スネークオペレーター〜特別諜報捜査官〜#10
【前回までのあらすじ】
芸能人になった今井ミミとの初デートで正式に付き合う事となった。一方でヤスは特別諜報捜査員としてコカイン販売ルートを捜査中。茂原行きのコンテナから大量のコカインが発見され、いよいよ急襲作戦をする事となるが、銀座のクラブでホステスがコカインを捌いているとのカレンからの情報で潜入捜査をする事となる。
20時にアラームが鳴っているのをアルフレッドが気付き、アラームと一緒になって起こしてくれた。慌ててシャワールームへ向かう。シャワーヘッドから何から何まで超が付く高級品ばかりで、いつも誰が使うんだ?とおもう。他にもこう言う捜査官がいるのには違いない。シャワーブロワーまである。シャワー室を出したら右から左からちょうど良い温度の風のシャワーがバスタオルがわりに出てくる。バスタオルがいらない。髪を小さなタオルで拭くのみで良い。ボクサーパンツとVネックのインナーを着て、スマホを確認。カレンから返信で他をキャンセルして同伴入れたと誇らしげ。21時に虎ノ門の中華料理屋と指定されていた。
俺はわざと横浜から直で行くので車で行くと言うと、それでどうするの?とプランを教えろと返信が来た。
中華料理屋も車で行き、俺だけ酒飲まず銀座の店に車で行くのでポーターに駐車場所確保させ、誰かに取りに来させる作戦と伝える。
わざとポーターに遊び人の印象を植え付けるためだ。昔よくやった。高級車で運転して行ってしばらく停めておいて、ポーター内では誰の?と噂になる。それで、チップを出したりして仲良くなるパターンだ。
それをカレンに言うと、
「いるいる羽振りの良い人がやるよ。その作戦ね。了解」
とカレンが言うと、アルが、
「いよいよ、スーパーカーの出番ですね。どれで行くつもり?」
「もちろん赤いやつと思っているけど・・・。」
とアルに言うと、アルが、
「黄色も目立つんじゃない同じランボルギーニのアベンタドールだけど・・。」
「おー、黄色もいいね。」
とヤス。
黄色のアベンタって初めて見た。それに決めた。イタリア製のスーツを着こなし今日の腕時計はパテックフィリップだ。メガネは少し大きめの黒縁にした。昔の俺を知ってる奴も居そうだから。今日は防弾チョッキとショルダーホルスターを身に付け自分の銃のコルトガバメントを点検、確認する。
異常無し!ちょっと脇の下が膨らんでいるけど、今日カレンには安心してもらうために正体を明かすつもりだった。
組織のルールでは、それは自分の自由となっていた。その変わり責任はちゃんと取ること。今日はカレンに売人と連絡を取らせてその売人と会う作戦だ。その後は全く考えてないけど、売人を攫うとなんとかなりそうと思ったからだ。
縄張りが違うから上田や花田会は出てこないと予想。縄張りのヤクザが韓国人だろうと予想した。
中華料理屋の店の前に車を横付けした100円で1時間の枠があった。ガルウイングで左だし乗り降りが簡単だ。爆音をさせて到着すると中華屋の店員が珍しいもの見たさに外まで見に来た。ヤスは、
「すいません!宮本さんで予約してあるはずなんですけど・・。」
と店員に言うと
「あっ、いらっしゃいませ。かっこいい車ですね。眩しくて目が痛いくらい綺麗!」
「宮本さま、先においででいらっしゃいます。」
と続けて言う。
ツカツカとパーキングメーターに300円入れて入店する。
個室に案内され、カレンはスマホを見ながら待っていた。
「すごい爆音がしたけど、もしかしてヤスの車?」
