#33 おしゃカフェを仕切るおばさんとドリンク開発した|ホーチミンのネイルサロン
■このマガジンについて
ベトナムにネイルサロンをオープンしたのは、2016年8月。
フリーフォトグラファーとして日本で気ままにやってきた私が、ベトナムで1からお店を作って、スタッフを持つなんて考えた事がありませんでした。
でも、あるとき海外でチャレンジしたい病にかかってしまったのです。
それからは、新鮮で刺激の多い日々...。
全てが初めてでどれも大変な作業の連続。落ち込む事も多いけれど喜びの方が多いんです。
だって、毎日楽しいんだもの。
■ホーチミンの古アパート|オシャレカフェを裏で牛耳るおばさんを味方につける
ベトナムホーチミン市 42Nguyen Hue(グエン・フエ)アパート。
このアパートはサクセスストーリーが生まれる場所と言われている。
ベトナム政府によって近々アパートが取り壊しになる計画が出ている。
それをを知りながら、私はここでネイルサロンを作ることに決めた。
今回は、大工さんたちとのランチ話がきっかけで「実家かよ!」と突っ込みたくなるnhan(ニャン)おばさんのレストランを知り、彼女との共同メニュー開発をした話をしたい。
■ホーチミン市の一等地で、ベトナム人はランチに何を食べているのか気になった。
施工工事が始まり、毎日のようにサロンオープンを色々手伝ってくれているタンくんと一緒にバタバタを過ごしていた。
ランチはきちんと取りたいが、そんな余裕などない。
同じアパートのレストランで軽食を取るか、朝に買ってきた150円のバインミーで空腹を紛らわしていた。
でも、大工のお兄さん達は、ランチタイムになるとフラっと消えて、30分後には爪楊枝をくわえ、満足した顔で現場に帰ってくる。
ここはホーチミン市のど真ん中。(経済の中心という意味でも)
ちょっとしたカフェやレストランで軽食をとるだけで100,000vnd(約500円)を超える。
平均月収が約28,000円(2018年時点)のベトナム人にとって、ランチに500円使っていたら、たちまち金欠になってしまうだろう。
「なぞだ。彼らはどこで食事しているのだろう...」
私:いつもどこでご飯食べてるの?
大工さん:9階のおばさんのところ。
私:へー!私たちのお店と同じ階にレストランがあるの!?
大工さん:安くてウマいよ、隣だし。
ベトナム人が食べているランチと相場
①Cơm Tấm(コムタム)
ベトナムではご飯+おかずの定食のことをCơm Tấm(コムタム)と言います。
炊いたお米(ブロークンライス)を、焼いた豚や鶏肉と野菜、目玉焼きなどと共に食べる料理です。相場はひと皿30,000-50,000vnd
②Bún (ブン)
米麺を使った麺料理で、汁あり汁なしがあり、牛や豚肉と野菜などをと共に食べます。相場はひと皿25,000-50,000vnd
③Phở(フォー)
日本人にとって、ベトナム料理といえばPhở(フォー)
牛肉や鶏肉、野菜が入っていて、お出汁も飲み干してしまうほど美味しいフォーですが、ホーチミンでは割高なイメージです。相場は一杯50,000-80,000vnd。
■レストランだと思って行ったら「実家かよ!」と突っ込んでしまった。
大工さんに聞いたレストラン。
聞く所によると、一つ家を挟んだ隣にあり、ひっそりとやっている個人店らしい。
おそらく、ローカル店だろう。
私は、タンくんと一緒に行ってみることにした。
扉の前には、小さなホワイトボードにいくつかの料理名が書いてあるが、窓が無い扉だから、中の様子は見えない。
私達は、扉前でガサガサしていると、中から背の小さなおばさんが扉を開けてくれた。
おばさん:こんにちは。ご飯食べる?
私:はい。食べに来ました。
おばさん:はい、どうぞ。靴脱いでね。
私:この空気感と中の様子は!! 実家かよっ!
現在は、お店仕様にリフォームされてもっとレストランぽくなった。
が、当時は”おばさんの住んでいる家にご飯を食べに来た”という言葉がぴったりだった。
【Nhan(ニャン)おばさんのお店】
おばさん:MÌ XÀO BÒ(ミーサオボー)でいい?
私:タンくんそれ何?
タン:牛肉入り焼きそばのことだよ
私:うん。それにする。てか、メニューは一体どこへ......?
