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陰口 (詩)
雨の上がった香りに虫が集っている
賑やかなペトリコール
私は張りつめた湿気に抱擁された
むさくるしさにふと笑みがこぼれる
残虐な笑みである
引き裂かれた雲間からこぼれた青空に木々の緑は鼻歌を歌う
私とは対照的だ
それに
それは私にサササと陰口を言う
私は得意げに話しかける
「陰口を言われる人は偉いのだよ、君たちは畢竟私が妬ましいんだ、愚かな真似はやめたまえ」
木々は益々威勢よく声を荒げ始める
想像通りだ
所詮ガキなのだなあ
その下で「はあ」とため息を漏らすと、それはこれが錯覚なのだよと簡単に言う
空のコバルトに墨がそそがれていく
圧迫された心は湿った
木々に人間は宿らない
わかっている
疲れている
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