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100冊myえほん

28冊目は
『わたしとあそんで』
マリー・ホール・エッツ ぶん/え
よだじゅんいち やく
福音館書店
1968年発行(原書は1955年)

4分30秒
キーワード:ファンタジー絵本&科学絵本、おひさま、座って待つこと

『わたしとあそんで』福音館書店1968年

福音館書店のホームページから書影を頂きましたが
表紙の色が持っている絵本と違うので戸惑っています。
実物は表紙も見返しも、本文のフレーム内と同じクリーム色なんですが。

この絵本はよく読み聞かせした大好きな絵本です。
追いかけると逃げっていってしまう動物たち。でも少女が
池のそばの石の上にじっと座っていると、その逃げた動物たちが
戻ってきて、最後はシカがそばに寄って来て少女の顔を・・・
そんな情景をお日様がずっと少女に光を当てながら見守っています。

子どもたちが小さいとき自然観察園のホタル鑑賞に出かけました。
湿地帯の橋にあったベンチに子どもたちを座らせてじっとしているように
自然観察員の方がおっしゃっていたことを、この絵本を読むたびに思い出しました。動いていてはホタルも寄って来ない。この絵本の通りなんです。


『わたしとあそんで』p.22,23の見開きから描かれている鉄条網、これは何を意味するのでしょうか?

この絵本を何度も何度も開いて、子どもたちに読み聞かせしていたという大人でも、10人中七、八人は、そんなものが描かているとは気がつかなかったといっています

『絵本を深く読む』(灰島かり/著、玉川大学出版部、2017年)

私はこの絵本が好きで絵本を見ながら真似をして絵を描きました。そして鉄条網も描きました。その時、子どもたちがまだ小さかったので、
「これは危ないな」と思いました。
なぜこんな危ないものが、しかも壊れかかっていて・・・
シカが戻ってくるまでは同じ場所なのになかった鉄条網がなぜ?と不思議でした。何度も考えてみたのですが分かりません。
何かが壊れていくことを象徴しているのでしょうか・・・少女の明るい表情には合わない鉄条網。亀がのっていた丸太はこの鉄条網を支えている棒が折れた部分。

鉄条網はこの少女がこれから出会う世の中の厳しい現実を象徴しているのかもしれません。
それでもお日様は最初から最後まで少女を暖かく見守ってくれています。
動物たちも、みんなそばにいてくれます。

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