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個人投資家説明会のご質問に回答させていただきます-その1

個人投資家向け説明会で数多くのご質問をいただきましたので、回答をさせていただきます。
できるだけ多くの方のご質問にお答えさせていただきたいこともあり、比較的多かったご質問からQ)に対するA)のスタイルでお答えしたいと思います。

一つ目はフラクタ社に関するご質問です。

フラクタ社の技術を活かして

Q1)フラクタ社とのパートナーシップは、販売代理店としての収益以外に日本鋳鉄管のビジネスにどう生かされるのでしょうか?
フラクタは水道管の売り上げを増やすことに貢献できるものでしょうか?
シナジー効果があれば教えてほしいです。

A1)日本の水道業界における大きな課題の一つは、老朽化が進む水道管を、財政的・人的資源が限られる中、いかに効率的にスピード感を持って更新していけるかです。ダクタイル鋳鉄管の法定耐用年数は40年であり、これは、耐用年数に従って更新を終えるためには、年間2.5%のペースで更新が必要であることを意味します。一方、現状の年間更新実績は0.70%であり、更新に143年かかることとなり、年々このギャップが広がる傾向が続いています。

潜在需要

法定耐用年数経過でたちまち漏水するわけではありませんが、143年間問題なく利用できることもあり得ず、現に国内で年間2万件を超える漏水事故が発生している状況です。

そこで、いかにして適切な優先順を定めて更新を行うかが極めて重要なファクターになってきます。

当社はそうした状況を踏まえ、水道管メーカーとして単に水道管の製造・販売のみならず、老朽更新がより無駄なく実施していけるために、管路状況のデータベース化から更新対象の評価・特定、更新設計立案に至るプロセスを一貫してご提案していけるよう、「管路分野のInnovative All in ワンストップ企業」としての活動を続けております。

日本鋳鉄管様_画像データ0614

ここで極めて重要な役割を果たすのがFRACTA社の劣化診断AIの技術です。1000項目にも及ぶ環境要因等のファクターを取り込むことにより、他に類を見ない精度で劣化予測が可能であることが実証されています。「限られた財政的・人的資源」を最大限活かすという、事業体ニーズにかなうものであり、これらの資源制約を緩和・対処することにより、今や社会的課題となっている老朽更新の促進、ひいては更新需要の創出による当社の売上・収益の増加にも直結することとなります。

図1

FRACTAについては、以下のビデオをご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=x8fQQDqjvKo&t=17s

また、シナジーの観点では、まずは、従来接点を持ちにくかった一部事業体様への営業活動拡大のトリガーとなります。加えて、現在導入が拡がりつつあるデザイン&ビルド(事業体様の業務効率化・簡素化が可能となる、設計施工一括発注方式)への対応を当社においても進めておりますが、FRACTA社AIの管路劣化予測技術はこの分野での競争力強化に大きく寄与するものです。管路データが十分に整えられていない事業体様においては、更新事業の優先順位付けを適切に行うことが難しいケースが多く、FRACTA社の技術が極めて有用なものとなります。このデザイン&ビルド等、新たなビジネスモデルを展開していくことによって、今後の業容拡大、売上・収益増加を実現して参ります。

次は社員に関する質問です。

プロパー社員に期待!!

Q2)役員名簿を拝見すると親会社出身の方が多いようですが、プロパー社員で役員になるような人材が育たないということでしょうか?

A2)役員構成は、現時点の断面を切り取ると、親会社出身者が多くなっていますが、2019年3月時点では、生え抜きの役員3名を含む計8名の取締役体制でした。

当社の企業規模を鑑み取締役会をスリム化し、議論をより密度の高いものにすると同時に意思決定を迅速化するために、役員3名の退任のタイミングで順次減員し、5名体制(内社外役員2名)といたしました。このタイミングで退任したのが、年齢構成上たまたま生え抜き役員であったため、この時点の断面を切り取ってみると社外出身役員主体の現構成となっております。しかしながら、取締役を減ずる一方で、新たに、役員に準じる立場で業務執行を行い将来の役員候補として研鑽を積む位置づけの理事職を設け、各分野で執行の中核となっている社員をこれに任じています。次の役員候補である理事は、5名のうち4名がプロパー社員です。適材を起用する方針に変わりは無く、近い将来、現在の理事の中からも役員が選任されると想定しています。

水道管分野での存在感を

Q3)水道管シェアは約10%程度だと認識していますが、他社よりもシェアが低い理由はどこにあるのでしょうか?
地方自治体の予算に業績が少なからず影響を受ける中、どのように業績拡大を進めていくのでしょうか?

A3)当社は1937年に東洋精機として、内燃機関用ピストンおよびピストンリングの製造会社として創業しました。戦後の構造転換の中、東京ガス株式会社様の支援を受けガス管中心とした鋳鉄管製造を開始しました。その後事業危機が訪れた際に日本鋼管株式会社様(現JFEスチール株式会社様)から資本参入による支援を得て、水道管をメインとした事業へと転換を図ってまいりました。

参入当初は、水道向け鋳鉄直管への技術ノウハウがなく、株式会社クボタ様の支援も得ながら、キャッチアップしてまいりました。それまで2社体制であったところに当社が新規参入したわけですが、ピストンリングの会社からスタートし、水道向け鋳鉄直管へ転身を図ったという意味で競合2社と比べると創業からの生い立ちに違いがございます。拠点が関西にある競合2社に対し、当社は関東に立地することとしましたが、前述の経緯や設備能力から生産量としては業界全体の10%となり、そのレベルの事業規模にて地に足のついた企業活動を行ってまいりました。そうした中、水道管の新設により需要が伸長・高止まりしていた時期を終え更新需要が主体となったことに加え、メーカーと販売店の関係が強固である等のマーケット構造によって、結果としてシェアが固定的となっている傾向がございます。

しかしながら、単なる製造・販売というビジネスモデルから脱皮し、例えばFracta社の老朽診断技術を活用しながら管路状況のデータベース化から更新対象の評価・特定、更新設計立案に至る一貫したサービスを提供することなど、徹底的に顧客ニーズに寄り添い、周辺領域をも活用したアプローチによって、シェアにこだわらずとも、水道管分野での存在感を増し、ひいては業績拡大につながるものと考えております。

当社が、推進工法の大幅な作業負荷軽減を実現した「オセール」も、施工業者様のニーズに徹底的に寄り添った末の新規開発商品です。
水道管分野での存在感増加に直結する新規商品・サービスの開発にも引き続き注力して参ります。

こうした、様々な顧客ニーズに寄り添った活動を徹底して行い、ステークホルダーの皆様のご期待に応えられる収益力を目指してまいります。

ご覧いただきありがとうございました。

その他にいただきました質問にも、近いうちに、ご回答させていただきます。

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