ESGとB-Corp ~持続可能な企業の指標~

不勉強なもので、ESGという言葉と、B-Corpという言葉を、今日NewsPicksで初めて目にしました。

ESGとB-Corpは直接関係する話ではないでのすが、「社会性と環境面でも持続可能な企業の指標」など共通している観点もあり、忘備録として簡単にまとめておきます。

なお時間がある方は、この記事を読むよりも、上記二つのNewsPicks記事を(プレミアム会員登録必要ですが)読むことをお勧めします。分かりやすいので。

または、以下のような記事でも良いと思います。

ということで、ちゃんとした記事は貼っておいたので、ここからはあくまで私自身のための、大雑把なメモです。

ESG ~環境・社会・ガバナンス~

ESGは、環境(Environment), 社会(Society), ガバナンス(Governance)の頭文字をとったものです。

なんでこの三つの概念の頭文字をとってわざわざ"ESG"という言葉を作っているかというと、この「環境」「社会」「ガバナンス」の三つを備えた企業、つまりESGにしっかり取り組んでいる企業が長期的に成長すると考えられるようになってきたからです。

そして投資家たちの間でも、どの会社に投資するかの観点として、このESGが用いられ始めているようです。なんなら、ESGの観点が甘い企業は投資対象から外すような動きすらあります。このように、投資の判断基準にESGの観点が含まれる投資のことをESG投資と呼びます。

世界共通の投資家の意思決定ガイドライン(PRI)にESGが含まれている

投資の判断基準にESGの観点が含まれる投資のことをESG投資と呼びます、と言いましたが、実はこれは一部の投資家の間だけのムーブメントではなく、世界規模でのムーブメントとなりつつあるようです。いや、もうなっているのかもしれません。

「機関投資家の意思決定プロセスにESG課題を反映させるべき」とする世界共通のガイドラインがあり、責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)と呼ばれるのですが、これは国連環境計画(UNEP)と国連グローバル・コンパクト(UNGC)の二つの国連機関が主導しているんですね。ただし、国連の一部の正式なものではなく、あくまで国連がサポートしているもの、という意味合いだそうです。

責任投資原則の6つの原則
1. 私たちは投資分析と意志決定のプロセスにESGの課題を組み込みます。
2. 私たちは活動的な(株式)所有者になり、(株式の)所有方針と(株式の)所有慣習にESG問題を組み入れます。
3. 私たちは、投資対象の主体に対してESGの課題について適切な開示を求めます。
4. 私たちは、資産運用業界において本原則が受け入れられ、実行に移されるように働きかけを行います。
5. 私たちは、本原則を実行する際の効果を高めるために、協働します。
6. 私たちは、本原則の実行に関する活動状況や進捗状況に関して報告します。
from wikipedia

ESGのガイドラインに世界中の年金機構や運用会社が署名し、投資の判断基準にESGがある

で、ESGという概念は単にガイドラインに含まれて理想となっているだけでなく、例えば日本の年金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF: Government Pension Investment Fund)も署名しているんですね。(GPIFは厚生労働省所管の独立行政法人)

そして日本だけでなく、世界の様々な年金機構や運用会社がこのPRIに署名し、その運用資産残高の合計は20兆ドル以上(約2200兆円)に達したようです。

2008年のリーマン・ショック後に資本市場で短期的な利益追求に対する批判が高まったこともPRIの署名機関増加につながり、2019年3月末時点で2400近い年金基金や運用会社などがPRIに署名しています。このうち年金基金などアセットオーナーの署名は432にのぼり、その運用資産残高の合計は20兆ドル以上(約2200兆円)に達しました。GPIFも2015年にPRIに署名しています。
from https://www.gpif.go.jp/investment/esg/#c 
(太字箇所は私個人による強調)

約2200兆円というすごい金額がESGの理念に基づいて投資されており、逆にESGを意識していない会社は、投資しもらえる可能性がそれだけ下がるんですよね。

どんな機関がESG評価しているのかは、日本取引所グループのサイトを参考にしてください。

企業側のESG情報開示事例もありますね。

なお余談ですが、日本の年金積立金管理運用独立行政法人は世界中の年金運用機関の中で一番運用規模が大きいそうです。またそのポートフォリオは、全体の半分が株式投資となっています。

2018年度末時点の運用資産は159兆2,154億円である。2019年末では約169兆円。運用資産額は米国の社会保障年金信託基金に次ぐ世界第2位を誇る。ただし、米国の社会保障年金信託基金は100%が国債による運用となっている。英ウイリス・タワーズワトソンによると、2018年末時点で、世界の年金基金の中で、2位のノルウェー政府年金基金(9,823億米ドル)を抑えて運用資産額は世界最大とみなされている(約1兆3744億米ドル)。このことから、世界最大の機関投資家と呼ばれる
from wikipedia (太字箇所は私個人による強調)