と久々に会った顔も化粧のノリが良いのか肌が光ってツルツルだ。今日は着物じゃなくドレスで来ていた。
「おーっ、人違いかと思ったぁ。髪を下ろして巻き髪にしてドレスじゃ全然雰囲気違う。しかも胸出しすぎだろう。」
と目が胸の谷に行き、胸と話しているみたいだ。カレンもそれを見て楽しんでいる。笑いながら、
「おっぱい好きなんだね。ヤス!」
「この世におっぱい嫌いな奴、男で聞いたことないよ。」
あっ、それ言っちゃダメだった?って話につけ足したコンプライアンスで、おなべとかLGBTQとか何とか配慮して・・・。
「私にだったらいいんじゃない。何人か居てそんな人がいたらヤバいけど、私の周りにそんな人いないから大丈夫。ってか、めっちゃ会いたかった。次の約束してなかったし、こっちから連絡していいものなのか分からないし、何よりミミちゃんのことが気になって、もう連絡こないかと思ったわ。」
矢継ぎ早に言う。今日のカレンはご機嫌良さそうだ。
同伴入店は22時30分までだから十分時間はある。途中、300円延長駐車代入れるのを店員に頼んどいた。店には酒は飲まないと言ってある。
「ミミのことはプライベートのことなんで、あんまり話したくないけど、その話は置いといて今日の作戦を立てようよ。」
とヤスが突っ込んで言う。
「ミミちゃんの話気になるけど、上手くいってるのね。良かった。あんな綺麗な可愛い子が店にいたら大繁盛よ。最近No. 1よ芸能界じゃ。足すくわれないようにしないと・・・。すぐそう言うライバルが仕掛けてくるから。あっ、そう言えば昨日X(旧Twitter)で見たけど、葛西臨海公園に居たらしいよ。写真取らせてもらった・・とか。サインもらったとか・・ツイートしてて、ランキング上の方にあったよ。もしかしてヤスと一緒だったのか心配だった。」
うわっ、やっぱそういうことになるんだぁ〜、有名人ってすごいな。注意しないと。
「あ〜、何も考えずにあの場所ならあんま人居ないし・・と思って待ち合わせしたら、俺にわざとサングラス外して、こうなっちゃう・・・ってやってみせたんだ。俺ももっと考えてあげないとだな。」
やっぱヤスのせいかぁと渋い顔をしてカレンは
「本人、ありがとうございますとか言ってるけど、本当は嫌なんだから気を遣ってあげなさい!」
それは本当に反省した。人が集まらないように配慮も必要だ。ってか、周りに芸能人いないから分かんないわな。
「自分でもそう思ったよ。反省した。まぁ、本人その後、機嫌直したけどね。」
セックスしたとは言わずにいた。
「それより今日はすげぇパリピっぽくやるからいい?」
「そっちのノリだったら任せて。最近うっぷん溜まってるからハイテンションで店行こう!」
とカレンは気合を入れたところでヤスが今日の作戦を説明する。ついでに正体も明かした。さすがのカレンも開いた口が塞がらなかった。
「お前、口閉じろよ!」
笑ってヤスが言うと
「だってー、手首まで刺青入れた元ヤクザの刑事っていうことでしょ?」
とカレンは不思議そうに尋ねると
「刑事か、そう言われたの初めてだな〜。階級警視だからね。その辺にある警察署の署長クラス。これもあるし・・・。」
ってカチャッとスライドして銃を見せる。
「マジ!本当の任務だね。失敗しないようにしないと。私は何が成功か失敗か分からんないけど、ヤスに売人を会わせるように店の売人みたいな女がいるから席に付けるね。口説いて。その子いつも鼻んとこ白い粉ついてるから。」
よしっ、それだ!
