたものの、なんと目の前でフラフラと蛇行した挙句に墜落。。これはもう間違いなく発狂案件でしょう。

墜落したヘリから、意識を失っている女性を救出します。さらに、地図、ライター、ソリ、カップラーメンを発見。これはもう夢のようなアイテムの数々です。ドラクエで大量の宝箱を発見したようなもんです。

早速、ライターでコンロに火をつけ、ラーメンを作ります。新鮮な魚の身を一緒に煮込んで特製シーフードヌードル!不味そうですが、これぞ最高の贅沢です。

今まではどうすることもできず、ひたすら他力本願で救助が来るのをアテもなく待つだけだったのが、地図を得たことによって、観測基地の場所も分かり、安心安全な場所を捨てて、リスクを取って観測基地へ向かおうとします。
しかし、助けた女性が相変わらず意識不明のまま。これは全く以て大きな負荷ですが、彼はそれを背負い込み、この女性をソリに乗せて引っ張っていきます。

彼女は大きな負荷であるとともに、大きな原動力にもなっています。
意識がないとはいえ、ひとりでいる時とは全く違う様々な感情が湧き上がって、それが大きなエンジンとなる事は容易に想像できます。

見ず知らずの意識を失った女性のために、とてつもない困難と試練を引き受ける彼の心情こそが、この映画のキモです。

それと、地図も重要です。人間、何をすれば良いのかと、どこへ向かえばいいのかが、はっきりと分かれば力を発揮しますが、それが不明瞭だと、腰を入れて頑張る事はできません。



ほとんどマッツ・ミケルセンの一人芝居のようなものですが、さすが北欧の名優です。


7.5

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