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kintoneの導入(クレーム管理編)

 当社では、ISO9001(品質マネジメントシステム)の認証を受けていることもあり、顧客からのクレーム、そしてその処置を管理している。運用は機能しており、着実に品質は向上している。

 しかし、このクレーム管理には、4つの課題がある。

現状のクレーム管理の4つの課題

クレーム手続き(カイゼン前)

①過去のクレームが新入社員に伝わらない
 これは、すべての’ノーマルな(VBAなどが無い)エクセル帳票に当てはまるが、過去のクレームを探すためには、一つずつ(1枚ずつ)データを閲覧しなければならない。同じ顧客や、同じ製品といった分類で表示させることもできない。
 
 ちなみに、それをカバーするためにクレーム台帳を別のエクセルで作成しているのだが、当社のクレーム台帳は年度ごとに別シートに分けているため、条件で集計することもできず、情報を集計するのに手間がかかる。
(会社にデータベース原則という考えが足りない、台帳を作成し、管理しよう!というところまでは良いのだが、後で検索するという発想がない。)

 その結果、同様のクレームが再発してしまう。「仕組み」ではなく「教育」で再発防止を行った過去のクレームは、数年経過して新入社員が入ってくれば再発してしまう。

②紙が事業所を飛んでいく。

 エクセルで作成したクレーム帳票は、印刷され担当者→部門長→事業部長、と印鑑が押されていく。その間に、大阪から東京へ、そしてまた大阪へ、と事業部間を紙が飛んでいく。そしていくつかは帰ってこない。
 
 「あれ、あのクレーム回ってきた?」「いや、俺のところにはまだ来ていないよ」

③エクセルの台帳管理
 当社はISO9001に乗っ取って文書管理を行っている。そのため、クレーム票にも番号を設け、その番号を別のエクセルで台帳管理を行っている。そのエクセルにはVBAも何もないため、クレーム票に入力した内容を、台帳にもう一度入力し、保存する。
 進捗も管理するため、印鑑を押せば台帳を開き、誰がいつ印鑑を押したかを入力する。

 同じ内容を入力する手間、進捗を入力する手間、そしてその入力を怠ることで起こるコミュニケーションのミス、こういったこともエクセルによる台帳管理の課題となっている。


④分析・集計
 半年に一度、クレーム票を集計し件数、対応日数、原因による分析を行う。
 この作業が面倒で時間がかかる、また半年に1回しかできず、各員がクレーム件数を意識する機会が少ない。

kintoneによるクレーム管理

上記の課題に対して、kintoneで下記対応を行った。

クレーム手続き(カイゼン後)

①関連レコードで顧客マスター、製品マスターに紐づけて表示

 まずkintoneでは、台帳が不要になる。アプリにレコードを入力すれば、一覧で表示されるようになるため、それが台帳になる。データベースソフトでは当り前だが、エクセルでは当たり前じゃない。
 そして、作成したクレーム票アプリに、顧客マスターアプリからのルックアップ、製品マスターアプリ(弊社では納品製品アプリ)からのルックアップを設定する。
 マスターに関連レコード一覧を設けることで、顧客情報を見るときにその顧客の過去のクレーム情報に触れることができるようになった。

 顧客マスターには、納品実績やメンテ履歴も閲覧できるようになっているので部門を問わずに過去のクレームを閲覧する機会が生じる。そのため、これまでのように過去のクレームが埋もれることがなくなった。

②プロセス管理と計算式プラグインで、印鑑代わりの承認フロー

 プロセス管理を活用することで、承認者、承認日がデータに残ります。これを用いることで印鑑の代替とした。
 また、ISOの外部審査対策として、repotoneU と、計算式プラグインを用いて、承認者と承認日をフィールドに記録し、印鑑の代わりにPDF出力時に印字できるようにした。
 
 まず、プロセス管理を構築する。フローチャートを作成してみて、その通りにkintoneのプロセス管理を作っていく。

クレーム_プロセスフロー


 そして、計算式プラグインを用いて、特定のステータスに変更されたときの作業者と更新日がフィールドに記録されるように設定する。細かい計算式はこちらをご参照。(私が使ったのはコメント欄の計算式の方)

クレーム_プラグイン活用

 「わざわざPDFで出力するためにフィールドに承認者名を残す必要ないのでは、、、」という方ばかりであればいいですが、世の中には紙で印刷できるもの(PDF)は認められるけど、データの履歴だけでは信用できない、という層がまだまだいる。
 そういう方々にこの仕組みを承認してもらうために構築した。

 この記事を作成している時で、導入後1か月ですが、社長から「紙の承認より早いな、、」という言葉があったので、社内でのペーパーレス化の第一弾としては、とりあえず成功と考えています。
 しかしながらまだISOの外部審査が済んでいないので、どのようなリアクションが来るか、準備しながら待ちたいと思います。

 わぁわぁ言うとります、お時間です。さようなら。


大阪市在住の89年生まれ 父親経営の中小メーカーに在職。 グロービス経営大学大学院卒業 事業承継や、組織の変革、文系から見た社内システムの構築について掲載予定 好きなもの:サッカー(ガンバ大阪ファン)、漫画(オールジャンル)