その女に札束見せて、海外でコカイン覚えて日本でも買えると聞いたとわざとらしく良かったら紹介しろって売人を誘い出すつもりだ。
「よし!作戦は決まった。店行くか!」
何故か2人で握手してグータッチしたのは笑えた。
会計を済ませ中華料理屋をの店員に見送られ、黄色いアベンタドールは日比谷通りを虎ノ門を右折し、新橋のガードくぐって2つ目の信号を左折して、徐行し始めた。
タクシー渋滞だ。並木通り入り口ガッド下の信号の先頭に停まった。もうこの辺で空ぶかしをすると並木通りのポーターは全員この車に釘付けだ。青になり、ポルシェビルの前あたりで停まり、ガルウイングを開けるとポーターが
「内藤様ですね。お車をお預かりします。」
とポーターも嬉しそうだ。ママや何人かのキャストも迎えに来ていた。カレンも鼻が高い。キャストは
「すご〜〜い!かっこいいー!」
と言って羨ましがる。
カレンの新しい店はポルシェビルの3階〝サードフロアー〟という店だ。
銀座でも有名な高級クラブだ。カレンはママとして出勤するのは3日目くらいだそうだ。銀座は永久指名制なので、この店に知ってる子が居ない限り、カレンの客として永久的に売上のパーセントが入る。だいたい太客だと店と折半だ。100万使うとカレンに50万が売上としてカウントされる。月の売上が1000万以上の〝売上制のお姉さん〟となると500万円が売上でそこから店の色んな積立とかヘアメイクが店指定だとそれも1日3,000〜4,000円引かれる。他にもヘルプの女性たちは時給で最低でも5,000〜10,000円の上ものもいる。
カレンは自分の客を持っているのでお客さんに〝サードフロア〟にママで入店したと案内を出すと、入店日から1週間は店の前から並木通りまで祝い花スタンドが並ぶ。ちょうどその期間中らしく、宮本カレン様江というスタンド花が並んでいた。
3階の店の前も蘭の4〜5本出しとかたくさん並んでいる。その花の間を歩いて店へ案内される。カレンに分からないように店員の黒服に祝儀袋を買ってくるように言ったら、店にあるのでトイレに立ったらお渡ししますとのこと。OKと言って席に向かう。1番左奥のソファに案内されどうぞ!と言われたので、癖で隅に座る。カレンが
「また、そこに座るの?左側にも女の子入れてあげて!」
と怒られる。
今日は言うことを聞く。左が角なのでそこに着物の子を入れてカレンが準備で外れた間、スパンコールのドレスの女の子が着いた。ミニスカートなので、ブランドのハンカチを三角の場所に置く。先にお飲み物はと聞いたので、ここはやはりドンペリのピンクで名刺がわりに・・・と言ったら女の子は皆んな喜ぶ。
心の中では正直モエのピンクも変わらない。ちなみにドンピンだと20万円は下らない。もしかすると、この店だったら30万円ぐらいだと思う。モエのピンクでも10万円ぐらい。8万のところもある。カレンと一緒にドンペリのバケツとナプキン、シャンパングラスが7〜8本来た。
スパンコールの女が俺の横んカレンを入れてテーブルを挟んで向かい側に座る。スパンコールのワンピースミニなので、完全にストッキングに埋まったショーツの三角が見える。ハンカチを置くけど、シャンパン渡したり立ったり座ったりするので丸見えである。俺的にはありがたいが。あと、ママ(カレン)に俺の左側(隣)に来てくれと言う。拳銃が左側の着物の子に当たるからだ。乾杯する前に配置を変える。
カレンから聞いたらスパンコールの子が売人聡子(サトコ)らしい。
聡子が気に入った風に振る舞うようにしようとカレンも手伝ってくれるはずである。カレンが皆んな揃ったところで、
「内藤さんご来店ありがとうございます。乾杯!」
と言って、俺も
「ママもサードフロア入店おめでとう!」
と横から言う。カチンッカチンッっとグラスのぶつかる音、ピンク色に泡が綺麗だ。
「内藤さんって言うんですね。聡子って言います。」
スパンコールの子が自己紹介しながら名刺を渡す。昔も良くやったが名刺を渡されても裏を見て携帯番号が書いてないと置いて帰るとか話していたら、
「裏、見てください。」
って笑って言う聡子。
「おー今はQRコードかラインIDかぁ〜。」
すげぇ、聞くとQRコード(ライン)のゴム印を持っていて気に入った人用に何枚か準備してあるらしい。スマホ出して名刺をカメラでスキャンしてみる。・・おっ!ちゃんとラインが取り込めた。
