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かきくけ交渉

「このキャラクターの新しい水筒が欲しい。
 それが難しければ、水筒カバーでもいい。」

おっ、うまいこと交渉してくるな。
長女に言われた時、率直にそう思った。

入園に合わせて買った保冷保温対応の水筒。
現役2年目でまだまだ綺麗な水筒には、当時から好きだったキャラクターが印字されている。
「好き」は随時更新されていくもの。
今もそのキャラは好きだけど、さらに夢中になれるものが見つかったというのは、喜ばしいことではある。

しかし、同じタイプのものを買い足すのならば、サイズ違いだとか機能が違うだとか使い分けの理由が欲しい。
水筒カバーなら、値段も抑えられるし、消耗品として都度更新していける目処もたつ。ストラップ付きを選べば、持ち運びが便利になるだろう。
その話、のった。

「よし。じゃあ、カバーを探してみようか」

お気に入りのキャラクターのグッズを手に入れるために自分で知恵をしぼり、話の運び方が上手にだったことも決め手だった。
長女は飛び跳ねて喜んだ。

目指したい結論のために、話をどう持っていくのが効果的か。相手の出方を予想しつつ、頭の中で組み立てていく機会は、これから彼女が大きくなるにつれどんどん増えていく。
中には愛嬌と言語化できないパワーをもってして押し切れる人もいるが、真面目で奥手な彼女が損しないためには、今から磨いておくといい力だ。
幸い彼女は読書家で、粘り強さがある。
彼女なりの交渉術がきっと編み出せるはずだ。


成長を感じるなぁ…とひとり噛み締めていると、3歳の次女がスッと私の足元に来て、真剣な表情で突然こう切り出した。

「ちゃーちゃん。“はい、おっぱっぴー”の”はい“がなんなのか、いっしょにかんがえようか。」

次女は愛嬌と感覚で生きていくのだろう。

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