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新NISAを始める前に知っておくべき大切なこと(その1)・・・銀行や証券会社への店舗には行くな

来る2024年から、いよいよ待望の新NISAが始まります。

この新NISAは、普通の個人が資産運用を通じて財産形成を図る決定打と言っても言い過ぎでないくらい素晴らしい制度です。
この新NISAの登場で、日本でも個人が本格的に株式など金融資産で運用をする時代が到来するでしょう。

一方で、この新NISAを使いこなすためには一定の知識や経験が必要になります。この記事では、資産運用が初めての個人を対象に、新NISAを活用する上で必須の予備知識を紹介してみたいと思います。

なお、この記事には、新NISAの詳しい内容や、口座の開設方法などの手続き面での内容は出てきません。手続きに関しては、楽天証券やSBI証券などネット証券のHPを参照するのがいいでしょう。

銀行や証券会社の店舗には行くな!

新NISAを使ってこれから資産運用をしようと思っている人にとって、一番大切なことの一つが、「証券会社や銀行の店舗には絶対に行くな!」です。
このことは何度繰り返しても言い過ぎではないと思っています。

世の中には、銀行や証券会社を資産運用のプロだと勘違いしている人がいますが、これは大きな誤解です。
あなたが銀行や証券会社に行くことは、”鴨がネギをしょっていく”こと”略して「鴨葱(カモネギ)」に他なりません。絶対にしてはいけません。

証券会社は只のブローカー

いくら野〇証券や大〇証券など、大手証券会社に行くなと口を酸っぱくして言っても、未だに大手証券会社の店舗に向かう人は後を絶ちません。

そこには、大企業だから、証券会社だから何か特別な運用方法や情報を持っているのではないか、との思い込みがあるのだと思います。

しかし冷静に考えなくても、証券会社がやっている仕事を少し見れば、彼らが資産運用の専門家でないのは一目瞭然です。

相場操縦で〇暴に損失補填

40歳代以下の若いみなさんには既に過去の歴史になっているかも知れませんが、日本は30年程前に有名な”バブル崩壊”を経験しています。

そして1990年代に入りバブル経済が崩壊し始めると、闇に隠されていた様々なことが表ざたになりました。

その中でも、証券会社に関して有名なのが、総会屋や暴力団など反社会勢力への損失補填です。1980年代のバブル相場以前から、証券会社は大手企業などの優良顧客や、総会屋、右翼、暴力団などの所謂”反社”に対して利回り保証による運用と、利益供与や損失補填をしていました(注:当時は厳密には違法ではありませんでした)。

そしてバブル経済が崩壊し始めると、証券会社が顧客から預かり株で運用していた多くの資産が莫大な損失を抱えるようになりました。

その際に大手証券は、軒並み反社勢力への損失補填を行いました。
この違法な損失補填や利益供与が明るみに出始めると、大手証券の経営者が次々と逮捕起訴されました。

バブル崩壊を予測し損なった

ここまでの話を聞いて、不思議に思うことがないでしょうか?

なぜ証券会社、特に野〇證券や大〇證券などの日本を代表する超大手証券会社が、バブル相場の崩壊を予想できなかったのか?という点です。
もし大手証券が、相場や経済の神様で、豊富な情報を元にマーケットの先行きを予測出るのなら、なぜバブル崩壊前に重要顧客である大手企業や、ましてや総会屋、右翼、暴力団などの厄介な顧客に持っている株を売らせることができなかったのでしょうか?

答えは簡単です。

「分からなかった」からです。

皆さんが資産運用の専門家だと思っている野〇證券や大〇證券は、ただの株のブローカーにすぎません。ブローカーというのは、要はバッタ屋です。株式という商品を右から左に動かして日銭である手数料を稼いでいるにすぎません。

新NISAを活用した、個人の長期の資産形成には、大手証券は全くの無用の長物なのです。要は役立たずです

更に言うとむしろ「邪魔」ですらあります。

世紀の大恥「日本戦略株ファンド」

皆さんは野村投信(現野村アセット)が設定している「日本戦略株ファンド」という投信をご存じでしょうか?
20年以上前、ITバブルのピークである2000年の2月に、当時の野村證券が鳴り物入りで売り出した超巨大投資です。当時ITバブルに乗り遅れていた野村證券は、起死回生の一発を狙って半ば強引ともいえる強引な販売で、日本株の大型株に投資する超大型投信を売り出しました。そして設定前だけで7,924億円を販売し、設定直後の2000年5月には1兆1,670億円の資金を集めました。ちなみに運用当初の基準価格は、9,966円でした(注:この数字を覚えておいてください)。