MÌ XÀO BÒ(ミーサオボー)は半熟の目玉焼きが乗っていて、塩焼きそばに近い味がした。
MÌ(麺) XÀO(炒める) BÒ(牛肉)=牛肉と一緒に炒めた麺
■おばさんはアパートのセントラルキッチンだった
それからというもの、おばさんのお店にちょこちょこ顔を出すようになり、私は彼女のミーサオボーが大好きになっていた。
ある日、おばさんからグエンフエアパートの秘密を教えてもらう。
それは......
おばさん:実は私ね。このアパート内のいくつかのレストランにお料理をデリバリーしているのよ。
私・タン:ええ!どゆこと?
彼女はアパート内の飲食店とメニュー開発をしたり、お店が作れない料理やドリンクをデリバリーしていたのだ。
【【【 まさに、グエンフエアパートのセントラルキッチン! 】】】
(店舗の中ですべて調理しているレストランもあります)
おばさんはパスタや肉料理、ドリンクなどを担当していた。
(この写真を提供しているカフェは閉店しました)
このアパートは、小さい部屋もたくさんある。
客席をたくさん取りたいからと、キッチンを最小限にしているカフェも多いのだ。
お店は、おばさんが作った料理を、綺麗に盛り付けてお出しするだけだから効率もいい。
料理を作れるスタッフ、材料や調味料をストックしなくてもいいしね。
(もちろんデメリットもあるだろうが)
私:おばさん、すごいじゃん!商売上手!!うちもオリジナルメニュー作るから、近くだしデリバリーしてくれる?
おばさん:もちろん!あなたはお得意さんだからね!
という具合に、私の交渉は簡単に成功した。
実は、印刷数と在庫置き場の問題があり結局作ることは無かったが、私は紙コップデザインまでしていたくらいドリンク提供を真剣に考えていた頃だった。
だけど、おばさんからドリンクがデリバリー出来るなら、色々解決するじゃん!
私が考えていたドリンク提供について
ベトナム人にとって、カフェでお茶をしたりテイクアウトしたドリンクを飲むことは「粋なこと」だと聞いていた。
だから私は「オリジナルドリンクも提供したらもっと喜んでいただけるのでは?」と考えていたところだった。
ちょうどこの頃、アパート内のカフェに直接伺い「デリバリーできないですか?」と交渉したり、スタッフが無理なく提供できるドリンクメニューを開発しようかと試みているところだった。
■ドリンク開発が始まった
話が決まれば行動の早いベトナム人。
おばさんは「まずは私の作るTrà sữa(チャースア)を飲んでから決めて!」と早速作り出した
Trà(お茶) Sữa(ミルク)=ミルクティー
私はベトナム人の「今すぐやろう!」というスピード感が好きだ。
リプトンはベトナムでもメジャーで、紅茶のことを「リプトン」と書いてある店もあるくらい、よく飲まれている。
ベトナムのミルクティーはお茶に、練乳と氷を入れて仕上げる。
おばさん:暫定で作ったけど、こんな感じ。ちょっと味見してみて。
私:ゴクリ。うん!美味しい。もっと甘いかと思ったけど、さっぱりしていて飲みやすいね。
タン:ベトナムの女性はベトナムのミルクコーヒーよりミルクティーの方が好きですよ。
その後も私達のドリンク試作は続き、最終的に12種類作った。
ベトナムならではのドリンクは...
・Nước Màu(ヌック マウ):梅エキスを煮詰めて作った梅シロップのソーダ割りジュース
・Sinh Tố(シントー):アボカドやいちごのスムージ
・nước cam(ヌック カム):ベトナム産オレンジの生搾りジュース
・nước chanh dây (ヌック チャンジャイ):パッションフルーツジュース
・Cà phê sữa đá(カフェ スア ダー):ベトナムミルクコーヒー
・Trà sữa(チャースア):ベトナムミルクティー
今回インプットしたこと
・自分で美味しいレストランを探すより、現地人におすすめを聞いた方が見つかりやすい。
・グエン・フエアパートはまだまだ知らないことが多い。もっと知りたい!
・ベトナムでは、おじさんよりおばさんの方がキーマンであることが多い。
(物件を紹介してくれたジュース売りのおばさんや今回のニャンおばさん)
・やっぱり「こうしたいな」と思い、自分が動き出すと、物事が叶う方向に向かう。(確信した!)
・ベトナムの練乳(ビナミルク)を使った飲みものが美味しい。
個人的な意見だが、アボカド シントーは飲んだ時に衝撃を受ける旨さだ。
KawaiiNail&Eyelash (@kawaiisaigon)
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