勇気がほしい
ここならこんなこと書いても許されるかなと思って、今年のバレンタインの出来事を書いてみる。
クラスの女子みんなでクラスの男子にお菓子をプレゼントしよう!という企画が行われた。それぞれがお菓子(チロルチョコでもなんでも可)を持ってきて教卓に並べたものを男子に自由に取ってもらうというもの。
その時私には気になっていた男の子がいた。その子にチョコを渡すか迷っていたくらい好きだった。
渡す勇気なんて私には無いし、せめて私が買ってきたチョコが彼の元へ届きますようにと願っていた。
男子たちがチョコを取り口々に女子へ「ありがとー!」と言いながら席に戻っていく。
もし彼の元に私のチョコが渡ったら分かるように一応外袋にニコちゃんマークを書いておいた。誰が私のチョコ取ったんだろ、
「これニコちゃんマーク描いてある!!レア?!?」
という声がクラスの前の方から聞こえてきた。
彼の声だった。声の方を見ると彼は友達とチョコを見せ合いながら嬉しそうにそのマークを眺めていた。(すごく嬉しかった)
これは、、、私は彼にバレンタインチョコをあげたことになるのか???間接的には渡ってる???どうなんだ??
そんなふうに考えてる私の事なんて知らずに彼はやけに膨らんだトートバッグから個包装のチョコが詰め合わせてあるもの(よくスーパーで売ってるやつ)を取り出した。
「これ俺からみんなにー!!!」
教室いっぱいに並べてある席の隙間を歩いてみんなにチョコを配っていく。私も手渡しでもらった。「お!いちごだ!それ俺いちばんすきー!」と言いながらくれた。
彼はこういう奴だ。みんなに優しくて気遣いができてこういうイベントを誰よりも楽しむ。そんな姿に私は恋をしていた。
みんなそれぞれ貰ったチョコを食べながら朝のホームルームが始まった。私は彼からもらったチョコレートをリュックのポケットに大切にしまった。
帰り道ひとりで彼がおすすめしてくれたバンドを聴きながら彼からもらったチョコレートを食べた。いちご味。甘くて美味しかった。
私の17歳のバレンタインは少し甘くて少し苦いものになった。間接的に交換できたのか??よく分からないけど、やっぱりちゃんと渡せばよかったとすごく後悔した。渡したかった!!!!
田んぼに囲まれた道を歩きながら夕日に向かってやり直したーーい!と呟いた。
まずは夕日に大声で叫べるくらいの勇気を持たないと。