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ザ・ドキュメント・オブ・共テ国語2024 第9回(古文3)~大学受験生応援コラム1月

古文も佳境です*追記アリ


’** 0 はじめに ***

当コラムに目を留めていただき、ありがとうございます。大学受験国語の勉強に資する内容提供を目的として書いています。

共通テストを講師はどう解くか? 一つのサンプルとして書き進めています。そろそろ古文も佳境です。

’** 1 問2を完全終了、そして問3も解く ***

ではまず、前回到達するつもりが到達できなかった、XとYの和歌のやり取りの箇所まで行きましょうか。

前回の最後に、主人公は雪を見て心を動かされ、和歌を詠んだ。その様子を波線部d「興ぜさせ給ふ」と表現している。もう終わっている問2の選択肢④だが、④は使役の助動詞というのも、後半の「和歌を詠んで人びとを楽しませている」のも誤り。ここは主人公自身が「興にのっていらっしゃる」と訳すべきところ(つまり、あくまで主人公自身が楽しんでいるだけ)だし、あくまで主人公が雪を見て心を動かされていることを表現しているだけだ。

そして本文で言うと13行目、傍線部(ウ)の辺りからが本日取り上げる内容だ。童が「御あと尋め(=とめ)来て」とある。「御あと」が貴人がつけた跡ということだから、これは主人公の乗る牛車の車の跡だと考えていい。そして「尋め」を漢字で書いてくれているから意味が分かりやすくなっている。童が主人公の牛車の跡をたどって自邸から追いかけてきたわけだ。どうやら、源少将の手紙を持って追いかけてきたらしい。

Xはその源少将が詠んだ歌(その事実は、問3の選択肢を見ても分かる)。直前に「いつも後らかし給はぬを、かく」とある。直訳では「いつも遅らせなさらないのに、このように」。そういえば、主人公はいつも源少将らを引き連れて歩くのだった。いつもはちゃんと私に声をかけてくれて、置いてきぼりにするなんてことはなさらないのに、きょうはこんなふうに私を置いていかれるとは・・・ってな感じでしょうか。

その上でのXの和歌となる。「捨てられ」だの「恨み」が「積も」るだの、なにやら物騒な表現が使われているが、置いてきぼりにされた悔しさのようなものを詠んだ歌だと解釈するところ。

それに対して主人公、Yの歌を畳紙(=たとうがみ、懐紙のこと)に書きつけ、歌の第4句に詠んだ「待つ」という語にちなんで松の枝に結び付け(従って、「待つ」は「松」との掛詞ということになる)、童に託した。これで童は、この紙を主人公の自邸で待っている源少将に届けることになる。歌自体は謝るのかと思いきや、「え? あなたは私を追いかけてくると思っていたのに、私の自邸で待っているなんて考えもしなかった・・・」と。ケンカ売ってるのか、いや昔はこんなやり取りで通っていたのでしょうな。

これで問3が解ける。選択肢①は冒頭、源少将が主人公の「誘いを断った」がいきなり間違い。②はお話がBLになってしまうので間違い(古文にその手の話がないわけではないのだが)。③は最後の「桂の院に届けさせた」が間違い。これで答えは④。この選択肢の解釈に無理はない。

ついでに問2最後の波線部eについて。「見給ふ」というのは童が大夫に手渡した手紙を主人公が受け取って中身を見た、という意味なので、「給ふ」は主人公を敬っている。これで✖となる。

’** 2 追記:問4の残りを解く ***

これで残るは問4の二つのみ。もうあっさり終わらせておく。

問4に掲載されている解説文はなかなか興味深い。が、(ⅱ)は本文20~23行目の、(ⅲ)は最終段落の内容確認を求めているに過ぎない。それだけ。

答えは順に②と③.

これにて古文は終了です。


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