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また、各国の年金機構がPRIに署名している背景の一つとして、「年金は長期に渡って安全に運用されないといけない」というのがあり、長期に渡って安全に運用できる = ESGを満たしている必要があるという図式があるようです。

まぁ確かに、私たちが納めている年金は数十年後に受け取るものですし、その間に運用に失敗したら大問題ですもんね。

ESG投資インデックス

もしESGを意識している会社に投資したいとなった場合、日本株だとこのあたりが参考になりそうです。

- MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数
- FTSE Blossom Japan Index

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は7月3日、日本株のESG投資インデックスを3つ選定したと発表した。採用されたのは、ESG要素全てを考慮に入れる総合型で「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」「FTSE Blossom Japan Index」の2つと、ESGのうち「S(社会)」テーマのみを考慮に入れる社会テーマ型で「MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」の1つの合計3つ。「E(環境)」テーマ型指数については、目下継続審査中
from https://sustainablejapan.jp/2017/07/03/gpif-esg-indexes/27301

企業がESGを意識しているかどうかは、私たち自身にも大いに関係ある

ESGは何も運用機関だけに関係する話ではなく、「ESGをしっかり意識してる企業じゃないと投資しませんぜ」となったら、企業側もESGを意識するしかないですよね。ESGを意識してないと企業が(金銭的にも)持続できないとなれば、企業で働く僕たちも、各企業がESGをどれだけ意識しているかを知るのが大事になってくるのではないでしょうか。

ただ、現状ESG情報の開示基準はまだ乱立しているようで、次第に統合されてきているようです。


持続可能な企業を判断する別の考え方~ B-Corp~

ここまでは、「株式投資をする運用機関がESG情報を重視するようになって、だからこそ企業に勤める私たちも各企業のESG情報に注目したいですね」という話をしてきました。

ただ、社会や環境も意識してかつ利益も上げている会社、という観点ではESG以外にも指標があります。そのうちの一つがB-Corpです。

B-Corpは、NewsPicksの記事でのキャッチコピーが秀逸だと思うのですが、"「世界一(Best in the world)」ではなく、「世界にとって1番(Best for the world)」の企業を"と表現されています。

B-Corpは一言では企業に対する認証で、なんの認証かと言えば、環境・社会への配慮、透明性、そして法的な説明責任について高い基準を満たしていますよ、という民間認証です。

働く人、ユーザー、環境、社会と取り巻く全てがハッピーにということで、「世界にとって一番」なんでしょうね。

Certified B Corporations are businesses that meet the highest standards of verified social and environmental performance, public transparency, and legal accountability to balance profit and purpose
from https://bcorporation.net/about-b-corps
B corpのBは「Benefit(利益)」を意味しています。B corp認証を受けた企業は、株主の利益だけではなく、従業員、消費者、地域社会、環境に対して包括的な利益を生むビジネス活動を行っています。2006年から始まったB corp認証を取得した企業は、2020年7月現在、世界71カ国、150業種、3,393社あります。
from https://sdgs.media/blog/4999/

ESGもその項目に環境・社会というのがあり、なんだか似ていますよね。

B-Corp認証で有名なところはPatagonia。

さてそんなB-Corpですが、日本では現時点ではたった6社しかしか認証されていなく、国内でのまだまだ知名度は低いようです。

ESGと違い、B-Corp認証を受けた企業かどうかは私たち消費者にもわかりやすいです。

画像2

↑のように、商品ラベルにつけることができるようで。 
(画像は https://sdgs.media/cms/wp-content/uploads/2020/07/ecover_mark1.jpg から取得しました )

このようにB-Corp認証を受けると消費者へのアピールになるため、今後日本でも認証を受ける増えていくのかもしれませんし、自分が所属する会社もこうした認証を受けられる会社の方が良いかな、と個人的には思っています。

まとめ

長々と書きましたが、今日のまとめはこんな感じです。

- 投資家の意思決定プロセスの一つに、企業のESG(環境・社会・ガバナンス)が大切になってきている
- なぜならESGを意識している企業じゃないと持続化が難しいし、ESGを意識している企業の方が結果的に利益が多いという研究成果もあるから
- 投資するときの意思決定基準にESGを置こうぜ、という国際ルールが責任投資原則
- 日本の年金運用も責任投資原則に署名してる
- B-Corpという民間認証も、ESGと細かな項目や基準は違えど、同じような価値観を表している

一気に書いたので終盤は特にテキトーになってしまいました。

改めて、今回の記事はNewsPicksの以下の記事にインスパイアされてのものなので、気になる方は是非ご覧ください。(プレミアム会員の登録が必要)






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