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猿沢池と竜の話

猿沢の池と竜の事の話が好きです。

「宇治拾遺物語」に「猿沢の池と竜の事」というお話があります。

昔、蔵人得業恵印という僧がいた。鼻が人並みはずれて大きく、さらに先が赤かったので、みんなから鼻蔵とというあだ名で呼ばれていた鼻蔵はそれがしゃくにさわり、腹が立って仕方なかった。何とかみんなに仕返しをしてやりたいと考え、ある日、猿沢池のほとりに、
「5月5日、この池より、竜のぽらんずるなり」と書いた立札を立てた。当時都は奈良にあった
ので、竜のうわさはたちまち都中の評判になった
 いよいよ5月5日、鼻蔵は猿沢池の周りに集まった人だかりを見て大笑いし、日ごろのうっぷんをはらしていたが、だんだん恐ろしくなり、もしやと思ってこっそり見物に行った。午後になって空は暗くなり、雷も鳴り出し、今にも竜がのぽりそうだったが、結局竜はのばらず、人々はみな帰ってしまった。

この事を現代に置き換えるとどうなるだろう?

この物語から得られる現代の教訓をいくつか挙げます。

1. 感情に流されない
  鼻蔵は自分の外見に対する人々のあだ名に腹を立て、その感情に基づいて行動しました。
感情に流されると、理性的な判断ができなくなり、無駄なトラブルを引き起こすことがあります。現代においても、冷静な対応を心掛けることが大切です。

2. 誤情報の拡散の危険性
  鼻蔵が立てた立札の内容が都中に広まり、多くの人々が信じてしまいました。現代でも、誤情報やデマがSNSなどで広がり、多くの人々に影響を与えることがあります。情報の真偽を確認する習慣を身につけることが重要です。

3. 復讐心の虚しさ
  鼻蔵は一時的に人々を騙すことで満足感を得ましたが、結局恐怖心に駆られ、自らもその場を確認しに行くことになりました。復讐や仕返しの行為は、最終的には自分自身にも悪影響を及ぼすことが多いです。他人を傷つけるのではなく、前向きな方法で問題を解決することが望まれます。

4. 自然の力を軽視しない
  鼻蔵が立てた立札が現実になることはありませんでしたが、自然現象が予測できないことや、その力を軽視してはいけないという教訓も含まれています。現代においても、自然災害などに対する備えを怠らないことが大切です。

これらの教訓は、現代社会でも十分に通用するものであり、日々の生活や人間関係において役立てることができますね。

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