The Shawshank Redemption/ショーシャンクの空に                  真相は投獄されたまま終わる

米公開日:19940910

 言わずもがな知れた、「スティーヴン・キング原作」の名作映画の一つ。どうも、スティーヴン・キング原作の映画は見終えた後に不思議な感覚と疑問が残ることが多い。
 この作品では、銀行勤めの主人公アンディが妻と不倫相手を殺害した罪で「ショーシャンク刑務所」に投獄されるのだが、アンディ自身は無罪を主張する。しかし、作中ではアンディ以外に犯人がいるという”証拠”について言及されるが、結局最後まで事の真相は不鮮明なままなのである。私もそうであったが、おそらく観客はアンディの謙虚で誠実で賢い人柄を見て「この人がやるはずがない。本当は無罪なのではないか。」と思い、それがキングの策略でもあるのではないかと思う。そして、私がこの映画で驚いたのは少し非現実的な結末である。驚いたのだが、その「ありえない」結末を鑑賞中私は違和感なく見届けていた。
 同じくスティーヴン・キング原作の映画で、同じく刑務所を舞台にした「グリーン・マイル」がある。その中にジョン・コーフィという不思議な治癒能力を持った男が登場するが、その能力のことや男の過去については最後まで詳しく言及されず、ファンタジー要素が平然と在る状態で物語は進み終わりを迎える。
 どうも、スティーヴン・キング原作の作品は奇妙な余韻が残ることが多々ある。しかし、それは物語の矛盾や不十分さに対して出て来るものと言うよりも現実リアルに違和感なく非現実アンリアル(ここで言う非現実というのは、単にファンタジーなものだけではない)が介入し、妙な説得力があるからではないかと私は思う。 
 スティーヴン・キングが描く世界観はどれもアイデアが奇想天外で唯一無二なものばかりなので、是非とも他作品も鑑賞することをお勧めする。

最後にこの映画を一言で
「映画は時折リアリティを錯覚させるが、この映像作品も同じくアンリアルが許された”映画”であることを忘れてはいけない。」


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