「時代は変わるもんだなぁ。」
俺もQRコードのゴム印作ろうと思った。
「聡子ちゃんここ長いの?」
「いや、まだ半年くらいです。」
と話をしているとイントネーションが叔父貴、いや社長の矢﨑の喋り方に似ている。確か矢﨑社長鹿児島だったよな。ヤスはすぐ
「聡子ちゃん、鹿児島でしょ。喋り方なまってるよ。」
「あっ、そうですそうです。えっ、でも自分はなまってないつもりですけどね。」
と聡子はまたなまって喋る。やっぱ本人は気が付かないんだろうな。
「いやいや、話せればいいんだよ。そのうちこっちも伝染ってくるから・・・。」
聡子は赤い顔になる。この子も胸が大きい。スパンコールからはち切れそうだ。最近体が細いのに胸だけ大きいなんて、昔じゃ決まって胸が大きい子は体も大きかったけど、最近、デブを割と見なくなった。聡子にその話をすると、
「あ〜、これ偽物ですよ。少しヒアルロン酸が入れて寄せてあげて。」
色々説明する。今、脇のところから大きな注射器で乳の下の筋肉の下に入れるから自然に見えるとか。色んなやり方があるんだなぁ〜って思っていたら、他の人の子も私も偽物って正直に言う。
こりゃ〜胸を入れるんなら顔もいじってるんだろ?って言ったら全員手を挙げた。いじってるってのが二重まぶたにするのもいじってるに入るらしい。少しいじっただけで女の子ってだいぶイメージ変わるんだってな。皆んな今日は美人だと思ったらスマホで昔の写真とか見たらその辺の田舎の女だわ。鼻なんかすごい。お尻の軟骨を綺麗に鼻の先の三角にして切って入れるらしいけど、自然で分からないし、少し高くして横に広がらないように整えたら、あらまあ美人。
だいたい目と鼻だと俺は思った。一番大変なのは体型だろうね。皆んなボンキュボンを良く維持しているよ。トレーニングしたり食事制限したり、何もしないで体型維持できればすごいけどね。そんな薬があればいいのに・・・とジャブを入れた。
まぁダイエットにコカインを使う奴はあんまり居ないけど。あっ、ちょっとパリピ風な人が来たからゲームとかやらなきゃって考えた。
人狼ゲームとかやった。なんか盛り上がらない。銀座って昔叔父貴とか連れてきてもらったけど、結構騒いでいた記憶はあるけど。今は皆んな喋るってよりは、ひとりを口説くのが主流なのかとカレンに聞くとそうでもないけどヤスは話下手だから、ひとりを口説く作戦の方が合うんじゃない?とそっとアドバイスくれた。
聡子をベタ褒めし、気に入った風を装う。25才だと言う聡子は何を話しても乗ってこないというか・・・あんまり興味なさそう。
普通、銀座とか六本木は客に合わすだろうに。ヤリモク(やらせる目的)で口説かれ慣れしているので、時給だしその辺は頭の中ではうざいやつ、ウザいオヤジとか思っても仕事だと我慢してればいいので楽だ。
そう言う奴は自分が興味があると話もはずみアフターも呼んだらくる。
今のところうざがられてる奴なんだろうか。ランボルギーニの効果が聡子に響かないとこのミッション終了になってしまう。とりあえず、車の話を聞いてみよう。
「今日、横浜でさぁ、クルーザー見に行って直接こっちに来ちゃったんで、ママにもう車も預かるからそのままおいでって言われて来た。」
と聡子に言うと、なまってるの気にしたのか話が少なくなったのが分かった。でも、返信は来る。
「見たことない横に大きく私の胸ぐらいしか車の高さ無かったよあの車。ドアも上に開くし、ママが運転して来たのかって右側に並んでたから、」
やっと少し笑った。
「普段もあれ乗ってるの?」
乗ってないけども
「だいたいあれだね。」
聡子が笑いながら
「浮気とか悪いことできないね。目立ってすぐ見つかっちゃう。」
聞いてた2人が聞こえたのか笑う。
「男の人は、車好きだからすごい車でカッコいいって思って見てるんだろうけど、女子は気味悪いってドン引きかも・・・。」
って正直に言う。立つ瀬がない。苦笑いをする。
「じゃあ、電車で移動する・・。」
とわざとふてって言うと、それが良かったのか、
「聡子が、あ〜、よしよし可愛い子!」
ってしてきた。ツンデレタイプだったんだー。
「聡子、俺、あの車売って違う車乗る。」
って子供みたいに言うと、
「あら〜っ、怒ったの?内藤さんの下の名前なんて言うの?」
と前進し始めた。
「靖って言うんだ。皆んなヤスとかヤスさんとか言う。」
