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マニュアル活用出来ていますか?~テンプレートを使ったマニュアル遵守~

医療の分野に限らないだろうが、世の中はマニュアルにあふれている。
医療は標準化された手順に基づくことが多く、看護師になってから特にマニュアルを意識して仕事をすることが増えた。
 
「そのやり方、マニュアルに書いてあるんですか?」
という発言の裏には、
「マニュアルに書いていないならば、手順は自分たちの自由裁量になるのではないか」
(マニュアルに書いていないんだから、別のやり方してもいいでしょ)
という場面や、
「マニュアルに書いてあるのは正しいことだろうから、この手順で大丈夫」
(書いてある通りにやったんだから、少なくとも手順通りに行ったことでの結果責任はないはず)
という心の声も含まれているかもしれない。
いずれにしても、私は基本的にマニュアルを使う側の人間として意見を言っていた。
 
医療安全管理室では、マニュアルは「活用する側」であると同時に「作成する側」になる。
そしてマニュアルを「浸透させる側」であり「遵守させる側」となる。
その立場になりマニュアルを読み込んで初めて気づくのだ。
マニュアルにはこんなふうに書いてあったんだ。
こんなことまでマニュアルになっていたんだ。へえ~、初めて知ったと。
つまりマニュアルに記載されていること全てに目を通し、理解して行動するのはとても大変だ。
 
だからマニュアルに書いてあるのにインシデントが起こったときには
マニュアルが浸透していないからなのか、
実際に行動化できない(現実的ではない)手順がマニュアルとなっているのか 
そこをつきつめなければならない。
 
すべての手順には適応できないが、テンプレートを活用しマニュアルの行動化をはかった事例がいくつかある。
 
特にテンプレートにしやすいのは、手順の中でも「フローチャート」と呼ばれるもの。
Aですか?→Yesを選ぶとB Noを選ぶとCが表示され、その通りに選択すれば必要な情報にたどりつけるもの。
 
私が行ったのは医療安全管理マニュアルの中の「服薬管理基準(入院中の内服薬を誰が管理するか)」で「自己管理(患者さん自身で管理する)」か「看護師管理」かと決めるためのフローチャートのテンプレート化だ。フローチャートの過程全てを記録するのは時間がかかるし、実際には全ての記録は出来ていなかった。そもそも毎回マニュアルを開くのは面倒くさい。かといってアセスメントの記載なく(仮に頭の中で考えていたとしても)「自己管理」「看護師管理」とするのは、看護記録として不十分である。更に私の病院では毎週服薬アセスメントを行うこととなっているため、この過程を毎週行うのはとても負担がかかる。
 
ということでテンプレートにした。
テンプレートにすることにより、わずか十数秒で必要なアセスメントの視点をいれた記録が作成できる。
 
このテンプレートを作った際は、「記録の簡略化」「記録の質の向上」をねらっていたが、先日スタッフが使っているのをみて気づいたことがある。
 
毎週毎週担当患者のテンプレートを使うことで、いつの間にか服薬管理基準が頭に入っているのだ。
 
たとえば、もともとのフローチャートには①自分で開封できるか ②状態が安定しているか ③薬の作用副作用を理解しているかなどの項目がある。
フローチャートなので上位の質問の「自分で開封できない」→Noならば「看護師管理」とその時点で確定する。だからすべての患者に対して全てのフローを行うわけでないがいつの間にかアセスメントの視点が頭に入っているのだ。
 
なにか対策を行った際には、期待した効果以外にも効果が出てくることがある。
一見数字には見えない効果の場合もあるが、こういう変化に気づき評価し共有できるようにしたい。

 

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