見出し画像

保育園と幼稚園の統合案否決を考える

中学校は1校に、小学校は7校に。
保育園と幼稚園はどうでしょうか。

保育園は平成23(2011)年に保育所規模適正化推進計画がされており
令和2(2020)年までの10年間で幼保17園を10園に統合する予定でした。
〇吉田保育所・みつや保育所・吉田幼稚園を1つに
〇みどりの森保育所・ひまわり保育所を1つに
〇かわね保育園・くるはら保育園・ふなさ保育園を1つに
〇甲立保育所・小原保育所・小田東保育所を1つに
〇向原こばと園を改装して向原保育所に

令和5年(2023)年現在は以下の13園になっています。
吉田保育所・みつや保育所・吉田幼稚園
可愛保育園(私立)・入江保育園(私立)
やちよ保育園(私立保育園2園が統合)・ひの川幼稚園
みどりの森保育所
かわね保育園・くるはら保育園・ふなさ保育園
甲田いづみこども園
向原こばと園
(このほか認可外でそらはる保育園)

思いのほか減ってません。
吉田保育所・みつや保育所、吉田幼稚園を認定こども園に統合する案が
令和5(2023)年度初めに出されましたが、否決されました。

経緯を見てみます。

もともとMeet-upで市民から「公園がほしい」といった意見が多く寄せられており、市長からは田んぼアートの跡地にparkとplaygroundを兼ね備えた公園に整備する構想が出ていました。
私の記憶だと、市民の声では公共トイレを備えた子どもの遊び場がほしいといった謎のトイレ推しでした。私は公共トイレは使用するのも危ないし管理するのも大変だと思うので、公園にトイレはなくていい派なのですが。

一方、保育園統合の土地探しは暗礁に乗り上げていました。計画当初から10年経過し、そこから更に3年も過ぎているのに見つからない。
候補地は上がるものの、浸水被害が出たりして結局再スタート。
そもそも、吉田町吉田でハザードマップに色がついていない土地はほぼ主要道路沿いにない。土地あるじゃん、と思ったら山。または現役の田畑。
無理ゲーなんですよね。

そこで、執行部から吉田ではないけど山手ならどうかという妥協案が出てきました。

可愛や山手に行くと水害は大丈夫になります。地震は橙ですが。
10年以上たち、1小学校区に1保育所の原則はもう意味をなさなくなりました。1つの小学校に1つの保育所なら、もう7校しかないから7園にしないといけません。

吉田町吉田と吉田町山手の距離は5km位。車で10分以内といったところでしょうか。利便性の違いは分かりません。近いし。
1小学校区に1保育所って、1町あたり1園以上あればいいよね、くらいの感覚だと思います。それで定員が足りていればヨシ。

広大な9,000㎡の土地。
ここを候補地として計画案を出しましょうとなり、
この場所で失敗・よろしくないものを作ってしまったら後がないので
グランドデザイン(基本構想作成)をコンサルタントに任せたいということになりました。

そこで、田んぼアート跡地をこども園と公園にする予定と
複数の関係者に伝え、記者発表を行いました。

で、グランドデザインの委託料を予算案に計上したところ
否決された
わけです。(613万8,000円)

入口でつまずきましたね。
議員の皆さんと執行部にかなり温度差があると思います。
吉田じゃないところで妥協する市長が出てくるまでに10年かかっていて
もう、ここしかないんです!
そもそもうちの課の土地じゃなかった!
こんな広いところ、二度と使わせてもらえない!
って主張が
何㎡がこども園なんですか?の質問への「8,000㎡です!」に表れています。
(いやこれはないわって声出ました。延床じゃないよ、土地だけでだよ。
担当者はきっとサッカー公園が羨ましかったんでしょうね・・・。)
他にあるんじゃないのー?もっとよく探せばあるよ多分という議員の皆様
あと10年かけたら見つかるかな。
そうか、田畑が相続で手放されるのを待てってことか。
計画当初に赤ちゃんだった子は、もう中学生なんですがねぇ。

ちなみに基本構想というのは
『施設整備にあたって、規模や機能、施設内容などの条件をまとめた、理想とする施設及び設計の基本的な方向性を定めたもの』だそうです。
文章やイラスト、設計図面等を用いたプレゼン資料ですね。

こちらは愛知県小牧市


こちらは岡山県高梁市
こちらは北海道厚真町

これに600万かかるのか・・・という意見ならまだしも、基本構想がどういったものなのかすら議員の皆さんは分かっていなかったようです。
値段の妥当性とかじゃないんだ。
保育園の設計に意欲的な建築士さんとか呼ぶとこんな金額なのかな?
コンサルタント1名なの?コンサルだけじゃなくて建築士も入れてる?
具体的などこかに見積をしてこの金額が上がってきたんだろうから、その内訳を質問してくれないかな?
委託料の審議ってそういうものだと思っていました。

