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kintoneの導入(メンテナンス管理編)

 前回から間が空きましたが、メンテナンス部門の業務改善をkintoneで行った話。

 当社の機器事業は機器の製造・営業と、その納品した機器のメンテナンスがあり、今回はそのメンテナンス部門が主役。メンテ部門は、納品した後の機器が故障した際の修理、そして定期点検にかかわる業務全般、「問合せ対応」「見積提出」「現地対応」「報告」「請求書発行」といった流れを行う。

 私が入社した時(2017年4月)、メンテ部門の情報管理には大きく4つの課題があった。

メンテ部門の4つの課題

1つ目は、入力作業の手間。

 いつもメンテナンスメンバーが納品先での修理を終え、本社に夜遅くに帰ってきてから修理のデータを入力していた。
①メンテナンス現場で作成した手書きのメンテ報告書をスキャンしPDFで共有ファイルサーバーへ保管
②メンテ報告書と同内容を見やすいように顧客ごとのメンテ履歴として入力
③進捗状況を入力する台帳へ入力
④現場写真を共有ファイルサーバーに保管

 これが出張帰りとなると、複数顧客分を一気に入力するので、1-2時間かかることもある。

メンテナンスマンの記録.

2つ目は、横の情報共有がしにくいこと。
 機器事業では、顧客訪問するのはメンテ部門だけでなく、営業部門も訪問する。しかし、お互い出張中のことが多いので、わざわざ本社サーバにVPNを接続し、メンテ部門フォルダの奥にある、顧客ごとに格納されたメンテ履歴フォルダを一つ一つ開いて状況を調べることを営業はしていなかった。
(さらに共有フォルダは整理されておらず、無駄な階層があることはまた別の話)

 保存しているフォルダにたどり着いたとしても、現在の修理の状況や次に修理に行く日程は「メンテ台帳」、どういう修理をしたかは「メンテ履歴」と異なる表を見に行かなければならない。これでは、見る側も時間がかかってしまう。

3つ目は、修理ミス。
 地域の担当者が変わったときや、前回のメンテから時間が経過した顧客先のルールの確認を怠り(服装や、対応方法など)、クレームが入ることが発生していた。メンテに行く際には、部品の準備、日程調整、過去の訪問履歴など、複数の情報を調べた上で訪問するので、たまにではあるが、その顧客特有の注意事項が抜けてしまう場合がある。

4つ目は売上漏れ。
 実はこれが最も厄介で、一番改善すべき課題であるものの、影響が見えにくい問題。
 メンテを行う際には、事前に複数の見積を提出していることがあり、どの見積で受注したか分からず低い金額で請求してしまう。
 また、メンテ実施者と事務との情報共有があいまいで請求手続きが進んでいないなど、業務フロー上の問題も発生していた。
 そして、定期的なメンテを推奨するはがきを顧客に送付しているが、そちらもエクセルの管理では単年でしか管理出来ず、2年単位での消耗品交換や、昨年メンテを実施していない顧客へのフォローが抜けるなど、売上を上げる施策を徹底できていない。

kintoneによる改善


上記の課題に対して、kintoneの標準機能とプラグインを用いて改善した。

メンテ管理アプリ

①キントーンアプリ化 

 まず、単純にキントーンのアプリにすることでこれまで会社でなければ入力できなかった情報を、外部からでも入力が簡単になりました。キントーンに入力することで、「台帳」と「顧客ごとの履歴」を別々に入力することなく、一つのアプリで管理できるようになった。

 また、メンテ推奨はがきのリストもそのアプリから条件で抽出できるようになり、はがきの発想数も向上した。
 これにより従来は「修理(突発的に発生)」が多かったが、「点検(計画できる)」が増加するようになり、メンテ部門としては、人員計画が立てやすくなり、修理ミスも減った。また収益も安定化した。

メンテ管理アプリによる修理件数の増加

②プロセス管理

 メンテを実施したメンバーと、見積・計上・請求書などの事務処理を行うメンバーとの情報共有が、これまで口頭・メールだけだったものから、キントーンのプロセス管理を使うことで、自分の仕事、他のチームメンバーの仕事が見える化された。

③情報を顧客マスターに集約して、他部門が知りやすく

 次のメンテ予定や、過去の実績、見積などを顧客マスターアプリにて、関連レコード一覧で表示できるようにしたため、営業も修理状況を把握することができるようになった。(逆もまた然り、営業進捗アプリで、修理も営業の状況を把握しやすくなった)

④顧客ごとのメンテナンス時の注意点を描いたアプリ

 メンテメモアプリを作って、注意点があれば入力、メンテ時に読むように徹底することで、過去の注意点を知ることができるようになった。※これは移動が制限される現状では各顧客の訪問時の対応(体温測定が必要など)も記録され、重宝されている。

まとめ

 以上のような取り組みで、メンテ部門は業務改善による「コスト削減」だけでなく、点検・修理頻度の増加によって「売上増加」につながる、当社にとってはkintone導入による最大の成功事例となっている。

修理売上の向上

 実は、このアプリは私ではなく妻が作った。
 妻がメンテ部門の事務として入社後、上記の課題を理解し、それを解決するアプリを作ってしまった(妻はこれが初めてのアプリ作成)
 私がまだ使ってもいないプロセス管理を使いこなし、修理以外のチームもまとめて6か月で運用までもっていった妻を、私は尊敬するしかない。(嘘です、当初は自分が営業進捗アプリの立ち上げが完了しておらず、自分より先に立ち上げた妻に大いに嫉妬した。自分の方が最初にキントーンを採用したのに!)

 わぁわぁ言うとります。お時間です。さようなら。

大阪市在住の89年生まれ 父親経営の中小メーカーに在職。 グロービス経営大学大学院卒業 事業承継や、組織の変革、文系から見た社内システムの構築について掲載予定 好きなもの:サッカー(ガンバ大阪ファン)、漫画(オールジャンル)