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「2020」 三年 田中 俊丞

上京して三度目の冬がもう間近まで迫ってきている。

寮周辺では夜になるとイルミネーションで賑わう住宅がちらほら目に留まるようになってきた。

もうこんな季節なのか、

今までの二年間は冬の帰省が楽しみでたまらなかった。

久しぶりに会う家族や地元の友達とゆっくり過ごす時間はかけがえのない時間だ。

互いに会っていなかった時間での出来事を報告し合い、自分の歩んできた一年に区切りをつける。

今年もよく頑張った。来年は更に良い年にしていこう。


そうやって自分の現在位置を再確認してきた。





ただ、今年は何か違う。



話せることがない。



自分が特に何もしていないから。



目に見える結果を残していない。



今年は公式戦に出場していないから。



ピッチ外でチームに貢献したかと問われれば、決してそうではない。




ただただ時間が過ぎていった。




最高学年の4年生と下級生に挟まれるいわゆる中間管理職の立場で、今まで以上にサッカーと向き合い、自分の存在価値を創造していこう。


そう意気込んでいたタイミングで世の中の状況は一変した。


僕たちの活動も制限がかかり、自由が効かなくなった。


そして「サッカー」と「仲間との時間」を失った。



そのせいか、今年は自分自身と向き合う時間が一段と多かった。




地元で過ごした2ヶ月の自粛期間。

先が不透明な中、続けた苦手なランニング。

急遽、始まったオンライン授業。

多くの時間を費やして完成した日大statement。

結果が出ずチームとして苦しんだ前期関東リーグ。

夏場の2ヶ月の怪我期間。

松葉杖をつきながら通った真夏の病院。

登録されながら、怪我でリハビリのまま終了した社会人リーグ。

関東3位になり18年ぶりの全国を決めたアミノバイタルカップ。

復帰後、居続けてしまっているCチーム。

個性豊かすぎてキャラが大渋滞しており本当に騒がしい学年だが、献身的で多くの刺激を与えてくれる同期。

例年とは異なる難しいシーズンで、チームを繋ぎ止めるために、もがいてくれていた4年生。

大学生活に慣れ、少しずつ日々の生活に余裕を持ち個人のカラーを発揮し始めた2年生。

コロナ禍での入学で、とまどう事が多い中、必死に取り組む1年生。

僕たちの見えないところでサッカー部を支え、リーグを運営してもらっている学連のメンバー。








日々慌ただしく変化していく日常の様々な場面で


自分の取り組みを振り返って


ピッチ内外共に過ごす仲間の姿を見て


自分と向き合い続けてきた。



そして、多くの場面で弱い自分を露呈してきた。




都合の悪いことは自分の良いように解釈してしまう。

自分の発言に対する責任を恐れ言わなくてはいけないことを、要求しなければいけないことを、避ける。

周りの目線が気になり臆病になる。

評価されることにストレスを溜めて言い訳をする。







ダサかった。



ダサい自分になっているのもわかっていた。




結局自分を変えられないまま今シーズンが終わろうとしている。







自分が好きで始めたサッカー。



確かに自分の脚で道を切り拓き、今がある。


ただ、自分の意思で始まったサッカー人生は、いつしか自分だけのものではなくなっていた。


こうして何不自由なくサッカーができる日々は、多くの人に支えられてできている。


今までも確かに感謝の気持ちを持って日々過ごしていた。


多くの人に支えられて今があることも理解していた。


ただ、今振り返ってみると、それもたかが知れていたのかもしれない。


今回、外的要因によってサッカーを失ったことにより、改めて強く再認識した。


だからこそ何らかの形で、その想いを今まで以上に表現していかなければいけない。


その形はきっとピッチ上でも、ピッチ外でも、どんな形でもいい。


ただ、やはりサッカーで示すことが1番である。


ほとんどの部員のこれからの人生の中心にはサッカーは存在しない。


僕たちは、学業とアルバイト、飲み会で成り立つ一般的な大学生とは異なる。


多くの選択肢があり、可能性を秘めている大学の4年間までをサッカーに費やすことは、側から見ると盲目的なのかもしれない。


ただ、それをわかっていても、やはりサッカーから離れられなかった。


自分自身も多くの犠牲を払って、サッカーに懸けている。


だからこそ、その「想い」を「熱量」をもっと素直に表現しなければならない。






「自分の価値」が「チームの価値」に繋がるのなら








「チームの価値」が「自分の価値」に繋がるのなら








ピッチ内外でまだやれることは沢山ある。












2020年を振り返って想うことは




「チームの勝利に貢献したい」




「仲間と互いを称え合い、喜びを分かち合いたい」






実にシンプルなものだった。








自分のサッカー人生のタイムリミットは迫っている。


来シーズンは魅せる。


今年の鬱憤を晴らす。


このチームに何かを残す。







今年はそう気づかせてくれた。









ありがとう2020。








平素より、お世話になっております。
申し遅れました。
スポーツ科学部3年、田中俊丞です。
お読み頂きありがとうございました。
今年は誰にとっても難しい一年となったと思います。その中で感じた想いを素直に綴らせて貰いました。
私は広報部でSNSを担当している為、日頃からSNS上での皆様の反応をチェックしており、多くの方に応援されている事を日々感じております。
本当にありがとうございます。

これからも温かいご声援を宜しくお願い致します!

・田中俊丞 (たなかしゅんすけ)
・出身 大分県
〈経歴〉
宗方SC→大分トリニータu-15→大分トリニータu-18→日本大学

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