見出し画像

古代のやきもちの夫婦喧嘩考(後編)

僕は基本的には男性、女性のどちらに味方かと言えば、女性側に味方したい。

男性は自分のことしか考えないが、女性は周りのことも考える献身的な対応が見られます。

これは男性と女性の体の構造以外の大きな違いがあると思ってます。



磐乃媛(いわのひめ)皇后は葛城氏の出身である。黒日売(くろひめ)は吉備(今の岡山全域周辺)出身とそれぞれ古代史の有力者の娘である。

磐乃媛の父葛城曾都毘古(かづらぎのそつひこ)は神功(じんぐう)皇后の時に新羅鎮圧で派遣されたが、敵側に寝返り戦いの中で百済軍に攻められ自殺していることが『日本書紀』や『百済記』に書かれています。


寝返った一族の娘ということで非難や反感があり、皇后の立場は不安定になる。
その中で天皇が他の豪族たちの娘と仲良くなるので、皇后も精神的に不安定になったのではないでしょうか?

そんな中で天皇に言い寄る女性が多く、挙げ句の果てに吉備に行ってしまうので、孤独で殻にこもってしまう女性が見えてきます。

僕は嫉妬に不快を示すどころか、磐乃媛皇后に同情すら感じます。


ただ、磐乃媛皇后には仁徳天皇の間に三人の子を生み、履中天皇、反正天皇、允恭天皇と次々と皇位を継いでいる。
側室の八田皇女(やたらこうじょ)や吉備の黒日売にも子はいない。後継を産んでいる磐乃媛皇后は力は強大であったと思います。


この天皇家夫婦のやきもちは当時の天皇、各地方豪族との勢力争いがこんな形で現れたのではないでしょうか。


磐乃媛皇后は地下のどこかで
「そんな嫉妬深い女じゃないわ!!」と
地団駄を踏んでいると思います。


最後に磐乃媛皇后の歌をのせます。
どれも仁徳天皇に対する激しい愛の歌です。


万葉集 巻二
君が行き日長くなりぬ山たづね迎へか行かむ待ちにか待たむ
(あなたが亡くなってからずいぶん長い日が経ってしまいました。山路をたずねて迎えに行こうかな。やっぱり待っていようかな。)

万葉集 巻二
かくばかり恋ひつつあらずは 高山の磐根しまきて 死なましものを
(これほどに恋しくて苦しい気持ちになるのなら、あの高い山の岩を枕にして死んでしまいたい(でもそれも出来ないし))



次回はお嫁さんファーストの夫婦考です。
お楽しみに。

この話の前に書きたい話があるので、それから載せるかもしれません。


終わり


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?