と言うと、
「私は、ヤス坊でいい?ヤス坊。」
ヤス坊?今まで誰もそんな呼び方で呼んだことない。まっ、いいか。
「別にいいけど。」
「じゃあ、ヤス坊はどんな人?歳はいくつですか?」
どんな風に話して良いか分かんなくなる。とにかく話さなきゃ。
「どんな人って皆んなで楽しく遊ぶの好きな人。歳は27才だよ。」
一応、普段の自分の逆を言っといた。
「私と2つしか違わないじゃん。楽しいことってどんなこと?」
う〜っ、苦しくなってきた。とりあえず、実現できそうな楽しいことを並べてみた。クルージングやパーティーなどコカインに全部関連付けてみた。
「SNSとかやってないの?私ね、YouTubeやってて配信してるんだよ。」
「へぇ〜、そうなんだぁ。どんなこと配信してるの?」
それによってはもう付いて行けない可能性が出てくる。
「お店には秘密にしといて、YouTubeって乳首が写るのダメなの知ってるでしょ。乳首写んないようにエロカワな動画撮って配信してる。」
「うわっ、見たいなぁ。チャンネル登録者数は?」
「10万人ぐらいいるよ。」
「ひえ〜、それで食えるじゃん。」
「あ、でも広告元の関係とかPVに波があって、そんなこともない。」
「よく分かんないけど儲かってはないってことかな。」
「ヤス坊みたいに胸張って俺、儲かってるぞー!ってことは無い。」
これは厳しくなってきた。聡子に俺を取り込んでもらうには、これからどの方向にいけばいいんだ。やっぱ皆んな遊び慣れてんだなぁ〜、こう言う時
即応性がないもんな。
「いやーっ、俺も儲かってるとは言えども税金持っていかれちゃうじゃん。そんなこと忘れて遊びたいから、接待って言って銀座きてる訳で。」
聡子の態度があきらかに変わった。キャバクラとかでやってくる膝をくっつけてくるあの密着のヤツをしてきた。
「ヤス坊!今日私になまってるとか田舎者みたいにバカにした罪としてアフター1軒付き合いなさい。ママいいですよね。罰だから。」
と良い展開になってきた。もちろん2人でだけど、ママのお客さんだからどの店に何時までいますとか、タクシー代もらって帰りましたとか報告義務はある。カレンママは途中抜けたりしたけど、ほとんど話を聞いていたので
「聡子ちゃん、お願いしていい?ヤス坊、説教しといて。私は他にもアフターあるから呼ばないと行かないので。ゆっくりしていいわ。」
聡子が目を輝かせて、
「キャーッ、ヤス坊、どこ行きたい?う〜んとどこ行こうかなぁ〜?」
と嬉しそう。さぁ、どこへでも連れてって!魚釣りじゃないけど、やっと食い付いてきた。逃さないように釣った魚にちゃんと餌をやるようにしないと。
結局すぐ閉店の時間になったので、朝までやっている歌舞伎町のオカマバーに2人で行くことになった。ママ(カレン)からラインが入る。
「歌舞伎町のオカマバーなんだってね(^ ^)多分コカインきめたいから何回も席離れるよ。オカマバーならヤスの相手するからちょどいいんじゃない。自分も楽しめるし。何かのタイミングで見つけるか見つかる?かなんかして沢山欲しいって売人を引っ張り出さないとだね。」
とラインが入る。俺も返信、ピンッ
「まさか俺がやる訳にはいかいしなぁ〜、どうしたものか。」
ピンッ
「これは考えると寝技に持っていけないねぇ。キメセクで自分もきまっちゃってヤスもパクられる。」
ピンッ
「もう脅かして売人に電話かけさせるか、見つけて俺も大量に欲しいから売ってくれる人紹介しろ、かな?どう思うカレン。」
とヤスが送信。ピンッ
「そだね。カバン空いている時とか鼻に粉付いてたら、拭いてあげてそれ沢山欲しいって言う。紹介したらあげるから・・・とか。」
カレンが送信。タクシーの中で聡子もヤスもスマホをいじっていたらタクシーの運転手がこの辺でいいんですか?と区役所前に車を停める。
「はい、大丈夫。」
と聡子がドアを降りようとするが、ヤスが支払いを済まさないとタクシーはドアを開けない。支払いを済ませ領収書を貰って降り、聡子の後を付いていく。タクシーが停まった反対側に並んでいるビルの地下へ入って行く。
〝マダムひげ〟といういかにもな名前の店にづんづん入っていく。
あちこちから「いらっしゃいませ!」と中性的な声で迎えられる。
(つづく)
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