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映画『パスト ライブス/再開』を京都シネマで観てきました

睡眠前のひととき、ラジオやポットキャストを聴いている。
ライターの渥美志保さんがポットキャストに久々に上げたエピソードがこの映画だった。
アカデミー賞に作品賞、脚本賞でノミネートされていたので、知ってはいたが、「観に行こう」と背中を押されてしまった。

早速に検索。
京都シネマで5月16日まで上映されている。間に合う。
週末のその日まで、平日2日間の仕事に軽やかな気持ちで向き合えた。

『パスト ライブス/再開』 

 監督23年・脚本:セリーヌ・ソン 2023年/アメリカ・韓国

あらすじは一文で書ける。
海外移住のために離れ離れになった幼なじみの2人、出会いと別れを繰り返す24年間。

監督・脚本のセリーヌ・ソンが、12歳のときに家族とともに海外へ移住した自身の体験をもとに描いたそうだ。

ラブストーリである。
それだけで片づけてしまったら身も蓋もないが、「あの時」の選択と「今」を“縁”という言葉で表現しているのは日本人にはしっくりくるだろう。
(「運命」とは違うんだよな。)

そして、誰しもが経験している「あの時、もしも・・・」がこの映画の余韻となって込み上げてくる。

映画の2人は最初の別れから12年後、SNSでお互いを探しオンライン上で再会する。

わたしはFacebookをしなかった。今更、これからもしないだろう。
SNSでかつての恋人を探すことはしないし、かつての恋人もわたしを探せない。酷く古典的だと自分でも思う。

こっぴどく恥ずかしい話だが、昔の恋人で唯一、今でも定期的に夢に登場するのが高校の時に初めて付き合った人だ。
20代半ばまでの「あの時」に、出会いと別れを繰り返した。
確かに“縁”はあった。だけど、交差する“縁”だった。
ノラが言う「人生を共にする」“縁”とは違った。

主演のグレタ・リーとユ・テオ

12歳で韓国からカナダに移住し、現在NYで暮らす韓国系カナダ人ノラを演じたグレタ・リーは韓国系アメリカ人2世だ。
乾いた気候で生まれ育った肌を持ち、その質感が移民の子孫であることを醸しだしている。そばかすもチャーミングだ。
韓国ドラマのしっとりとした色白肌の女優ばかり見ているせいか、魅力的だった。
意思の強そうな黒くて太い眉に反して、声は優しく可憐。このギャップが良かった。

ノラの幼馴染で今もソウルに暮らす、いかにも韓国人の男性ヘソンを演じるユ・テオ。
ドイツのケルン出身で、演劇を学ぶためにNYに滞在した経験を持つ。実際の彼は移住のひとだ。
韓国ドラマ『その恋、断固お断りします』では、最初は「何だかなぁ、この人」だったのに、回を追うごとにその魅力にはまった。
『その恋、断固お断りします』でも思ったが、ユ・テオは服を着こなせない。きれいな顔立ちなのに、スタイルがいまいちなのだ。身長180mなのだけれども。
洗練されていないユ・テオが持つ少年性が彼の魅力だと思う。笑った時に目元に沢山のしわが寄るもいい。


上映が終わると、日は暮れ切っていた。
夜空に浮かぶ京都タワーへと振り向くと、京都駅まで歩きたくなった。
薫風の烏丸通りは「今」を共にする人たちに繋がっている気がした。


☆☆☆
京都シネマでこちらも観ました。








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