共時性:過去も未来も”いま”にある〜時間実験の話〜 【人生工学 第6章②】

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では、早速!

②時間実験の話(過去、現在)

最後に共時性について、科学的な裏付けを説明いたします。実は「過去から未来に時間が流れる」ことが絶対ではないことは、物理学の世界、とくに素粒子をあつかうごく小さな世界では当たり前になっています。
(1)アインシュタインと相対性理論
<図表>
まず何よりも、アインシュタインはタイムトラベルが理論的に可能だと明らかにしました。理論的に、今から未来にいくことは可能だろうとのことです。この発想の元にもなっている有名な「相対性理論」では、時間は相対的なものだということが明らかになりました。ブラックホールなど、重力が強すぎるところで感じる1秒は地球からみた時の何十年にもなるとされています。

(2)量子の実験
<図表>
アインシュタインの時代の後に発展を続けている量子物理学の世界では、時間に関する実験がいくつも出てきました。
わかりやすい実験をご紹介します。あなたがお風呂にお湯をはった後、放置されたお湯の温度はどう変化していくでしょうか?きっと時間の流れに合わせて、温度は下がっていくはずです。もし何もしていないのに温度が上がっているとしたら、それは時間の流れが逆行している、つまり未来から過去に行っている様なものではないでしょうか。2017年の研究では、なんとある状況下において「自然と物体の温度を上げる」ことが出来ました。色々な解釈は出来ますが、”量子”をうまく扱うことで時間の流れを逆行できるのではないか?とされています。
量子を用いた別の実験でも、時間の相対性や共時性のヒントが出てきました。今までは、「時間は光の速さに応じて進むので、光の速さを超えた情報交換は出来ない」とされていました。たとえば田中さんが「おーい!」と手を振ったら、向かい側にいる山田さんがそれを見てはじめて「あ、田中さんが手を振っている!」と気づけるわけです。山田さんは手を振っている”光”をみて気づくわけなので、時間は光のスピードに縛られているのではないかと考えられていました。しかし、「量子スピン」というものを扱った実験では、遠くにある2つのものが、光速を超えて同時に情報をやりとりできることがわかりました。先ほどの例で言うならば、”田中さんが手を振ったその瞬間、光よりも早く、目で見るよりも早く、その瞬間同時に山田さんは「手を振ってるな」と気づく”ということです。
他にも”量子消しゴム”と呼ばれる実験では、「実験の後にしかけをいじると、実験結果が変わってしまう可能性」も出てきました。こちらが本当ならば、完全に”過去を変えた”ことになります。

この様に量子物理学の世界では、科学的に時間の流れや絶対性が覆されています。そして実は、物理学の諸理論は、時間の逆行を認めた上で存在しているものがほとんどなのです。

少し難しい話になってしまいましたが、普段の生活でも共時性の発想が使われています。たとえば勉強や仕事でよく言われる「ゴールから逆算しよう」という発想も共時性に近い発想です。先に未来を決めることによって、そこから今や過去を見つめ直す、作っていくことをしています。

この様に共時性の考え方を使いこなしていければ、それだけで自由な視点で物事を見つめることができるでしょう。活躍するスポーツ選手などがインタビューで口にする「今にして思えば、あの時の出来事がつながっている」というのも、共時的な考えかもしれません。もし人間も時間を超えられるのだとしたら?実は既に超えているのだとしたら…?とてもワクワクしてきませんか?

さて、ここまでが人生工学の「基本的な世界観の章」でした。ここからは、今まで登場した6つの世界観を掛け合わせることで、より発展して、人生と密接に紐づいてくる「発展理論」を見ていきます。こちらも世界観と言えば世界観の話ですが、一つ一つに裏付けがあると言うよりも、「こう考えるといいのではないか」という、提案型でより応用的な世界観になっています。いよいよ人生工学の本編にあたります。それでは参りましょう。

↓第Ⅱ部、第7章へ続く・・・↓



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