悲惨な運用成績

鳴り物入りでスタートしたこの巨大投信ですが、肝心の運用は悲惨な状態となります。投信設定直後に発生したITバブルの崩壊、2001年9月11日に発生した有名なNYの同時多発テロ、更に2003年に勃発したイラク戦争などの影響で運用は低迷しました。そして2008年に勃発したリーマンショック後の2009年3月12日には、基準価格が最低の3,529円を記録してしまいました。実に運用開始時の基準価格である9,966円の実質三分の一です。

運用資産に関しても、解約が相次いだことから減少が続き、2010年には運用総額が当初の十分の一以下の1,000億円を割り込んでしまいました。

現在、22分の一に

この日本戦略株ファンドの販売手数料は今となっては驚愕の3.15%、信託報酬も1.9%でした。運用額の規模だけでなく、手数料も超割高だったのです。

ちなみに現在の日本戦略株ファンドですが、基準価格こそ2023年11月22日現在で13,935円まで回復しています。しかし、2013年に本格的に始まったアベノミクスによる日銀の異次元の金融緩和で7,000円台まで低下していた日経平均が、5倍近くの33,000円台まで上昇しているのに比べると、その成績は大幅に見劣りしています。この投信は配当も出していますが、分配金再投資後でも利回りは約24年で49%だそうです(野村アセットHPより)。

運用資産は、ピーク時の22分の一以下の523.2億円まで減少しています。

この日本証券業界の世紀の大恥ともいえる日本戦略株ファンドの歴史を見るだけで、日本の証券業界が、長期の資産運用で如何に無能か一目瞭然だとわかるというものです。

サブプライムで巨額損失

バブル崩壊の話でも物足りない人のために、さらに幾つか歴史を遡って、大手証券がいかに無知蒙昧かお話しましょう。

舞台は、2008年に発生した有名なリーマンショックの時の話です。

日本の大手金融機関の代表である野〇證券とメガバンクの雄み〇ほ銀行は、米国でのサブるライムローン絡みの業務で、それぞれ1千億円を超える損害を出しています。み〇ほに関しては、サブプライムローン問題が表面化する前年に、わざわざフランス系の投資銀行からサブプライム関連のデリバティブ業務を行う人材を引き抜いています。そして一年も経たずして巨額の損失に見舞われました。

また日本どころか世界最大の金融機関の一つ、且つJA(農協)の親玉である”農林中央金庫(通称農中)”は、サブプライムローンを含む大量の金融商品に投資をしていました。そして一兆円にのぼる巨額損失を出し、一時は破綻の危機に直面しています。

このように日本の大手金融機関は、市場予測や資産運用では、世界的に「超絶・無能」と見做されています。

サブプライムローン問題からリーマンショックに至る一連の過程で、日本の金融機関で唯一気を吐いたのが、リーマンショックのさ中に、倒産直前だったアメリカを代表する投資銀行であるモルガンスタンレーに巨額の出資をした三菱UFJ銀行だけでした。ただしこの三菱UFJによる出資も、アメリカ政府からの超絶な圧力を受けて決断したもので、三菱UFJ銀行が主体的に投資を決めたものではないようです。要はビビッて何もできなかったのが、たまたま功を奏したにすぎません。

銀行の本業は金貸し

証券会社の悪口を散々書きましたが、それでは大手の銀行はどうでしょうか。三大メガバンクをはじめとして、地元の雄である大手地方銀行などです。

残念なことに、こちらも新NISAを使った資産運用においては無能です。

そもそも銀行の本業は、庶民から預金を集めて貸し出すのが本業です。

事業などで銀行からお金を借りた経験がある人なら良くわかると思いますが、銀行がお金を貸し出す際には、しっかり土地などの担保を取ります。さらに最近はすこし自粛しているようですが、経営者の連帯保証を取るのが普通です。貸出先が倒産などしても、自分達は絶対に取りっぱぐれのないようにしています。さらに一部の銀行は、経営者が自〇殺した場合にも貸出金を回収できるように、生命保険までかけているところもあります。
住宅ローンも、借手であるサラリーマンが途中で死んでも資金を回収できるように団信とよばれる生命保険を掛けています。

このようなリスクをてって的に排除しながら業務をしている人たちが、株やその他の金融商品を使ったリスクを取った資産運用に長けていると思えるでしょうか。

答えは、考えるまでもなく「否」です。

担当者は若い女性

資産運用に不慣れな銀行員でも、ある程度人生経験を積んだベテラン行員なら、まだ話でもすれば得るものがあるかもしれません。しかし、銀行の窓口で対応に当たるのは、押し並べて大学を卒業してから数年しか経っていない若い女性行員でしょう。

