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筍が食べたくて実家を思い出す

 スギ花粉のピークが過ぎ去り今年の桜も見終えた。

義兄家族から毎年のように掘り立ての立派な筍をいただく両親から今年も筍料理の話題が飛び込んだ。

筍は鮮度が命で、掘ってすぐに下茹でが必須。いただいてすぐに下茹でし、筍ごはん、筍のお吸い物、筍の煮物に生まれ変わる。究極の筍料理三点セット。これが食べれるのは幸せだと心から感じる。

実家を出てから、ほぼ食べられなくなった筍料理。白だしで薄そうに見えてコク深いお吸い物。米も美味しいから間違いない筍ごはん。そして鶏肉と煮た筍の煮物。なかなか4月に休みが取れずに食べられなかったが、数年前に運よく筍と巡り合ったときには一口ずつ幸せと美味しさを噛みしめた。

そういえば、幼い頃に食べた筍の煮物は、鶏肉の時と、”おば”という鯨の肉の時があった。軽く調べたら、北部九州で鯨の尾びれを「尾羽(おば)」や「尾羽毛(おばいけ)」と呼び、かつてそれらを多く消費していたとのこと。なるほど、”おば”はそこから来ていたのか。食は歴史なんだなと感じる。土地、文化と食は関連が大きく、特に昔は流通が現在より発達していない分、食べるものが土地ごとに違いがあったのだと想像する。

幼い頃の記憶だが、これはとても美味しかった。筍との相性がものすごく良かったし、肉にはない、深いコクがあった。鶏肉の雑炊とアンコウの雑炊の旨味の違いのような。(味ではなく違いの例え)そもそもモノが違うから当たり前なのだけど、鶏肉の場合は筍含めそれぞれのうまさが際立っている感じで、”おば”の場合は筍と肩組んでる、仲良しで溶け合うような。(よくわからない)

あぁ、美味しかったなぁ。最近では品揃いも含めて鶏肉との煮物がほとんどになったが、美味しいものは時間を超えて記憶を呼び戻すものだとしみじみ感じる。母の味付けも大好きで、素材を生かした美味しい筍料理だった。ついつい、筍の上部が柔らかく美味しいのでそこから食べてしまう。お吸い物には上部を使うのでみんな平等だが、煮物は取り合いになり先になくなるのが恒例。筍は部位で四つに分かれるらしい。上から姫皮(ひめかわ)、穂先、中央部、根元とのこと。大好きな筍料理だったが、今回調べて初めて知った。次に食べられる機会が更に楽しみで、待ち遠しくなった。


※たけのこの表記が違いがあるようで簡単に調べました

筍は芽が出て10日くらい、という由来の食用を差す漢字

竹の子は植物で呼ぶ場合

笋は若い芽のたけのこを差す、常用漢字ではない当て字

気になったら調べてみてくださいね。


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