「Fin.」4年 金子航太
僕の夢は「プロサッカー選手」だった。
しかし、なることはできなかった。
夢を追いかけた16年間のサッカー人生。
そのラスト一年の今年についてノートを書こうと思う。
僕は自分の心のうちを素直に打ち明けることが得意ではない。
同期や親しい友達は分かってるよ!って思ってる人もいると思う(笑)
でも、きっとこのノートがサッカー人生最後のノートになると思う。
だから、最後くらい自分を偽らず心のままをこのノートに書こうと思う。
そんな貴重な僕のノートを最後まで読んでほしい。
日本大学スポーツ科学部4年 金子航太
まだシーズンは終わっていない。だけど結果から言うと思い通りにはいかなかった。
だけど「悔いはない」
そう自信をもって言える一年だった。
2年、3年生と社会人チームに登録されていた僕は1年生の時以来のトップチームから今シーズンが始まった。
勝負の一年だ。
しかし、関東リーグ戦が始まる前の準備期間、コロナウイルスにかかりスタートダッシュを失敗したところからのスタート。他のメンバーが強化合宿に行くなか自分はBチームのメンバーとトレーニング。
いいスタートが切れない中でリーグ戦は開幕した。
必死でトレーニングをしてもベンチに入ることで精一杯。
試合に出られない日々は続いた。
たまに試合に出られても数分間だけだった。
ある時、僕と同じように試合になかなか出られないメンバーが何人か社会人登録されていった。
いつ自分も社会人登録にされるかわからない。
そんなことが頭をよぎる。
不安でいっぱいだった。
社会人チームは4年生主体のチームだ。同期がたくさんいる。
そして、試合に出られる可能性はトップチームより社会人チームの方が高い。
社会人チームに行ったほうがラスト一年楽しくサッカーができるんじゃないかと考えたことも何度もあった。
いろいろなことを考えている中で自分の今までのサッカー人生を思い出した。
サッカーをしていて逆境はたくさんあって、それでもどんなに辛い状況でも努力を続けたこと。そして乗り越えてきたことを。
その時自分は決意した。サッカー人生ラスト一年になるかもしれない今年を最後まで駆け抜けようと。
毎日毎日必死にトレーニングをした。
その結果、第10節vs関東学院戦でスタメンを勝ち取ることができた。
本当に嬉しかったし、報われた。諦めずにやってきて良かったと思えた。自分の中では本当に本当に大きな価値のある1試合となった。
そして、第11節vs青山学院戦もスタメンで出ることできた。しかし、ファールを受けて前半途中で負傷交代。試合は最後まで攻め込まれながらも勝つことごできた。喜んだ。嬉しかった。
チームが勝つことは本当に嬉しい。
だけど、これから!!っていう時に膝の怪我をした。
「なんで今」
というどこにもぶつけることのできない思いが心に残った。
そう簡単に切り替えることはできなかった。
だけどそれでも諦めたくなかった。リハビリを必死にしてなんとか復帰。しかし、そう簡単に試合には出られなかった。
トップチームにいる選手はみんなプロを目指している。本気でサッカーをしている。そんな集団で怪我が治ったからと言って簡単に出られるわけがない。
それでも、やり続けるしかなかった。
そんな中で、トレーニング中に捻挫。また怪我。
後期に入り、1発目の連戦前。
全員の力が必要になる試合前。そんな時に怪我。
不甲斐なかった。
引退まであと2ヶ月ない。そんな時に怪我してしまった。
正直プロになることは厳しい。
シーズンが始まり自分の立ち位置、周りとの差を実感し分かってはいたが、この怪我で夢を諦めることを決めた。
だけど、このままサッカー人生を終わりにはしたくなかった。
せめてやり切った。後悔はない。本気で心の底からそう思えるサッカー人生にしたかった。
今までも本気でやってきた。
サッカーと向き合ってきた。
でも、最後までやり切らなきゃ意味がない。そう思った。
そして怪我を治すために、関東リーグのピッチで再びプレーするために必死で出来ることはした。
そして、関東リーグ残り7試合で復帰。
しかし自分はベンチに入れても試合に絡むことはできない。そんな中で日大はリーグ戦6連勝。チームの勝利のために出来ることはなんでもした。だからこそ、試合に勝つことは本当に嬉しかった。仲間と喜び合うことも幸せだった。
だけど、やっぱり試合に出られないのは悔しくて悔しくて仕方なかった。試合後みんなと笑顔で話す。だけど自分の部屋に帰り、突然涙が出てくることもあった。
それでもやり続けるしかなかった。
そして、第20節vs東京学芸戦
1分、たったの1分試合に出られた。出たくて出たくて仕方なかった関東リーグに出られた。再びピッチに立てた。
そして、第21節vs日本体育大学戦でも20分ほど出場できた。
最高に楽しかった。
本気でやってきてよかったと思えた。