作らなくても、園を開設できるのでは?という質問もありましたが
多分ほぼどの自治体も作っていると思います。というか、プレゼン資料がないと部署内外でイメージの統一がされないんです。
サッカー公園より1まわり小さい位の感じの敷地に、公園と保育園が一緒になっています、って口頭で言われて想像するものは十人十色

それを作るための予算。
現段階では執行部が口頭で「こんな感じがいいよね」って言ってるだけの
ほぼスタートラインの状態。自前でやろうとしたけどできず、他市のホームページを見ると可愛いものがたくさん出てきます。どうやってるんですか、と聞いたらコンサル入れてます、という話。

否決理由1
小学校区1保育所の原則を崩すことの整理ができていない。
なし崩しになる。

1つの小学校に1つの保育所って、まだ言うんですかそれ。
何のための原則なのか、考えてください。
ルールには、理由や目的があります。
議員さんたちもよく分かっているはずです。
法律もそのように作られていますから。
何かの目的を達成するために、道を作る。何か道に不具合があって、一部の条件を理由に先に進めないことがあったときのために、例外がある。
でもそれは別の道ではなく同じ道に合流するもので、ゴールは同じ。
大事なのは道ですか?ゴールではないですか?

それでも、吉田に場所があるというなら
5,000㎡位(大きさの根拠は下記)をハザードマップ上で示してください。
駐車場と公園なしならそのくらいでできます。

否決理由2
保護者や地域住民の理解が得られていない。説明していない。

今回の予算は、保護者や地域住民への説明会用の文章やイラスト、設計図面等を用いたプレゼン資料を外部に作成してもらうためのものです。

資料がない状態で、それでも保護者や地域住民に説明するとして。

保護者とは、誰か。
開園する頃には半分以上の児童は卒園している可能性が高いのですが。
そして、まだ「候補地が1か所しかないので公園スペースに保育園統合させたい」しか方針が決まっていないので、説明できることがありません
また、前述のとおりこの案件は10年以上前から検討されていました。予定を3年過ぎているので、あとはいつやるかだけの問題です。
「八千代でも新しくしたらしいよ。古くなってたから。」「こっちもそろそろするって聞いたけど、いつやるの?」「特にそのあとなーんも進んでないってよ」「まぁ、こっちも古いしそのうちやるんだろうね」
他の地域で統合が進む中、どこかのタイミングで話が出る度にこんな感じだったのではないでしょうか。これが10年。

地域住民に、何を理解してもらえばいいんでしょうか。
何度も何度もですが、この案件は10年以上前から検討されていました。
統合自体は、皆いつかはやるって知っていたはずです。
今回は一応、関係者の方に「公園スペースに保育園」の話をして悪くない反応を得られていたようでした。
知らなかった人は興味なかったんですね、としか言えない。担当者は泣いていい。
統合自体はいいとして吉田でなく山手に建てることを理解してもらうなら理由1と同じですね。この説明会をしましょうと。

うーん。
石丸市長からの説明の動画を撮って公式で流してもらいたい。
市役所とか、公民館でもいいです。YouTubeもお願いします。
それだけそのためだけの10分動画。
今の吉田町の小学校分布と、幼保の分布。築年数。ハザードマップをもとに災害の危険性。こども園を建設するための㎡数、それを確保する広さの土地が、現状吉田では見つかっていないこと。今なら山手に田んぼアート跡地があって、まだ公園の基本構想の作成前であること。吉田の幼保統合の案件は10年以上進んでいなかったこと。吉田幼保と田んぼアート跡地の距離、利便性は自動車ならいいが徒歩だと劣ること。以上を踏まえて、吉田町全体の未来を考えて、田んぼアート跡地への統合移転が現状からみて最善だと判断していること。

担当部署からの説明会だと、人は来ないと思います。
石丸市長が来るなら行きますって人はいそうですが(笑)
市長が田んぼアートの跡地にparkとplaygroundを兼ね備えた公園に整備する構想をMeet-upで話していて、それはYouTubeに公開されているので、変更に至った説明をしてくださってもよろしいのではないでしょうか。

私は市民じゃないんですけど。ただ見たいだけです(笑)石丸市長は市民に対しては素晴らしいプレゼンをされるのでぜひお願いします。
議会質疑の応答だと、市長は説明ではなく説教をされているんです。
質問が変な流れを作っていて、とっ散らかっていて
すごーく分かりにくい。
1時間聞いても議員さんと執行部の間で、事業に対する前知識ギャップがすごいんだなとしか分かりませんでした。

否決理由3
民間事業者に対し、方針を伝えるだけで意見交換を行っていない。

今回の予算は、プレゼン資料を外部に作成してもらうためのものです。
説明会も意見交換会も、プレゼン資料がないと話ができないと思います。

民間事業者とは誰を指すのか。
吉田町で保育園を運営する社会福祉法人は2つあります。
愛心会さんと、報正会さんです。
意見交換とは何か。何についての意見を交換したらいいのでしょう。
位置関係は確かに可愛保育園に近いです。
民業圧迫になるのでは、といった質疑がありましたが
新設されるこども園に子どもが奪われて事業継続できないので、他の土地を探してほしいということでしょうか。
それは意見交換ではないのでは?
これまでの経験を活かして公設民営の指定管理者に手を挙げてほしいと思うのですが・・・。

