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名作映画紹介『あげまん』(1990)

久しぶりの投稿になりました。
就職活動がひと段落したので、映画の研究やこうした執筆にも本格的に戻ることができました。本日紹介するのは、今なお伝説として語り継がれる名監督である伊丹十三(1933〜1997)監督作品『あげまん』です。

〜物語のあらすじ〜
「あんたは、あげまん(男の運勢をあげる女性)やからね」
亡き夫の母から言われた言葉を胸に、今日も頑張る元芸者のナヨコ(演:宮本信子)。もう男とは縁がないと思っていたが、ひょんなことから銀行員の鈴木(演:津川雅彦)と知り合う。次第に二人は愛を深めるが、鈴木は欲が眩み、ナヨコをぽいっと捨ててしまう。鈴木に愛想を尽かしたナヨコは、芸者へと戻り、政界の黒幕である大人物、大倉(演:島田正吾)の元に駆け寄る。すると、鈴木のツキはどんどん落ち始め……。

さて、あらすじを読んでいただいていながら恐縮ですが、これはどうしても実物を観ていただけなければ、良さが伝わらない作品の代表であります。というのも、伊丹監督が私たちに「映画的な魔法」をかけてくれるからこそ、面白いからです。
「映画的な魔法」とは何か……それは、「充足感」と言い換えられるでしょう。昨今、さまざまにテレビドラマ、アニメ、YouTubeと映像媒体がありますよね。映画って、ちょっと押され気味なところ、ありますよね。2時間も長いし。
しかし!伊丹作品には「ああ!僕(私)は今、紛れもなく”映画”を観ていたんだ!」という、満足を与えてくれる力があります。映画の面白さ、ワクワクするような気持ち、それを思い出させてくれるのです。

私のお気に入りのシーンは、大倉が病院へと向かうシーン。
担架で運ばれながら「あゝ…。面白くネェな……」と呟くのですが、もう、それがイイ!情けない男!男性は哀愁があってナンボ。だから、女性に頼ると思うのです。
伊丹監督にとっても、宮本さんは心から信頼できる「あげまん」であったのでしょう。カレーのCMなんかをYouTubeで拾って見ましたが、本当にいい夫婦ですよね。

本田俊之による音楽も一級品。市井に生きるひとの息遣いをそのまま音楽にしたような、懐かしい、でも新鮮なサウンド。伊丹監督は京都の生まれで、本田さんは東京の生まれでありますが、両者に共通するのは少し都会的な、粋な風でしょうか。

お目にかかるのが難しい作品ですが、何とぞ、近所のブックオフでも、探して見てください!
それでは、また。

https://youtu.be/nAbF23EB8BY(カレーのCM)
https://youtu.be/mTWmnFdEf0c(あげまんのテーマ)

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