そして、今週の土曜日が関東リーグ最終戦。
vs明治学院戦の1試合で僕のサッカー人生が終わる。
僕の16年間のサッカー人生と同じように楽しいけど苦しい、うまくいかない、そんな一年だった。だけど、苦しいと思いながらもチームメイトと競い合いながら本気でサッカーする時間は本当に楽しかった。
この16年間、苦しい道をなぜか自分から選択してきた。
自分でもなぜかはわからない。
乗り越えた時の達成感があるからか。
本気でサッカーする時間が好きだからか。
仲間と切磋琢磨できるからか。
わからないけど、苦しい道を選択してきて良かったと思える。
そんなサッカー人生だった。
だけど、まだ終わってない。最後の最後まで本気でやり切る。
今までのサッカー人生に後悔はない。
そして、本当の最後が来た時も自信を持ってそう思えるように本気で最後の1試合に臨みたい。
チームは勝てば文句なしの昇格。
そんな大事な試合。
自分の出番はあるかはわからない。だけど、チームが勝つために今の自分にできることは全てする。
今までもそうやってきたし、残り数日もそうするつもりだ。
サッカー人生最後の一年をこのメンバーでサッカーできて本当に幸せだった。
『日本大学サッカー部「全員」で戦って勝って昇格しよう。』
ーーーーーーーーー告知ーーーーーーーーーーー
11月12日(土)11:00 kickoff
最終節vs明治学院戦
この試合は有観客です。
僕たちは本気で戦います。
泥臭く全員で必死に勝利を目指します。
引き分け以上で昇格です。
関東一部に昇格する瞬間を是非見に来てください。
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後輩たちへ
特にAとBの狭間の選手だったり、今Bチームにいる選手に伝えたい。
トップチームにいれば試合に出られる可能性は大きく下がる。トップチームにいる選手は上手くて戦うことが当たり前の選手たちばかりだから当然だ。
試合に出られないと辛い。悔しい。もうやめたい。そう思うことも必ずある。
でも、少しでもトップチームで試合に出たい。プロになりたい。そう言う気持ちがあるならギリギリまでトップチームで試合に出ること、トップチームに入ることを諦めないで欲しい。
そして、トップチームで苦しい思いをしている選手も自分を信じてやり続けて欲しい。
僕は正直今年一年は辛かった。悔しかった。って思うことが多かった。
去年の社会人チームにいた頃の方が試合に出られていたから。
でも、10分でも1分でも一瞬でも関東リーグで試合に出て少しでもチームのためにプレーできる時間は幸せだった。
周りの人から見れば一瞬だけじゃん。
それしか出てないじゃん。
って、そう思われるかもしれない。
でも、周りからどう思われるとかは関係なくてその数分が、一瞬がみんな自身を大きく成長させてくれると思うし、最高の時間になると思う。
だから、楽しくただサッカーをしていたいって言う人はトップチームを目指さなくていいと思う。でも、少しでもプロになりたい。トップチームで試合に出たいっていう気持ちがあるなら今からでも遅くないから毎日を大切にして欲しい。
そして、諦めないで欲しい。
必死でやった時間は無駄にはならないって言い切ることは正直出来ない。
でも、少なくとも俺は無駄にはならなかった。
大学での4年間なんてあっという間だぞ。
がんばれ。応援してる。
家族へ
お父さん、お母さん
今まで何不自由なくサッカーをさせてくれてありがとう。たくさんたくさん支えられてここまで来れました。
本気でサッカーができました。
本当にありがとう。
兄
口下手だけどいつも応援してくれてるって感じてた。今まで俺のために我慢したこともたくさんあったと思う。
本当にありがとう。
最高に幸せな16年間でした。お父さんとお母さんはプロになって欲しかったって思っていると思うけどなれませんでした。
だけど、サッカーをしていたからこそたくさんの人に出会えた。その一人一人から色々なことを学べた。人間力もついた。努力の大切さも知れた。他にももっともっとたくさんのことが身についた。
そして何より、
数分しか出ないのに本気で俺の名前を呼んで応援してくれる。
心を許してふざけ合える。
お互い高めあえる。
そんな最高の仲間たちに出会えました。
サッカーから貰ったものは一生無くならない僕の大切な大切な財産です。
まだあと1試合あります。出られるかはわからないけど応援してくれたら嬉しいです。
最後に最高の同期へ一言だけ
日大に来てよかった。出会えてよかった。
最高に楽しかった4年間でした。
ありがとう。
サッカーと出会えてよかった。
心からそう思える16年間でした。
ありがとうございました。
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