さて、執行部の提案に妥当性があるのか検証です。
規模を考えるのに定員を試算してみます。
保育園や幼稚園の予算や補助金は全て定員、在園児童数によって決まります。
定員に合わせて職員数も決まります。

現時点で3園の定員は160+60+70の290人
可愛保育園と入江保育園はそれぞれ現時点の定員は70人と40人
に減少させています。私立保育園は補助金の都合上、定員と在園者数がほぼ同じです。
現時点の3園の児童数は何人なんでしょうね。

実際の園児の数は
平成22(2010)年時点で148+42+45の235人。
可愛保育園は当時定員120人のところ129人、入江保育園は定員45人のところ39人です。

平成22(2010)年当時の5歳以下の児童は吉田町で606人だそうです。
そのうち235+129+39で403人の児童が保育園または幼稚園に通園

直近の安芸高田市の5歳以下の児童は800人ぐらい。
吉田町に40%の人が住んでいるとすると
現在の5歳以下の児童は吉田町全体で320人くらいになります。
606人いたのに、10年ちょっとで半分くらい。
え。すくなっ。いや、10年後の中学生が400人ってことは、今の3歳~5歳の人口が400人ってことで。それの40%は160人で、単純に0~2歳と3歳~5歳で160人くらいずつだから計320人、信じられないくらいの少なさです。間違っててほしい計算。
気を取り直して、70%ぐらいの児童が在園するとなると
吉田町全体で224人くらいの児童が保育園または幼稚園に通園。ここから可愛と入江の人数を除くと、114人
今の定員おかしくない?まぁいいか。よくないけど。
100%の児童が在園するとなると、可愛と入江の定員110人を引いて
320-110=210人

ここまでの計算は、担当部署は正確な数字を持っています。
私は部外者なので問合せはしていません。勝手な推測です。
市議会議員さんなら聞けるんじゃないかと思うのですが。

とりあえず大きく見積もって210人の定員規模の保育園が必要だとして
幼保連携型認定こども園の園舎と必要諸室、園庭、駐車場を考えてみます。

定員想定は以下の通りです。
0歳:30人 1歳:30人 2歳:30人 3歳:40人 4歳:40人 5歳:40人

一応算定基準を参考にしていますが
国の基準は最低ラインなので、必ずこれを上回るようにします。
かと言って夢溢れすぎると非現実的になりますので
想像できる範囲でこんな感じだろうという予測です。

園舎は3歳以上は1クラス180㎡以上なので180×6=1,080㎡
13.5m×13.5mの教室を6部屋。
0・1歳児は全員ハイハイする子として3.5㎡×60=210㎡
12m×12mの教室を2部屋。(ハイハイできる部屋は1人3.3㎡以上)
2歳児は2㎡×30=60㎡
こちらも12m×12mの教室を1部屋。
1093.5㎡+432㎡=1525.5㎡
超ざっくりですが1500㎡位でしょうか。

必要諸室は職員室兼保健室、遊戯室、調理室、トイレ、その他諸々。
2階建ての園舎なら土地面積は2,000㎡あれば大丈夫っぽいですね。欲を言えば3,000㎡あるとデザインが広がります。
園庭が3.3㎡×210=693㎡ これは最低ラインなので無視。
2,500㎡だと50m走ができます。

以上により、4,500〜5,500㎡あれば園舎と園庭を合法的に設置できます。
もっと定員を少なくして全体を150人規模に見積もると、3,000㎡でした。

ちなみに、前述のとおり執行部が議会に提出した際は
8,000㎡で土地を探したそうです。
根拠を言ってましたが、定員を何人で想定しているのかの質問がなかったので分かりません。田んぼアート跡地と同規模でいいものがあるか、の観点で探したように思われました。
その規模で探したらそりゃ見つからないわ。
担当者は園内に畑を作りたいらしいです。比喩じゃなく。誰が管理するんだろう。

私の感想としては執行部の試算はちょっと大きすぎる。
計算式を見せてほしい。
土地だけで8000㎡規模の公共施設って、維持管理費もかなりかかると思います。園庭を芝生にしたいとか言い出しそうです。
子どもにお金はかけましょう、と言っても限度があります。
なのでむしろ、まともな外部の有識者に現実的な案(施設維持費含め)を出してもらった方がいいです。

今年度中に進展するといいですね。
市議会と石丸市長は相変わらず仲がよろしくないです。
市民的にはどうなんでしょう。
どうせやるならさっさとやっていいのにって思ってるんじゃないかと
普段自分の住んでいる市の広報で結果だけ見て「へー」って思ってる庶民は思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?