75歳以上は医療費負担3割の時代が来るのか?ロスジェネ看護師が思うこと

 この記事を読んで気分を害す方もいるのは重々承知していますが、でも現実なので書きます。
すでにここまで進んだ少子高齢化社会の中で、ロスジェネ世代である私が老年期に突入するときは、本当に社会保険関連費(年金・医療保険など)のGDPに占める割合も増大し、一部のネットニュースで騒がれているように医療費3割負担のときも来るのかもしれないと考えている。
 
個人的には、医療従事者の給料をあげるためには病床数を減らし、診療報酬をあげるしかない(入院、通院患者を増やさないようにすることで、全体としての医療費は増やさない)と思っているので、3割負担もやむなしとも思う。
 
ただ、その際に合わせて考えてほしいのが、生活保護の人は私達が2割負担しようと、3割負担しようと本人負担は0。つまり、医療費抑制にはつながらないということだ。生活保護負担金実績の表をみると、生活保護の扶助の中でも医療や介護にあたるものが半分程度の割合となっている。
生活保護を受給するほどの厳しい生活が体の不調につながっている可能性がある一方で、自己負担がないために過剰受診となっている面も否めない。実際に夜間の救急外来を担当していると、救急車をタクシー代わりに使うような受診の仕方の患者さんのなかに、生活保護の人が割合として目立つのも事実だ。(これは私個人の感想で、統計をとったわけではありません)
 
先日、生活保護受給をしている患者さんに「俺たちは、大学病院にかかっても初診料(選定療養費のこと)かからないからさあ、どんな大病院にも行けるんだよね。」と言われた。
たしかに、私が勤務している病院でも選定療養費はあがり、5000円程度となっている。しかし、免除される人の項目に、生活保護受給者の方が確かにあがっている。
 
 だいぶ昔になるが、ディズニーの周年のイベントが目白押しだったころに、生活保護を受給している若い女性が入院してきて、グッズをたくさん持っていたのを覚えている。当初は、「ディズニー好きなのかな。」と思って聞くと、年に数回行っていることを言われた。私はディズニーなんて年に1回くらいしか行けないため、羨ましく思っていたが、後に生活保護と聞いたときの衝撃は大きかった。「生活保護は貯金もできないから使うしかない」と言われて、「そんな余裕があるのか?というか、年に数回ディズニーに行くのは健康で文化的な最低限の生活を超えているのでは?」と思った。
 
 もちろん、様々な事情で行き着いた選択なのであろう。セイフティネットとして整備されているのはありがたい国の制度だというのも分かる。でも一時的であるべきの生活保護が、結果としてなんとなく続くことで「まあ、給料みたいなもんだよな。」と発言するような人をうみだしているのも、現実だ。日本は災害も増えており、氷河期世代の私はぎりぎりのところで踏ん張っている同世代の非正規雇用の人も見ているので、やむを得ない事情で受給に至る人も今後も増えるような気がする。でも、一時的であるはずのセイフティネットが長期間続き、受給者も支援されることが当たり前のようになっていくのは望ましい社会のあり方ではないと思う。支える側の人たちも、このままでは疲弊すると思う。この問題実際に声に出すと、叩かれることも多いので政治家も言えないと聞くが、次の世代のためにも、みんなで考えていかなければならないと心底思う。
 
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?