最近の記事

欺す衆生(2019年)

月村了衛 お、面白かった…!! 実質の詐欺集団であった「横田商事」の平社員であった主人公・隠岐。横田商事の崩壊を目の当たりにし、一度は詐欺から足を洗っていたが、かつての同僚・因播から誘われ、家族を守るため悪事に手を染めていく…という話。 最初は、半ば無理やりに悪事を働いていたが、数々の修羅場を乗り越え、裏社会の大物と渡り合っていくうちに、どんどん成長していく主人公…。 飽きが来ない展開で、文量も多いがすぐに読み切ってしまった。 打ち上げ花火みたいに、バンバン盛り上がる展

    • プリズム(2022年)

      ソン・ウォンピョン(矢島暁子 訳) 4人の男女の日々を、季節ごとに描いた恋愛小説。 波乱万丈な展開があるわけではないが、等身大なキャラクター像が魅力的。さらっと読み終えてしまったが、美しく印象に残る文章で、読後はそれなりの満足感があった。 登場人物は、主に4人。 イェジン:本作の主人公?明るく気立ての良い女性だが、恋愛感情に左右されすぎてしまうところがある。 ホゲ:家庭環境のトラウマにより、他人に心を開くことを苦手とする青年。イェジンに惹かれていくうちに、精神的に成長して

      • 82年生まれ、キム・ジヨン(2018年)

        チョ・ナムジュ(斎藤真理子 訳) 33歳の女性「キム・ジヨン」の人生と、その周辺の女性たちの苦い経験を、淡々とした文章で描いた作品。(キム・ジヨンが受診した精神科の医師が、彼女について記したカルテ、という体で進んでいる。) 時代を超えた女性たちの生きづらさに、読んでいてい胸がふさがる思いになる。 キム・ジヨンの母の世代から続く、女性たちの生きづらさ(男児を産んでこそという風潮…実際に、妊娠したのが女児だったため中絶手術を受ける、という場面もある…、家父長制がまかり通る世間

      欺す衆生(2019年)