初任者に研究授業をさせてはいけない
文科省から2022年度の「公立学校教職員の人事行政状況調査」が発表されました。
この記事によると、2022年度に精神疾患により休職した公立学校の教員が前年度より642人増加し、6539人に上り、初めて6000人を超えて過去最多となったとのこと。
20代の教員の率が高いとのデータも出ています。
たしかに私の周りでも若い先生が療養休暇に入った話をよく耳にするようになりました。特に、初任者が療養休暇に入る話が珍しくありません。
中学校では初任で学級担任をもたせなくてもいいのですが、小学校ではもたさなければならないのです。管理行政の人間に聞くと「小学校は学級担任制だから」だそうです。中学校は教科担任制だから教科は受け持たなければならないが小学校は学級担任制だから学級を受け持たなければならないのだそうです。
山形県教育委員会は初任者に学級担任を1年間させないという方針を立てていますが、学校現場で教員が不足している現状で初任者に担任を持たせないというのは正直難しいです。
本来であれば、山形県教育委員会の対策は私から見るとベストな策ではありますが…。
いずれにしても、これまでと同じようなことをしていればどんどん「若い先生が療養休暇に入ってしまう」「教壇を去ってしまう」ということになりかねません。今までとは異なる何か新しい対策を講じなければなりません。
では、校長として初任者に対して学級担任を持たせながらどのような策を講じればよいでしょうか。例えば、年度初めのあたりに校長として対策を講じることができる具体的なものを挙げてみます。
➀研究授業をさせない
・年度初めから校内研究が始まりますが、初任者は外しておきます。どうも学校というのは変な平等主義があって、研究授業は1人1回だから初任者も1回となってしまいます。しかし、初任者は初任者指導教員から少なくとも週2日はしっかりと授業を見られ、指導を受けているのです。日頃の授業が大事であり、研究授業をすることは必要ありません。先輩たちの研究授業を見せてもらうだけで十分です。
②年度初めの学級懇談会の司会を初任者指導教員にする
・4月の保護者会ほど初任者にとって緊張するものはありません。この司会を初任者指導教員にするのです。もちろん学級の方針など肝心な話は学級担任である初任者が行いますが、進行を他の先生がやってくれるだけでも心落ち着くものです。
③目標申告シートは文例を用意して選択させる
・初任者にいきなり目標申告を書けと言っても、何を目標にすればいいかわかりません。とりあえず県教委に出さなければならない文書なので、自分の現状に合っていそうな目標を選ばせればいいのです。初任者にとってはどうでもいいことに無駄な労力をかける必要はないのです。
年度初めにできることは他にもたくさんあるでしょう。
大事なことは、校長として「初任者にとっては負担が大きい」「初任者にとっては意味がない」という観点で考えて、それを取り除くこと、軽減することなのです。
まずはそういう安心感がもてる中で仕事ができるようにすることが校長としての仕事です。
だんだんいろいろなことができるようになってきたら、徐々に負荷を与えていけばいいのです。
最初から他の教員と同じようなことを要求してはいけないのです。
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