「カレシの元カノの元カレを知っていますか?」エイズ検査はあなたにも、必要です

これはエイズ財団と公共広告機構が2006年にポスターなどで広告したもの。
CMでも流れていたので印象に残っている人もいるのではないかと思う。
 
昨年末まちなかでサンタクロースの格好をしている人を見て思い出したのだが、私は看護学生のころこのフレーズを掲げて保健所主催のキャペーンを手伝った。
寒かったことと、周りの若い子に比べてあんまりに浮いていたのでよく覚えている。
 
でもなにより、このフレーズが印象に残っているのだと思う。
カレシの元カノは知っていても、元カレまで知っているのは学校内で付き合うことが多い学生時代くらいではないだろうか。
そう考えればエイズ検査があなたにも必要ですと言われても現実味がある。
実際に、この広告がきっかけで検査をした人もいたのを知っている。
「エイズがこんなに増えています」「エイズは誰にでもかかりうる病気です」などの言葉よりもこの広告がエイズを「自分ごと」として捉えるきっかけになったと考えると、広告の力ってすごいと思う。
 
医療安全管理者として働いていた頃、私はコピーライターの気分で目につく言葉、耳に残るメッセージを考えていた。
特に休みの日に散歩をしながら、スターバックスでコーヒーを飲みながら急におもしろい言葉が思いつくと本当に嬉しくて。
 
おかざき真里さんが書いた『サプリ』という大好きな漫画があるが(伊藤美咲が主演でドラマにもなっている)、そこでは広告代理店で働く人たちの「15秒のCM」にかける仕事への情熱やよいものを作り上げた瞬間の喜びが描かれている。
 
主人公の藤井ミナミが、自分が作りたいものについて
“普通”のCMでいいやと思ってしまえば事はもっと簡単なのだと思う
でももっとこう・・・
今まで見たことなくて
見た人みんなが幸せになれるような・・・
もっと面白くて単純で 愛されて 覚えてもらえて それで商品が売れる
という場面がある。
 
なんかこの気持がわかる。と思っていた。
医療安全が大切なんて誰もが分かっている。
こんなことがあったという新聞記事を伝えても、他の病院で起こった大きなアクシデントを伝えても、聞いている職員の反応は他人事であることも多い。
そして印象に残らず、結局伝えたことがなかったことになってしまうこともある。
だから、私が紡ぐ言葉で「自分ごと」として捉えてもらえればといつも思っていた。
 
管理職になるとポスターであれ、プレゼンテーションであれ自分で言葉を発する機会が増える。
もっと、相手の心に食い込む言葉をつむぎたいなあと思う。
 
ちなみに、病棟の師長として働いた一年。
今年度の目標を字だけでなく医療安全と感染管理を根底において看護の目標を図を用いてポスターにしたのは見やすかったと思う。でも掲示場所とその後のプレゼンが継続されず、すでにみんなの視界に入っているけれど、素通りされているのが反省点だ。

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