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2022年10月の記事一覧
【書く習慣】忘れたくても忘れられない
初めて会ったのは満月の夜だった。
僕の命の灯火は消えようかという所だった。
たまたま通りがかったであろうその人は、
その大きな手で僕を包むと、そっと抱きしめてくれた。
僕はとても胸がポカポカして、
夜だったのに日向ぼっこしてるみたいに
気持ち良くて、眠くなって。
野良猫だった僕は、最後の最後に幸せを教えてもらった。
あの時から。
ずっとその人のそばにいる。
僕が何度生まれ変わろうと。
その
【書く習慣】やわらかな光
休日の朝。
いつもより少し寝坊した。
カーテンが風に揺れている。
コーヒーの香りがちょっと苦い。
でもいい匂い。
おはよ。
冷蔵庫に玉子残ってたから使ったよ。
ベーコンエッグ。
トーストとバターの香り。
彼の作るごはんは
私のより完璧だ。
ありがとう。いただきます。
ほんとに上手だね。
焼いただけだよ。
窓の外を眺める。
今日は何をしようかな。
【書く習慣】高く高く
シャボン玉が飛んでいく。
子どもの頃以来だ。
空が透けて青く見える。
時々虹色が見えて、
消えるまで見とれてしまう。
ある時、シャボン玉の歌は
子を亡くした親の悲しい歌だと知った。
それ以来、シャボン玉そのものが
悲しいものに思えて触れずにいた。
小さな球体の中に
どれだけの悲しみが詰まっていたのだろう。
どれだけの愛が詰まっていたのだろう。
どれだけの未来が詰まっていたのだろう。
ふぅっ
【書く習慣】子供のように
風が吹く。
緑一面の原っぱが波打つ。
雨。
丸くなった雨粒が葉の上で跳ねている。
生まれたばかりの妖精のよう。
滑り台をスーッと降りるように
葉っぱをつたって地面に落ちる。
暖かい光。
地面に落ちた雨粒から小さく芽吹く。
光を浴びた小さな芽はどんどん伸びて
赤い綺麗な花が咲いた。
緑の中の赤い花。
守るように、でも覆いかぶさってしまわないように
原っぱは今日も風に吹かれている。
【書く習慣】カーテン
23時。
青暗さが部屋を支配する。
窓の外から入り込む月は
少し頼りなく、
そっと私に寄り添う。
太陽がなければ月は輝けない。
ずっとあなたを照らしていたかった。
疲れた時は温かく包み込む光でいたかった。
守られていたのは太陽だったのかもしれない。
月はいつも太陽を見つめている。