【アイマスSS】鷺沢文香と兄P
文香「兄さんの新作小説、さっき読み終わりましたよ。
……ふふっ、主人公の心の襞が丁寧に描写されていたせいか、気付けば感情移入してしまっていて。
後半から、ページをめくる手が止まりませんでした。今回もとても、よかったです」
P「あの文量をもう読破したのか、さすがだな文香。
そして、ありがとう。そう言って褒めてくれるのは、もう文香だけだよ」
文香「……そんなこと」
P「……あるさ。
文壇デビューしてもう10年。自慢にもならないが、ファンレターの1通も貰ったことなんてないんだぞ?」
文香「……」
P「兼業でやっていたプロデューサー業が成功したのは、まあなんというか、出来すぎた皮肉だと思うよ。
……妹は今をときめく売れっ子アイドル、かたや兄は、口に糊すら塗れないほどの売れない小説家。
ずいぶんと、差が付いてしまったな」
文香「……そんなこと言わないで、兄さん」
P「文香?」
文香「貴方のファンが、今、貴方の目の前にいるんです。
”目の前のファンをがっかりさせるようなことを、してはいけない。”
これは、プロデューサーの貴方に教わったことです」
P「……失言だったな、撤回するよ。
しかし文香。よくそんな昔のこと、覚えていたな」
文香「当然です。……だって私は、貴方の“一人目のファン”、ですから」
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