#42 ベトナムのお店が完成し、スピリチュアルを感じた日
■このマガジンについて
ベトナムにネイルサロンをオープンしたのは、2016年8月。
フリーフォトグラファーとして日本で気ままにやってきた私が、ベトナムで1からお店を作って、スタッフを持つなんて考えた事がありませんでした。
でも、あるとき海外でチャレンジしたい病にかかってしまったのです。
それからは、新鮮で刺激の多い日々...。
全てが初めてでどれも大変な作業の連続。落ち込む事も多いけれど喜びの方が多いんです。
だって、毎日楽しいんだもの。
■私のお店、KawaiiNail&Eyelashが誕生した
ベトナムホーチミン市、42Nguyen Hue(グエン・フエ)アパート。
ここはサクセスストーリーが生まれる場所と言われている。
ベトナム政府によって近々アパートが取り壊しになる計画が出ている。
それをを知りながら、私はここでネイルサロンを作ることに決めた。
やっとオープンまで来たか...。
ここ1週間ほど、工事の追い込みと開店準備で、頭の回転も肌の調子もすこぶる悪いが、そんなことは言っていられない。
今日は大事な日なのだ。
今日の予定
7:30- 店舗イメージ撮影
9:00- 開店
18:30- スタッフたちとオープニングパーティ
撮影するなら...全てが一番良い状態の今だ。
私は店の隅っこで放置されている、ホコリで真っ白になった三脚ケースを開け、カメラのセッティングをはじめた。
私:おはよー。みんな今日は朝早くから出勤ありがとうね。
タン・スタッフ:おはよう!いえいえ。いよいよですね。楽しみ♫
私:そうだね!で、時間がないのでさっそくだけど...。
一番綺麗な時にお店を撮影するから、みんなは家具の整列を確認して、クッションを定位置に置いて!
タン・スタッフ:(え。まさか。。コイツ今から写真撮る気か!?)
今はスタッフたちの反応に構っていられない。
ベトナム滞在時間があと2日しかない私にとって「いつやるの?今でしょ!」と林修先生バリの顔でみんなを見た。
部屋の四方から全景、テラス席のイメージ、部分アップと様々な角度から撮影していく。
私はよくカメラを持つと人相が変わると言われる。
この日は特に怖い顔だったのだろう。
いつもはワイワイとしているスタッフが終始無言でとても緊張していた。
私:ぜぇぜぇ...。はぁ。なんとか大まかな撮影が出来た...。そういや、今日のスタッフは静かだな?
タン:ゆうちゃん、鬼みたいな顔になってるよ。怖い。
私:ハッ...カメラを持ってしまうとつい.......。もうあと少し撮影したら終わるから。
タン・スタッフ:え。まだ撮るの...。
テラス席にネイルテーブルを運び、マカロンをレイアウトしていく私。
このイメージ撮影には絶対マカロンが必要だと決めていた。
(そういや、ホーチミンでマカロンを探しまくったな...)
私:マカロンの位置、これでどう?
スタッフ:もうちょっと右!
スタッフ:OK!綺麗!!
私:よし!撮ろう! カシャ!
ちょっとアングルを変えて。カシャ!
ついつい楽しくなり、スタッフと交代で椅子に座り写真を撮りあった。
タン:もうそろそろ良いんじゃない?
私:はっ。時間......つい集中してしまった。
タン:8:50だよ。あと10分でオープンの時間。
私:うぉお...。とりあえず集合するからタンくん、シャッター押して!
グランドオープンの10分前でもこのバタバタ加減(先が思いやられる)
■最初のお客様
撮影機材と家具を急いで片付けた後、スタッフ達は店の外へお客様がいないか見に行ってくれた。
それから数分後、若い女の子を連れて店へ戻ってきた。
彼女は日本の浴衣生地で作った甚平を羽織り、とてもかわいらしい雰囲気の女の子だった。
お客様:わぁ。かわいい!(日本語で)
私:おぉ?このベトナム人のお客様、日本語を話した!?
よくよくお話を伺うと、彼女は日本が大好きなベトナム人(フランス人系)だった。
モデルをしていて、日本でもショーや雑誌で活躍しているそう。
「ginka(ギンカ)って名前で活動しています。写真が必要な時はいつでもモデルになるよ♡」だって。
最初のお客様が彼女だったなんて、なかなか引きがいいよね。
今日の為にギンカさんは、わざわざ甚平を着てご来店してくださったそうだ。
甚平とおそろいの色でネイルをオーダーしてくださったギンカさん。
(目が閉じてる写真しか無かった。悲しい...)
そして、ギンカさんが帰った後からお客様は少しずつ増えていき...
14:00には満席!(テラス席も埋まっちゃった)
これは、本当に嬉しかった。
お店ができるまで大変だったけど、その大変さを忘れてしまうくらいだ。
しかし集客ツールが少ないなか、まさか満席になるとは思わなかった。
オープン当時の集客ツール
①アパートの入り口看板
②エレベータ内広告
③DMのちらしくばり
④Facebookページ
⑤店前の看板
お客様たちは、どうやって私達を見つけてくれたのだろう...。
スタッフ:どうしてこのお店を見つけたのですか?