きっと若くて綺麗な女性にスーツを着せて窓口で対応させれば、高齢者を中心とした大半の顧客が満足するとでも思っているのでしょう。

ほとんど顧客を舐めているとしか思えません。

銀行のバランスシートを見れば一目瞭然

銀行が資産運用をどう考えているのかは、各銀行のバランスシートを見れば一目瞭然です。銀行が、貸出に回さない余剰資金の運用に投資しているのは株ではありません。安全確実な”国債”です。株も多少は持っていますが、あくまでも取引先との”持合い”が主です。加えて銀行法の規定で銀行は個別株を発行済み株数の5%以上持つことはできません。

メガバンクや上位地銀の中には、トヨタやSONYなどの大企業の株式を多く保有しているところもありますが、そのほとんどが、トヨタやSONYなどがまだ中小企業だったときに持合いで持った株式が値上がりしたものが大半です。

銀行の目的は手数料

そんな資産運用に何の能力もない銀行ですが、最近盛んに金融商品の販売をしています。その目的はズバリ「手数料」です。

20年以上前の1999年に、バブル崩壊と金融パニックを受けて、日銀が有名な「ゼロ金利」を導入しました。それ以来、人類史上まれにみる超低金利が続いています。
さらに2013年からはアベノミクスを受けた”異次元の金融緩和”が始まります。その後も銀行に追い打ちをかけるように2016年には、日銀により”マイナス金利政策”が導入されました。

この壮絶な超々低金利を受けて、日本の銀行は本業の貸し出しでは、ほとんど儲けがなくなってしまいました。バブル崩壊以前なら3%で集めた預金を5%で貸し出すことができました。1億円の貸し出しで200万円の利ザヤを抜くことができました。

しかし今では、いくら預金金利が異次元の0.001%であっても、貸出金金利自体が1%を下回っています。個人向けの住宅ローンでさえ1%割れの金利が当たり前になっています。1億円貸し出しても数十万円の利益しかないのです。

1兆円の貸出で100億円にもなりません。数千人の行員を抱え、駅前の一等地に支店のある銀行を運営するには巨額の経費が必要です。更に銀行は、BIS規制の元、自己資本を一定に保つ必要があります。

マイナス金利が導入された直後には、メガバンクの最大手であり、三菱グループの中心である三菱UFJ銀行でさえ、国内の貸し出し業務が”赤字”に陥っています。ほかの銀行の状態は言うまでもありません。

ルビコン川を渡る

このような苦境を受けて、多くの銀行が踏み込んだのが、手数料稼ぎのための投信や保険の販売です。

今では、投信や保険の販売が、本業である貸し出しを凌駕する”銀行の主要業務”になりつつあります。

更に問題なのが銀行員の質です。

未だに銀行員と聞けば、東大や慶応などの超一流大学を卒業したお堅い行員を想像する人も多いかと思います。しかしその実態は大きく変わっています。

何度も触れますが、今では銀行の投信などの販売の主力は、見た目重視で大量採用した若い女性のセールスウーマンです。この大量採用した若いセールスウーマンに重いノルマを課して投信や保険の販売をしています。当然、大半の女性社員が重いノルマに耐えかねて、数年で離職していきます。数年前に聞いたのですが、メガバンクでも入社3年程で3分の1以上の社員が離職するそうでう。さらに最近では、重いノルマなどの悪い噂が広がったからか、就活中の女子大生の銀行への就職人気が低迷しています。その結果、多くの銀行が大量の派遣社員で販売要員を補充している状態です。

このあたりの事情は、最近では映画やドラマなどの題材になるほどですので、耳に挟んだこのとある方もいるでしょう。

昔のお堅いけれども信頼できる銀行員は既に過去の話です。

仕組み債の販売で良心を捨てる

この銀行による手数料稼ぎの最悪のケースが、地銀による”仕組債(しくみさい)”の販売です。知らない人も多いと思いますが、債券に株価や為替に連動するデリバティブズ商品を組み込んだ非常に複雑な商品です。

一見、利回りの高い債券に見えるのですが、ひとたび為替レートや株価が一定水準を下回ると大きく元本を損なうリスクの高い商品です。

この超難解な仕組債を多くの地銀が、”ちょっと利率の高い預金のようなもの”として多くの顧客に販売していました。購入者の多くが年金世代の高齢者です。

そして相場が変動するたびに、多くの顧客が損害を被ることになり、各地で銀行を相手取った訴訟が頻発しています。特に2020年のコロナパンデミック時の相場急落では、多くの仕組債が元本割れの状態となりました。

