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おとなの事情

3組の夫婦と1人の独身男の7人が集まり、身の毛もよだつ恐ろしいゲームを始めます。

全員がテーブルに携帯電話を置き、届いたメッセージをみんなに晒し、電話がかかってきたら相手に知らせずにスピーカーで話さなければならないという地獄のようなゲームです。

これをドヤ顔で提案した女性はまさに悪魔ですが、彼女がこれを提案した理由も後半明らかになります。

ただでさえ危険極まりないのに、節操のないイタリア人(偏見??)が集まって、こんなことをしたら、無事に済むはずがありません。

サッカーではカテナチオと言われる鉄壁の守りで有名なイタリアでしたが、こと下半身に関しては鉄壁の守りどころか、文字通りオープンな打ち合いが持ち味です。(イメージです)

予想通りどいつもこいつもな展開になります。

いくら断りづらいとは言え、あんなにひどい秘密を抱えておきながら、よくもまぁこんなゲームを受けたもんです。
すべての着信音がロシアンルーレットかロシアンフックか黒ひげ危機一髪みたいなものです。

とりあえずは軽いジャブやフェイントのような着信が続き、コメディーの体をなしていますが、その場が凍りつくような恐るべき着信が入ってスイッチオン。
地獄絵図が展開されます。

都合の悪いメールがポンポン飛んできて、次々と悪事が暴かれていきます。受けたら大怪我。ラグビーでいうホスピタルパスです。

雰囲気はこれ以上ないほどに最悪となり、どんよりとした深刻なムードになっていきますが、自業自得すぎて笑えます。


パオロ・ジェノベーゼ監督の作品は、先にザ・プレイスを見ましたが、両方とも特異な舞台設定の下で深層心理を炙り出す手法が冴え渡っているし、最後の仕掛けも一筋縄ではいきません。


途中で皆んなで月蝕を見ながら、一人が「Dark side of the moon 」(ピンクフロイドのアルバムタイトル)と呟くシーンがありますが、見終わった後でこの一言の意味が効いてきました。

インセプションを思わせる指輪のシーンとか、最後に着ているシャツの色とか、示唆と余白のバランスも良かったです。

8

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