お客様A:アパートを探索していて見つけたよ。
お客様B:エレベータのポスターを見て来たよ。
90%がこのアパートに来て、KawaiiNail&Eyelashの存在を認知してくれたお客様だった。
「私がここからスタートしたいと、このアパートでお店を作ったのが正解だった。はああぁぁ。良かったー」
「ひとまずやりきった。これで心置きなく日本に帰れる...。」
こんな気持ちで帰国を待つのは初めてだった。
■ファミリーも集合!Kawaiiオープンパーティ
その後もお客様は途切れず来てくださったが、17:30には一段落していた。
しかしお客様が0になった途端、スタッフたちはなんだかソワソワしている。
私:なんだかスタッフたちがソワソワしてるね。なんで?
タン:それはね。今からおしゃれをしないといけないから。
私:へー。そうしたら、今日はもう閉店したほうが良い感じ?
タン:はい。そうですね。そうするべきだと思います。
タンくんに、「今日は閉店するべき」とおしゃれの準備タイムの必要性を聞いた私は、初日だが30分早く閉店することにした。
私が「今日はもうお店を閉めるからみんな準備していいよ」と言うと、スタッフたちは、メイク直しはもちろんヘアーもコテで巻き出した。
私:メイク道具やらコテまで持ってきたのか。本気だな。
(私の顔面ドロドロなんですけど?)
タン:ははは。30分早く閉めたけど、時間は足りないねhihi
ちなみに、今日のオープンパーティ。
スタッフはもちろん、彼女達のご家族を交えた特別な会だ。
「これから、よろしくお願いします!」ってスタッフのご家族にも挨拶しておきたかったの。
妻や彼女がどんな日本人と仕事するのか。
絶対知りたいだろうし、顔を見ておきたいはず。
手前にめちゃくちゃ笑っているのがTang(タン)くん。
そのすぐ後ろがネイリストのLinh(リン)さん夫婦。
一番奥には、ネイリストのAnh(アン)さんと旦那さん。子供ちゃんたちも一緒にきてくれた。
ネイリストのLinh(リン)さんと旦那さん。子供も一緒に来てくれたんだけど、その子がシャイボーイ過ぎて写真が一枚もなかった ...。
ネイリストのThu(トゥー)さんと通訳者のLy(リィー)さん。
日本語が話せるスタッフは本当にギリギリまで見つからなくて、リィーさんはオープン前日に採用が決定した。
パーティの最後には、タンくんからサプライズのお花も頂き、感激したのを覚えている。
0だった物をを1に出来た自分に「誇らしさと自信」を感じたのがこの時だった。
そして、ネイリスト面接をしてから8ヶ月。
いつ出来るかはっきりわからない中、サロン完成を待っていてくれた彼女たちと一緒に働けると思うと嬉しかった。
■スピリチュアルを感じた日
オープンパーティも終わり、ほろ酔いでホテルに帰った。
「今日も一日濃い日だったなぁ。もうシャワーして寝よう」とシャワールームに入った途端。
【【【 バッターンッ!!!!!! パリーン!!! 】】】
私はシャワールームのタイル床に滑って大転びした。
「いったぁ〜。」
しばらく立てずにいたが、なんとか起き上がった。
そして、なんで転んだのだろう?と床を見ると、赤い血がポタポタ。
私は腕から流血していた。
「ぎゃーぁああ!!パックリ切れてるーー血がぁー!!」
「あ。あれ?ブレスレットどこ?」
肌身はなさず付けていたストーンブレスレットが、腕から消えていたのだ。
「うわ。バリバリに割れてる!このブレスレットが腕に刺さったのか」
「ひぃいい。急に痛みがーっぁあ」
ベトナムホーチミン市、夜の10時を回っていた。
私は病院に行くことも出来ず(行き方どころか、どこに病院があるかすらし知らない)
転んだ驚きと、腕から出血の恐怖で泣きながら応急処置した。
とりま、絆創膏を貼って↓
包帯が無いから、靴下を巻いてゴムバンドで止めてみた。↓
気が動転している時は、恐怖を感じていた私だったが...
絆創膏を貼り靴下を巻いているうちに痛みもそれほどでは無いことに気づいた。
なので「とりあえず明日でいいや。今日は寝よう」と判断しぐっすり寝た。
石が私を守ってくれたのかな?
このブレスレット。ベトナム中部のダナンで一目惚れして買った物です。
石で作った輪っかなので、一度腕にはめると外すことのできない仕様になってるの。(だからはめる時は無理やりはめるから、痛いんだけど)
ベトナムにお店をつくりたいと思いだす前に買って、それ以来ずーっと付けたまま。今から思うと、このブレスレットは私を見守ってくれてたのかも?
でも、さすがに石神も私を無傷で守るのは無理だったので、私の腕をちょっと傷つけたのではなかろうか...。「お前、これから頑張れよ!」の意味も込めて...。
(後日談)
帰国したらすぐに病院に行ったが、特に縫うこともなく塗り薬で傷口はふさがった。
「あと少しずれていたら結構太い血管が切れてたよ(笑)セーフだったね!」と病院の先生に脅され、背筋が凍りついた。
まさかオープン初日にやらかすとは......
私は話題に困らないタイプだワ。
KawaiiNail&Eyelash sns (@kawaiisaigon)
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