この複雑な仕組債のリスクを理解するには、少なくとも大学理系レベルの数学の知識が必要になります。ましてや、この複雑な商品を地銀の主な顧客である普通の高齢者が理解できるとは到底思えません。

因みにメガバンクなどの大手行は、この仕組債の大量販売には手を出していません。理由は簡単に想像できます。少なくともメガバンクの中には、仕組債に組み込まれている難解なデリバティブズが理解できる人材が一定数社内ににいるからでしょう。

一方で、仕組債の販売の主力である地銀には、複雑な商品の内容を理解できる人材が、本部でさえいない可能性が高いと思われます。

では誰がこの複雑で悪魔的な商品を開発・組成しているかというと、多くが外資系の証券会社です。地銀は、外資系証券から仕組債を仕入れて販売しているだけなのです。

自分たちでも理解不能な金融商品を数百万円から数千万円単位で販売して多額の手数料を稼いでいるのです。

そして、とうとう最近になり、この複雑な仕組債を高齢者に大量販売したとして、千葉銀行など大手地銀が金融庁から金融商品の不適切販売で行政処分を受けました

もはや手数料のために良心をかなぐり捨ててルビコン川を渡ったとしか思えません。

最近、世間では、高額な料金をぼったくる歌舞伎町のホストクラブが話題ですが、高齢者にリスクの高い仕組債などを販売する銀行は、もはやホストクラブより悪辣と言えるかもしれません。

顧客の半分が含み損

保守的な日本の銀行の中でも、更に保守的な地方銀行が、なぜこのような超絶に複雑でリスクの高い商品の販売に踏み込んだのでしょうか。

理由は簡単です。既存の銀行や証券会社が、手数料目的で高額な販売手数料や信託報酬のかかる高コストの投信を優先して販売してきたからです。さらに証券会社だけでなく、一部の銀行も、規制の網をくぐって実質的な手数料稼ぎの回転売買を高齢者の顧客にさせています。その結果、アベノミクスの異次元の金融緩和で株式市場が大幅に上昇しているにも関わらず、銀行で投信を購入した顧客の多くが「含み損」を抱えていました。

コロナ前の2019年に生命保険最大手の日本生命傘下のニッセイ基礎研究所が行った調査では、銀行で投信を購入した顧客の約半数が含み損を抱えていたそうです。

銀行顧客の投信含み損

日銀による異次元の金融緩和により、日経平均株価が、底値から四倍近くに上昇し、また大幅に円安が進行していたにも関わらず、約半数の顧客が含み損を抱えていたとは驚きです。
背景にあるのは、銀行が手数料目的に、販売手数料が高いリスクが高いだけで顧客に何のメリットもない投信を回転売買させたためでしょう。

またネット証券の台頭で、投信の販売手数料が低下してきてもいます。楽天証券やSBI証券などです。そして若い現役世代を中心に、手数料の安い(または無料の)インデックス投信での長期の資産運用が広まっています。

インデックス投信に関しては、多くのネット証券が販売手数料をゼロにしています。また運用期間中の手数料である信託報酬も銀行が販売している投信と比較すると、大幅に低くなっています。

これはネット証券が、多額の費用が必要な有人店舗や従業員を雇っていないから可能になるものです。ネット証券に関しては、既に黎明期の競争が終わり、楽天証券とSBI証券、それにマネックス証券の実質三強時代になっています。

普通のビジネスでは、売り上げが増えると同時に経費も増えていきます。一定の質を保った人員の確保も必要でしょう。しかしネット証券の場合、サーバさえあればいくらでも顧客を増やすことが出来ます。一種の装置産業であるため、薄利多売でも利益が出るのです。

今や、ネットを使いこなす若い世代にとって、わざわざ時間を遣って銀行や証券会社の店頭に行くこと自体「意味不明」でしょう。

そして、最近では50歳代以上の中高年にもネット証券がジワリジワリと浸透して生きています。とくに2020年に発生した新型コロナウィルスのパンデミックでステイホームやリモートワークが普及すると金融取引はネットを使うのが常識になりつつあります。

銀行は、今のところネットが苦手な高齢者を相手に何とか命脈を保っていますが、早晩顧客から見捨てられる運命にあるのは目に見えています。

結論:新NISAの運用は、ネット証券一択

長々と証券会社と銀行の悪口を書き連ねてきましたが、結論はいつも一緒です。

銀行や証券会社の店舗には行くな!!

新NISAの運用は、ネット証券一択です。

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