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本物の税理士が、推しの子で考える。ユーチューブをやるのか節税になるのか?

概要

こんにちは、税理士の安藤寛です。
私は旅行が好きなので、YouTubeで電車・旅行好きのチャンネルをよく見ます。私より一回りも年下の方々が成功されているユーチューバーの姿をみると、とても尊敬します。ユーチューブで成功されている方は「好きこそものの上手なれ」のまさに典型例かと思います。彼らの職業を羨ましいと思うこともありますが、税理士という仕事に誇りを感じている私は、職業病がでてしまい、「どこまで経費にしてるのかな?」、「ユーチューブを建付けにすれば損益通算で節税できるのかな?」と考えてしまうことがあります。

「どこまで経費にしているのか」については、こちらで簡単解説をしているのでご参照ください。

「ユーチューブを建付けにすれば損益通算で節税できるのか?」について検討していきたいと思います。

ユーチューブで節税できるのか?

さて、本題、好きなことを仕事にして、経費にできれば一石二鳥ですよね!!仮に赤字でも、ほかの利益と相殺(損益通算)できたら、節税になりますよね。
では、本題の推しの子 次のシーンで検討してみましょう。


引用元(赤坂アカ×横槍メンゴ「【推しの子】 7 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)」2022年 集英社)
このシーンは推しの子 シーズン2 エピソード第10話でも描写があります。
引用元(赤坂アカ×横槍メンゴ「【推しの子】 7 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)」2022年 集英社)
このシーンは推しの子 シーズン2 エピソード第10話でも描写があります。

まずもって、MEMちょの車購入の発言についてですが、プライベートにも利用する場合、全額を経費算入することは難しいです。また”ユーチューバーが高額な買い物を動画”にしても、車など資産性があるものは、全額すぐに経費にできません。
これについては こちらをご参照ください。

B小町のメンバーなら節税になるのか?

第何話か忘れてしまいましたが、メンバーの一人が、B小町のユーチューブでの利益は、編集代等の外注費でギリギリ黒字となっていると発言する描写がありました。これ以上経費を増やしたら、ほぼ確実に赤字になるでしょう。

ユーチューブでの撮影が赤字([売上]-「経費」がマイナス)であるのであれば、節税になるでしょうか?(例えば.30万の赤字(X)とします。)

B小町のメンバーは芸能人であり、それぞれユーチューブ以外での活動もあります。有馬カナは東京ブレイドの舞台出演料、MEMちょは『今からガチ恋♡始めます』の出演料があります。星野ルビーはアイドルに専念しているかも?(500万の黒字(Y)とします。)

所得税上ではXとYは同じ芸能活動の一環と考えることができるので、XとYを合算(-30万+500万)し、芸能活動として470万の利益が出ていると考えることになり、470万に対して所得税が課されます。

仮定の話、B小町のメンバーがOLだったらどうなるか?

ユーチューブでの撮影が赤字であり、
メンバーそれぞれ芸能活動はほかになく、勤め人としてお給与をもらっていた場合、どうなるでしょうか?

結論、できる場合とできない場合がある。

できる場合
ユーチューブの仕事をメインとしており、本業がユーチューバーであるのであれば、勤め人としてもらった給与(300万(Z)とします。)と通算し、X+Z(-30万+300万)=270万円に対し、税金がかかります。
つまりユーチューブの撮影が事業として認めるのであれば、給与の300万円に税金がかかるのではなく、270万に税金がかかります。

できない場合
ユーチューブの仕事が趣味程度であり、メインの仕事が勤め人であるのであれば、ユーチューブの赤字をメインの仕事で得た給与と通算することはできません。つまりユーチューブの撮影が事業として認められない場合、もともと勤め人として得た給与300万円に対して税金がかかります。

このようなことを考えると、仮に赤字になったとしても趣味を事業活動として行えば、税金が少し安くなるのではないか?と考えることができるのです。

事業として認められる場合とはどういう場合か?

これについては、国税庁が一定の基準を示しています。

「事業…と認められるかどうかは、…社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。」…そのあと帳簿の備付の規定を示していますが、売上が300万円以下であっても事業活動として認められる場合があるとわかります。

しかし『社会通念上』認められるかどうかは、結局のところ人によって判断が異なります。安易に自分自身で事業と判断し、税務署から事業ではないと否認されると後で追加納税が発生します。

したがってもし、今後ユーチューブやTikTokのみならず、副業を行ったが赤字がでた。そのような場合、損益通算を検討する場合、事業活動に該当するか慎重な判断が必要です。
 

免責事項
この記事は2024年10月2日現在の税制度に基づいて投稿しております。
また税制度の適用につきましては個別の判断が必要です。
なお、当事務所にお問い合わせいただいた場合、顧問契約のないお客様への回答はできかねますので、ご留意ください。


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